「朝から何してるのかって…元カレの検索ですが、何か?」
とんでもないものを読んでしまいました。元カレのSNSをなんとなく見ていたら、うっかり手がすべって「いいね!」してしまって、死にそうになったことがある女性全員に読んで欲しい作品です。
5年間付き合っていた元カレ・マコチのことが忘れられない、27歳OL、難波ユリカ。
忘れられない、というだけならよくある話なんです。ユリカは、脳内に妄想したマコチと毎日一緒に生活し、会話を楽しんでいます。数年前に破局している事実は受け止めつつも、心の支えは脳内のマコチ。
仕事で出会った男性との初デートでも、とにかく元カレの幻影を追い続けているユリカ。痛いとかヤバいとか、そんなことを言うのが野暮のように感じてくるレベルです。もう、誰にも迷惑かけてないからいいんじゃないか? 本人が幸せならオッケーです! そんなアッパー過ぎるポジティブさ、見習いたい……。
そしてその強過ぎる愛による引き寄せの法則なのか?ユリカはリアルマコチと再会します。不動産店の営業職に転職したら、そこに同僚として現れたのがマコチだったのです! 追加で得た情報を元に、即座にSNSを再検索。プロフィール欄から、マコチがまだ独身であることを突き止めます。うっかり手がすべって友達申請をしてしまうシーンもすごくリアルですね……。
物語は「フリーターだったはずの元カレが就職して、さらに独身の状態で現れた!」という、突然のボーナスステージへ。ユリカも、このまま前のめりに暴走していくのかなと思いきや、意外にも冷静。脳内のマコチと、目の前に現れたリアルマコチは別人格だということはきっちりと自覚しています。
そして、ここからユリカはしっかりと自立していきます。リアルマコチの行動に傷ついた後には、「イイ女として最適な振る舞い」について、脳内自分会議を開催。
これまでだったら、何か迷った時には、脳内マコチを召喚して自分に都合がいいように結論を出すはず。アッパーでハチャメチャに見えて、ちゃんと彼女なりに前を向いているところに好感が持てますね。
元サヤゴールなのか? イイ女として振る舞い、「逃した魚は大きいぞ!」と認識させてマコチを見返すのが目的なのか? 今後の展開も気になるところです。
レビュアー
OL/小沢あや ライター。ウートピ連載「女子会やめた。」「アイドル女塾」のほか、キャリア・ライフスタイル系のメディアを中心に執筆中。
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