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2021.07.18

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日ノ本最強の武芸者は誰か!? 信長主催の天下をかけた殺し合いトーナメント

織田信長が「本能寺の変」で亡くなっていなければ、一体誰が次の天下人(てんかびと)になっていたのか? と誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか?
死期が近い信長が仕掛けたのは、16名の大名が選んだ最強の16名による「代理国獲(くにとり)合戦」“テンカイチ” 。しかも、信長が欲している闘いは……、

虎視眈々と天下を狙っていた武将と言えば、やはり徳川家康でしょう。
その家康が選んだ武芸者(最強の兵)は、徳川四天王のひとりである本多忠勝(ほんだただかつ)。
忠勝は、「蜻蛉切(とんぼぎり)」と名付けられた2丈1寸(約6m)の槍を使いこなし、生涯57回の戦でかすり傷ひとつ負わなかったという伝説の武人。
その功が認められ、上総国(かずさのくに)大多喜(おおたき)城の主、つまり大名になったのですが……、


    
このていたらく。忠勝は魂が抜けたように、酒と宴にうつつを抜かしていました。
ところが、"テンカイチ"の知らせが家康から届くと血が騒ぐのでしょう。

         

しっかり仕上げて来ました!! なぜなら忠勝は、身命を賭して家康を天下人にしたい!と願ったからです。

この忠勝と対戦するのは、なんと宮本武蔵!!
後援者は、四国をほぼ手中にしたことで信長と対立した、長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)というのも面白い。

宮本武蔵といえば、「巌流島の戦い」に遅れてやって来て、船の櫓(ろ)を削って作った木刀で佐々木小次郎を倒した話が有名ですが、ここでもやってくれます。
忠勝との「第1回戦第1試合」が、今まさに始まろうとしているのに居眠りをしているし、忠勝の「蜻蛉切」に対し、武蔵は木刀なのです。

勝負はやる前から決まったようなものですが、武蔵は「水を得た魚」と言わんばかりの動きを見せます。
 

武蔵は、剣の師匠である父を11歳で超えてしまい、競う相手がおらず剣を捨てかけていたからです。そして忠勝もしかり。
2人は死をも恐れず、自分を活かすことができる場所を再び見いだしたのでしょう。戦のない現代ではなかなか理解し難いのですが、当時の武将はこんなだったのかなと思いを馳せてしまいました。

2人の試合は、まだまだ続きますが、今後の“テンカイチ”の対戦も面白そう!!

このトーナメント表で一際目を引くのが、ウイリアム・アダムス。日本名は三浦按針(あんじん)。
ウイリアム・アダムスは、オランダ商船リーフデ号での航海中、日本に漂着し、通訳や外国との通商に尽力した人物。
家康の引き立てがあったことは有名なので、もう少し後の時代の人かと思っていたら、彼が日本に漂着したのは1600年。まさにこの“テンカイチ”の時代なのです。
彼は武人ではありませんが、得意の貿易で飛び道具を入手か!? と色々想像するだけでも楽しい!!

「ングニ棒術」も、え?と思いましたが、南アフリカやスワジランドの「ングニ民族」に伝わる棒術だと知り、どんな戦い方をするのか気になりました。

もう1つ、この漫画で目を引いたのは、登場人物や装飾品が、時代劇などで見ているものとはかなり違うこと。ネオ安土桃山時代という感じで、ポルトガルとの貿易が盛んで新しもの好きだった信長らしく、豪華絢爛な中にもおどろおどろらしさがあって、それがこの世界観にマッチしているのです。

出会うはずのなかった武芸者たちが一同に会し、命果てるまで闘い抜く“テンカイチ”。最後に勝ち残るのは、一体誰なのか!!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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