「月が綺麗ですね」ってなんて意味だか知っていますか?
「月が綺麗ですね」は文豪の夏目漱石が「I love you」の日本語訳を聞かれた際に、「我君を愛す」の代わりの訳として伝えたことで知られてますよね。
でも、この漫画のタイトルは「今夜は月が綺麗ですが」の後にいきなり「とりあえず死ね」です。「とりあえず」って……果たしてどんな作品なんでしょうか……。
ずばり「伝染する殺意」がこの漫画のテーマです。
しかもこの殺意「相手を愛している気持ち」がそのまま「殺意」に変わるんです。
気持ちが強ければ強いほど、強烈な殺意を相手に抱いてしまうんです。
そんなことありえるのか……なんて思う人もいるでしょうが、愛情ホルモンとして知られる「オキシトシン」は、一方で「愛」を邪魔するものに対しての攻撃性を高めたり、戦争に人類を駆り立てるきっかけにもなると一説では言われているんですよね……。
あながちありえなくもない話なんです。
主人公の神城卓(かみしろ・たく)は掃除好きで心の優しい高校生。そんな彼にはずっと片思いをしている花園魅香(はなぞの・みか)という同級生がいます。彼女は学園のヒロイン的な存在で、2人は過去は仲が良かったのですが、今は一歩引いた仲に。しかし、あるアクシデントが起こり、神城卓は花園魅香に病的な殺意を抱くことになります……。
愛する気持ちが溢れるほどに、その殺意は増大し、妄想が実行に移る恐怖に神城卓は震えます。
正直、ここまではあんまりこの作品にはまり込まなかったんです。でも、ここからの展開が本当に凄いんです。
この「伝染する殺意」は神城卓だけではなく、周囲にも伝染します。
しかも、この「殺意」に伝染したものは、自我を失った上で、超人的な力を手に入れます。そして、花園魅香は学園のヒロイン……。
当然彼女は学園中の超人化した感染者の標的になります。絶体絶命のピンチです。幼馴染の神城卓はじめ、病的な殺意に「喰われた」感染者が彼女を狙います。
しかし、そこで神城卓のずっと大事にして来た想いが。
神城卓はどのように「殺意」を抑え、そして花園魅香を感染者から守るのか。
グロ要素有り、能力バトル要素有り、愛情むっちゃあり。「殺したい程好き」な人を「命がけで」守る。そんな恋愛コミックです。
1巻が無料で試し読み公開中。グロ愛しいこの世界観、今体験するしかないです。
レビュアー
主に「モーニング」「アフタヌーン」「Kiss」等を好む漫画読み系ライター。発酵食品をはじめとした食文化にも興味アリアリです。