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2019.09.28

レビュー

再会した幼なじみ♂との逆身長差20センチ。キュートすぎるカレを「見下ろす恋」

背が低い人、背が低いこと忘れがち説

私は身長が151センチで、別に集めたわけでもないのに150センチ前後の友人が多いです。ある日、かねてから感じていたことを彼らに確認することに。それは「自分より1センチでも背が低い人」のことは「ちっさいなー」と感じ、「自分より背が高い人」との身長差はピンとこなくない? という説です。「150センチに言わせりゃ160センチなんて誤差」くらいの感覚なんですよ。そして、20センチくらい大きい相手を見ると、やっと「まあ、私より背が高いよね」と思う。180センチ以上は「めちゃ背が高い」です。「わかるわかる」とうなづく150センチ族。

なので、私たちは、ふだん誤差扱いしている160センチの人と横並びになって鏡を見たとき、やっと状況がわかり、「えー!?」となるのです。「私、こんなに小さいんだ!?」と。そのあとすぐ「ま、いっか」とキレイに忘れ、誤差の世界に戻るんですが。

『羽柴くんは152センチ』は、身長172センチのヒロイン“夏”と、身長152センチの“羽柴くん”のラブコメ。2人の差は20センチ。高身長な夏が羽柴くんに対して抱く戸惑いは、151センチの私にもよくわかります。だって自分より1センチ低いだけでも「ちっさいなー」だから。



背が低い側は、結構楽しく見上げていたりするんですけどね。

成長した幼馴染よりも背が高い自分

夏は中学3年生。女子バレーボール部のキャプテン。いつも一緒にいて大好きだった幼馴染の羽柴くんが、数年ぶりに地元に戻ってくる……! ということでドキドキ楽しみに待っています。



なつかしい声がして振り向いたけれど、視界に入らない。



いました。羽柴くん、ちっさ! 「人の成長というものはとても残酷だった」という言葉は羽柴くんというより夏本人に強く向けられています。



なんで自分だけ背が伸びちゃったんだろう……と。日々白目。そんなこともあり、夏は自分のことを少し自虐も込めて「ただの巨人」と呼んだりします。じゃあ、羽柴くんは、夏を見上げながらどう思っているんでしょう?



付き合ってほしいとダイレクトに告白をするくらい、夏が大好き。



即断ります。でも、めげないし、いじけない羽柴くん。これだけでも「かっこいいなー」と思うのに、羽柴くんは持ち前の「かわいさ」と「かっこよさ」の両方をバンバン押し出していくんです。

全校生徒が認める「かわいい羽柴くん」

可愛らしい容姿で言葉遣いも性格も優しい羽柴くんは、あっという間に学校の人気者に。



諸事情あって飛んで行った「夏のお弁当」を救うべく鬼のように混雑する購買部へ飛び込み……、



モーセが海を割ったのと同じ展開に。



夏も可愛いが羽柴くんもかなり可愛いよ。天使か。1冊丸々こんな感じなので、ぜひ癒されてください。

夏のためだけの「羽柴」

小さくて、可憐で、みんなの愛玩動物のようなポジションの羽柴くんですが、ときどき夏のことをドキッとさせます。夏にふられても、夏との身長差が20センチもあっても、夏のことがずっと大好きなんです。



夏のこの表情。このシーンはすごく好きで何度も読み返した。

夏も、羽柴くんのことが少しずつ気になってゆきます。そして「みんなに小さいね可愛いねと言われて、羽柴はどんな気持ちなんだろうか」と考えることも。それって「小さくて可愛い羽柴くん」以外の姿が夏の心の中にあるからなんですよね。

「私の性別や容姿を他人に判断されること」と「私は私の姿をどう捉えるか」のあたりを、夏の戸惑いと羽柴くんの可愛らしさを通して、本作はとても丁寧に優しく描いています。



羽柴くんは小さくて可愛い。夏は背が高い。「外見なんて関係ないさ」とキレイに言うだけじゃなく、性別と容姿と自分との結びつきを真摯に描いていて、とても好きです。

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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