最初から最後まで、この話は一体どこに進むんだー!? と思いながら読みました。いい意味で、想像を裏切るとんでもない展開が次々と繰り広げられます。
全世界の6割を支配する魔族の王である吸血鬼マーナミア・ブルーガラル。
世界制覇のため次の征服地として転送されたのが、夜も明るい街トーキョー。
そしてこれが完全に失敗。丸腰のまま歓楽街のゴミ箱の中に転送されただけでなく、吸血鬼としての吸血能力も失っていたのです。
つまり、人に噛み付いても血を吸うことができない、ただの危ない裸族!
魔力補給ができないマーナミア様は、生きるため仕方なくコンビニ店員(主に深夜シフト)になるのですが、そこで見つけたのが「夜の王」と書かれた雑誌の広告。
再び闇の力を手に入れ「夜の王」に返り咲くため、雑誌に載っていたあらゆるグッズを買い集めるのですが、なんとそれは精力剤とアダルトグッズでした!!
異世界から来たとはいえ、勘違いもはなはだしい(笑)。
マーナミア様は、世間知らずでエロ可愛いくて、色々とぶっ飛んでいます。
それなのに喋る言葉は「余は~~じゃ!」「当然であろう」という王様言葉。
そうかと思えば「違うじゃろーっ!!」「食わんでもいいんじゃが」「出れんなってしもうた」と土佐弁? 広島弁? どこの方言? とツッコミたくなります。
そして、いじけたりぼやいたりと謎に満ちたハチャメチャな人物で、とにかく勘違いだらけなのです!!
ここに、間違って転送されて来た側近のシベルが加わります。魔界ではオオカミ男だったのに、こちらの世界では凄く可愛い女の子になっていて、マーナミア様をイジったり変な知恵を授けるので、さらにおかしなことに!!
一番笑ったのは、闇金を営む南斗禍(なんとか)組若頭・朝永(ともなが)が、マーナミア様の家にお金の取り立てに来た時のやり取り。
あまりにも話が通じなくて、マーナミア様最強!! と思ってしまいました。
ここまで突き抜けていると、ヤクザも太刀打ちできなくなるようです。
初めのうちは怒っていた朝永も、話が通じないのはロクな教育を受けさせてもらえず、劣悪な家庭環境で育ったからではないかと思い始めます。
そして自分の生い立ちと重ね合わせ、同情心すら芽生えます。
後日、街で偶然マーナミア様を見つけた朝永は、見過ごすことができず……。
マーナミア様のことを16~17歳の子供だと思っている朝永は、親切にもアイスクリームを買い与え、なぜあんなことをしていたのかと聞きます。
朝永のことを「アイスをくれた良い奴じゃ」と信用したマーナミア様は、自分が魔族の王であることを打ち明けます。
実は近頃、おかしな事件が続発していました。それは、触れただけで全ての身体機能が停止してしまう妙な力を持つ奴が現れ、シマを荒らしまわっていたのです。
そこで朝永は、「魔族の王の力を貸してくれ」とマーナミア様に頼みます。
どうやらこの先、新しい魔族が増え、さらにハチャメチャになりそうな予感がします(笑)。
とてもじゃありませんが、世界征服どころではなさそうです。いつになったら、どん底生活から抜け出すのでしょうか。
エロどころか際どいシーンやモザイクもたくさん出て来ますが、そんなところもマーナミア様同様、規格外のマンガです!!
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp