男は見るもの。モテてどうする！──『私モテ』腐女子ヒロインの本音

『別冊フレンド』で連載中のリアル乙女ゲームラブコメ『私がモテてどうすんだ』の最新10巻が発売された。「このマンガがすごい！2015」オンナ編4位、講談社漫画賞受賞、そしてアニメ化と飛ぶ鳥を落とす勢いの『私モテ』。腐女子あるあるやオタクネタで多くの共感を得つつ、男も読める少女漫画としても人気の理由は、少女漫画らしからぬヒロイン・花依の言動にある。オタク腐女子の不可思議でハッピーな生態に迫った。

腐女子道を全力疾走！　ムダ美人ヒロインがマジすぎる件

腐女子とは、男の子同士が仲よくしているのを見たり妄想するのが大好きな女子のこと。男性をカップリングしてつがい扱いし、「A×B」もしくは「B×A」表記する。左側に配置される方を攻め、右側に配置された方を受けと呼ぶことから、「右」「左」という隠語も存在する（凡例：「彼は右かな？」「いや、左もイケそうだよね」など）。そんな彼女たちの日常は、こう。

男子が2人いれば、そこはたちまち天国に

王子様の隣に自分が立つ必要はない。むしろ私はお邪魔虫が基本スタンスだ。ヒロインの花依もそんな腐女子のひとりだった。しかし大好きなアニメのキャラクターが死んだショックで激ヤセしたのをきっかけにイケメンたちにモテはじめてしまう。

『私がモテてどうすんだ』は、もともとボーイズラブ（BL）を描いていたぢゅん子先生が初めて少女漫画を描くにあたり、挑戦するならよく知っている世界の方が良いだろうと思って考えたお話だとか。

「読者さんの中には『私も腐女子です』とお手紙に書いてくださる方が結構いらっしゃって。花依のラブ要素にドキドキしつつ、BL要素もしっかり楽しんでくれているようです」（ぢゅん子先生）

人間じゃなくても攻めになれます

「このシーンは私のお気に入りの１つです。『気持ち悪い！』という最高の褒め言葉をもらいました！」（ぢゅん子先生）
二次元も三次元も、腐女子の妄想に限界はない。

イケメンアラカルト！　選ぶのはルートじゃない、カップリングだ！

リアル乙女ゲームラブコメ『私モテ』のもう1つの見どころといえば、花依に告白してくるイケメンたち。

ちょっと強引なスポーツ男子・五十嵐、口が悪いけど親しみやすいチャラ男・七島、ほんわか癒し系先輩・六見、ドジっ子ツンデレ後輩・四ノ宮、誰よりもイケメンな後輩女子・志麻と目眩がしそうな豪華さ（最新10巻でも新たなイケメンがエンカウント予定）。
通常、乙女ゲームとは好みの男性キャラクターのルートを選択し、次々起こるラブイベントを攻略して両思いを目指すもの。

こんなのや、

こんなのや、

こんなことが起こる。

しかし、リア充最大のイベント・クリスマスにデートに誘われても花依はサクッとお断り。

聖なる夜であろうとも聖地に行かねばならぬ。それがオタクの生きる道だからだ

イケメンたちとグループデートをしても気になるのは男子たちのアレやソレ。自分がどうにかなることより、男子たちがどうにかなることばかり考えてしまう。

火がなくても、煙を立たせればいいじゃない

欲望をあらわにして目を爛々と輝かせ、盛大に鼻血を吹く。美少女という設定も吹き飛ぶ。全員に告白され、友達に「皆のことをどう思っているのか？」と聞かれても、即座にBLのカップリングに変換してしまう。
五十嵐は？　「５×７」（※五十嵐攻め、七島受けの意）
七島は？　「５×７」
六見は？　「マイナスイオン攻め」
四ノ宮に関しては「ドジっ子受け固定」としつつ、「今後の伸びしろによっては攻めへの転向も期待」と分析に余念がない。花依はどこまでも残念ヒロイン街道を突き進む。

蚊帳の外？　いいえ、これが腐女子のアリーナです。

とことん腐っていて、とことんオタク。けれど裏を返せば何に対しても一生懸命で手を抜くことができない頑張り屋ということだ。

曇りなきまなこで

「花依はポジティブなので、女性読者さんから友達になったら楽しそうとよく言われます。実際私も腐女子仲間と集まるとすごく楽しくって。年齢も職業もタイプもバラバラで、普通に生きていたら接点がなさそうな人たちと共通の話題でえげつなく盛り上がれるのが腐女子の醍醐味です。でも花依のそんなところは男性読者さんからは珍生物っぽいと思われているみたいですが（笑）」（ぢゅん子先生）

ちなみに作中で大好きな二次元キャラを供養するために仏壇をつくったというエピソードは実話だとか。腐女子の思考回路は二次元を凌駕する。

「花依を描くとき、大事にしているのは『二次元＞＞＞＞＞三次元』ということ。彼女のなかでこの価値感だけは絶対にブレません。二次元BL至上主義の花依がこの先ラブに目覚めるか、期待してお待ちいただければと思います。もし目覚めても、今まで通り斜め上の行動は保証します！（笑）」（ぢゅん子先生）

現在発売中の最新10巻では、花依がどハマりしているアニメ「甲冑乱舞」略して「かちゅ☆らぶ」の声優イベントで、花依のイチオシキャラの声優が実は幼馴染だったとわかり追加ルートが発生。漫画もアニメも『私モテ』から目がはなせない！

TVアニメ『私がモテてどうすんだ』TBSほか10月6日より放映スタート！