2015年11月に惜しまれつつ逝去された大(おお)水木しげる先生。早くも三回忌となります。そして、水木先生の漫画作品をすべて収録することを目指している『水木しげる漫画大全集』は、2018年5月に全103巻が完結予定です。
さらに、水木先生が漫画作品以外にたくさん発表された一連の「妖怪画」を、水木しげる漫画大全集では「補巻 媒体別妖怪画報集」として集め、全5巻の予定で制作しています。12月1日にはその3巻目が発売になります(補巻4は2018年3月2日、補巻5は同年5月2日発売予定)。
『補巻3 媒体別妖怪画報集III』(以下、本書)では、小学館の「入門百科」シリーズのうち、1974年に刊行された『妖怪なんでも入門』から、1985年の『悪魔くんの悪魔なんでも入門』までの内容のうち、「入門百科」シリーズが初出となる画稿と文章のみを抽出してまとめ、特に”絵を見せること”に注力して再構成したものです。
「入門百科」シリーズでの水木先生の著書は全21冊にのぼりますが、それまでの画集や画報とは違い、水木先生の妖怪に関する総論が詳しく述べられていることが大きな特徴です(監修者・京極夏彦先生による本書「はじめに」より引用)。
本書では、妖怪、河童、天国・地獄、悪魔、妖精などそれぞれの世界について、水木先生ならではの捉えかたで、起源、種類、触れ合いかた、などが、事細やかに優しく語られています。
さらに、それぞれのイラストを、できる限り画稿本来の形に近づけ、ノートリミングで大きく収録しました。
「入門百科」シリーズに登場するそれぞれの妖怪・妖精が、『水木しげる漫画大全集』のどの巻で見られるかがわかる「収録妖怪一覧」、妖怪の名前や姿の変遷がわかる「妖怪更新情報」、関連する未収録の画稿などが見られる「資料」など、本書ならではの新規記事も盛りだくさんです。
この「入門百科」シリーズの刊行当時、水木作品や妖怪の世界へ触れる初めてのきっかけとなったという少年少女読者も数多いことでしょう。今回、『補巻3 媒体別妖怪画報集III』の全編にわたって収録される緻密で多彩な妖怪画をご覧いただき、その原体験を鮮やかに呼び起こしていただければと思います。
水木しげる漫画大全集編集部一同