ゲームしようぜ!
すみからすみまでテレビゲームとゲーム愛でいっぱいのマンガだ。カバーを外して裏側をみてニヤっとなるし、1ページずつ丁寧にめくって読みたくなる。
目次までかわいい。マンガをオススメするときに、のっけから「目次を見て! めっちゃいいから!」と言うことになろうとは。本の隅に印刷された「少年マガジン」というロゴすらかわいいので実物を見てほしい。たしかなゲーム経験と愛がなきゃこんなの作れないよ。
ということで中身もゲーム愛でいっぱい。
このページを読んで「あー最後まで一気に読むわ」と思った。ギャルが胸をドスンとのっけるゲーム機が、よりによってセガの名機メガドラ(メガドライブ)! 渋い!
ゲームソフトに対するコメントも的確だ。自分がやりこんだゲームであればあるほど「わかるー」となる。
どうぶつの森に対する「ムダにずっとやってたい」って感想、的確すぎる。新作が出るたびに時間が謎に数百時間溶けるんだよなあ……。
『きみとピコピコ』は、娯楽高校という大変すばらしい名前の高校にあるテレビゲーム部のお話。往年のクラシカルな名作ゲームから最新のゲームまで、部室でギャルとひたすら遊びまくる。つまり夢のような世界なのだ。
やたらゲームにくわしいギャル
娯楽高校1年の太田太一(通称“オタくん”)はテレビゲーム部に入部することに。で、めっちゃプロゲーマーみたいなゴリゴリな人がいっぱいいるのかなーと思ったら、テレビゲーム部の部室にいたのはかわいいギャル1人。彼女はオタくんの知らないゲームに興じていた。
歓楽街じゃなく部室にいるギャルにもびっくりだけど、彼女がゲームを遊ぶマシンがスマホどころかプレステでもないし、ファミコンなのが最強にびっくりだ。
彼女は“鬼咲アゲハ”。オタくんと同じ1年生でテレビゲーム部の部員だ。彼女はめっちゃくちゃゲームに詳しい。ほんとに現代の高校1年生か?って勢いなのだ。
アゲハからオタくんへの「のーみそコネコネ」のお誘い。あー、もうここで悶絶する。
アゲハはアクションパズルゲームの名作「ぷよぷよ通」をメガドライブで遊ぼうぜとオタくんにお伝えしているのだ。「勝負だ!」と対決を挑むときのポーズも完璧。
で、いざ勝負が始まると……、
アゲハはメガドライブを嗜む由緒正しいゲーマーなんだけども、プレイスタイルは初心者向けの「カエル積み」だったりする。でもわかるよ、私もカエル積みが一番好き。アガるよね。
各エピソードに作者のゆずチリさんによるコラムもある。これが「わかるー」の嵐なのだ。たとえばアゲハが迷いなくやったカエル積みについて。
「思考を放棄した勢いだけのプレイ」「理屈はわからないけど、すごいものをみた、という感動があった」こんな言葉のはしばしから愛と思い出がほとばしる。いいんだわ、これが。
オタくんとアゲハは部活動という名のもとにゲームに興じまくる。で、その様子をみるとニヤニヤしてくるんですよ。仲良し。
「どきどきメモリーズ」のモデルは恋愛シミュレーションのパイオニア「ときめきメモリアル」。ギャルが耳元でツッコミを入れ続ける恋愛シミュレーションゲーム、めっちゃおもしろいですよ。
屋外で遊ぶときだってゲームはついてくる。ゲームボーイって屋外だと真っ白けになるんだよなあ。
各エピソードと熱いコラムを読むたびに「わかるー」と懐かしくなる。そして、昔のゲームって令和に遊んでもめちゃくちゃ楽しいよなと思い出す。昔のゲームって、ハードとソフトさえ揃えばちゃんと遊べるんですよね。それって素晴らしいことだと思います。読めば読むほど往年のゲームとゲーム機が恋しくなるので覚悟してください。
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。