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2019.02.26

レビュー

嫌いって…どうやってなればいいの!? 年下男子に翻弄されるピュアラブコメ

誰かのことを好きになったとき、その人がしてほしいことを私はどのくらいかなえることができるか。そういうことをオンオン考えるのも恋愛のオーソドックスな楽しみ方だと思うのだが、『嫌いになります、佐山くん!』の場合のそれは全然オーソドックスじゃないし、見るからに厄介だ。




何を言っているんだろう……。

「嫌いになります!(だから付き合って!)」

本作の主人公"鮎川若菜"は高校2年生の生徒会長。後輩で生徒会副会長の"佐山くん"に片想いをしています。がんばって告白をするも……




佐山くんの顔、明らかにちょっと冷たい。この冷め冷めの佐山くんから提示された「僕と恋人になる条件」が「僕のことを嫌いになること」という意味不明なものなんです。嫌いな相手と恋人になりたい人間っているのかい……?

とてもじゃないが成立し得ないことのような気がするのに、鮎川会長は「無理」と引き返すこともなく真面目に頑張ります。




真正面から行く! 生徒会長に選ばれるだけあって真面目で行動力がある。

恋愛のサーキットの外野から

佐山くんの謎オファーの理由を、佐山くんは「僕のことを好きな人を恋人にしたくない」と説明するのですが、これ全然理由になってないし、ただただ「佐山くん、なぜだ?」になります。

ということで、この圧倒的謎男子である佐山くんのことを考えてみましょう。



(※単行本描き下ろしより)


これはなんとなくわかる。もしかしたら、佐山くんはテンプレ的な恋愛の流れに強く引っかかっているのかもしれません。これって自分が恋愛のサーキットに入ってしまうと疑いもしないのだけど、外野で眺めているときは、ふとしらけて「わかんないなー」と思ったりする。佐山くんの冷めたような雰囲気は、この辺もヒントになっているようです。




そう、鮎川会長を「フる」わけじゃないんですよ。おまけにこんな完璧な壁ドンまでしちゃう。恋愛したくないわけじゃないのかしら……。オリジナリティが過ぎるぞ、佐山くん。

「あなたを知りたい」

佐山くんという超絶厄介な男子も面白いですが、本作はその厄介男子を追いかける鮎川会長のキャラクターが本当にいいんですよね。




「だって付き合いたいんだもん!」という一心で、素直に素直に佐山くんの嫌いなところを探します。




で、嫌いなところがちっとも見つからず、むしろどんどん好きになってしまう。それでも鮎川会長は「駆け引き」や「近道」を絶対に選ばない人で、とくに次のシーンは本当にかっこよくて健気で泣きそうになる。





この真正面ぶりがまぶしい。それに、「好きになる」って「あなたを知りたい」なんだ。だから佐山くんの「僕を嫌いになって」という謎条件すら鮎川会長にとっては「好きな人を思うこと」につながっているのか。オーソドックスじゃないように見えて、とても正攻法だ。強いなあ、鮎川会長のことを私は「さん付け」で気安く呼べない。

嫌いになる気配、なし。

ということで、一巻では鮎川会長は佐山くんのことをちっとも「嫌い」になれず、むしろ胸キュンと好きの嵐にもまれ、付き合うことができていません。




やっぱり、これで付き合えないのすごい。いろいろ厄介すぎますが、鮎川会長の可愛らしさと佐山くんのナイーブさのおかげで、なんだか優しい気持ちになってしまう。この先も大変そうだけど絶対うまくいってほしいです。

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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