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2016.04.23

インタビュー

超ネガティブ女子(でも可愛い)を、なぜイケメンが押すのか?

累計170万部突破! 講談社漫画賞(少女部門)も受賞した名作、年の差幼なじみの同居ラブストーリー『たいようのいえ』(全13巻)の完結から1年。 いよいよタアモさんの最新作王道ラブストーリー『地球のおわりは恋のはじまり』第1巻が4月13日に発売に! 最新作はどのように生まれたのか? その見どころは? 制作秘話を伺いました。 (インタビュー・文/担当しーげる&マエケン)

タアモ

2001年『デラックス別冊少女コミック』(小学館)10月号にて『てのひらをかさねて』でデビュー。2010年より『デザート』で連載した『たいようのいえ』は、2014年講談社漫画賞少女部門を受賞した。

──『たいようのいえ』が完結して1年。ついに新作『地球のおわりは恋のはじまり』が発売になります! 今日はいろいろと聞かせてください!

タアモ: よろしくお願いします! やっぱりインタビューは緊張しますね(苦笑)。

──インタビューも久しぶりですものね (笑)。でも、リラックスして気楽にお話聞かせてください!よろしくお願いします!
まずは、このお話を描こうと思われたきっかけから教えてください!

『地球のおわりは恋のはじまり』

『地球のおわりは恋のはじまり』は1話めから告白もされてしまう!? ドキドキの展開!! 超ネガティブな主人公・真昼に、キラキライケメンの蒼がグイグイと迫ってきて…という王道ラブストーリー。

タアモさんの「王道少女漫画描きたい!」宣言からスタートしたものの、一番最初に考えていた話とはだいぶ内容が変わりましたよね。

タアモ: はい(笑)。最初は、全然違う大変な状況に立たされている設定の女の子を主人公にしたお話を描こうとしていたんです。ストーリーも複雑な。でもそれを妹に話したら、「もっとわかりやすくドキドキするのが読みたい!」って言われてしまって。「これでは、みんながドキドキしてくれない」と思い直して、即、方向転換しました(笑)。より恋愛メインなものを目指さなくてはと。実は、これほど恋愛まっしぐらなお話を描くのは本当に初めてなので、違う意味で私が毎回ドキドキしています。編集さんが作品のあおり文に「王道」って入れるたび、「王道って言って大丈夫なのかな」って心配してます(笑)。

──いえいえ(笑)。しっかり「王道少女漫画」になっていると思います! その方向転換を経て『地球のおわりは恋のはじまり』にはどうやってたどり着いたのでしょうか?

タアモ: 「王道」といっても、初めは同級生同士の恋で、舞台は学校で……といった漠然としたイメージからだったんです。ネガティブな女の子が変わっていく姿を描きたいという気持ちはずっとありました。

──確かに、それは最初から一貫してましたよね。

タアモ: ネガティブゆえに、まだ何も味わったことのない女の子。そういう無垢な子が少しずつ成長していく様子ってすごく可愛いなと思っていて。打ち合わせをしながら、真昼のキャラクターが出来上がってきて、この子が主人公なら楽しく描いていけそうだなと手応えを感じることができたので、スタートを切れました。

『地球のおわりは恋のはじまり』

「いいことがあると悪いことが起こる」と思ってしまうネガティブな真昼。 蒼くんに親切にされた時もこの反応。

──具体的に、真昼のことはどうやって発想されているんですか?

タアモ: 私はキャラクターをイメージしていく時には、その人の核になるようなエピソードを大事にしたいと思っているのですけど、今回の真昼の場合は、なんでこんなにネガティブなのかが大切な部分になるだろうなと初めに考えて。漫画では3話めで描いた、真昼の双子の妹・真夜との過去のエピソードが思いついてから、ようやく真昼が考えていることがわかるようになった感じです。

──タアモさんにも妹さんがいますが、ご自身の感覚も入ってたりします?

タアモ: 全然入ってないですね。妹との関係もまったく違って、うちは仲良しです(笑)。むしろ、彼女たちを描くために、実際に双子のきょうだいがいる知り合いに「双子あるある」を色々聞いたりしました。その中で「双子は絶対お互いと違うことをしたがる」という話があって。たとえば「一緒に出かけるときは違う色の服を着る」とか「同じ髪型にしない」とか。真昼は多分そうですよね。妹と比べられるのが嫌だから。でも真夜はもしかしたら髪型とかお姉ちゃんと「お揃い」にしたいかも……とか。比べながら考えているうちに、実は真夜のエピソードもいくつか思いついています。いつ出せるかはわかりませんけど(笑)

──おお、それは楽しみですね! 今後の登場を待ってます。あと、真昼はひとつひとつのリアクションがとても可愛いですよね。告白されても「気のせいだ」とか言っちゃうし(笑)。

『地球のおわりは恋のはじまり』

告白されるなんて、あまりにも「いいこと」すぎて「地球がおわってしまいそう」 なので……むしろなかったことにしたい(!?)真昼。

タアモ: とはいえ、蒼くんの側からするとショックですよね(笑)。真昼はネガティブに描きすぎてシュールな子になっちゃったり、蒼くんの気持ちをないがしろにしているように見えないように気をつけています。「本当は嬉しいんだろ!」って思いながらニヤニヤ見てもらえたら嬉しいです!

──毎回可愛くてニヤニヤできると思います! 1話めのパン屋のシーンなんてすごいニヤニヤさせられました。 さて、次に聞きたいのが、押せ押せイケメン・蒼くんのこと。彼のようにグイグイ迫ってくる男の子も、タアモさんの作品では珍しい気がします。

『地球のおわりは恋のはじまり』

油断して「いいこと」を味わってしまっていたことに気づいて焦る真昼がとっても可愛いんです!

タアモ: そうですね。蒼くんは自分のなかでは結構な挑戦です(笑)。『たいようのいえ』もそうでしたけど、むしろちょっと冴えない女の子がイケメンを好きになっちゃうっていう話のほうがいままで多かったのが、今回は真逆のパターンなので。それもあって、蒼くんのことを考える時はいろんなやり方を総動員しています。最初の頃は、いったん男女を変換して考えるようにしていました(笑)。蒼くんをいったん女子に変換して考えてから、それを男子化して描くみたいな。

──おおお。それは面白い考え方ですね。そういえば『たいようのいえ』でも、実は真魚が中2男子で、基がお母さんのイメージ、という話をしてましたね。

『地球のおわりは恋のはじまり』

歳の差幼なじみラブコメ『たいようのいえ』。真魚が「うぜえ」と言いながらも、自分を大事にしてくれる基に惹かれていく関係がとてもよかった

タアモ: 『たいようのいえ』とはまた少し違うんですけど、いったん置き換えたほうが私は考えやすいんですよね。今回だと蒼くんを女子だと思って「冴えない女の子がイケメンに振り向いてもらうには何をするかな?」って考えたほうがアイディアもいろいろ出てくるんです。

──なるほど。蒼くんがただ攻めてくるだけではなくて、時々見せる真顔や照れ顔がすごく魅力的なのは、そういう風に考えてるからなのかもですね。

『地球のおわりは恋のはじまり』

グイグイ攻めてくる蒼くんが時々見せるこういう表情が、破壊力抜群!!

タアモ: 魅力的だと思っていただけてるならすごく嬉しいです。でも、蒼くんについては、まだまだこれから描かなければいけないことがいっぱいあって。少し他人事みたいな言い方になってしまいますけど、私も「なんで蒼くんはここまで強気に攻められるんだろう」というのが、ずっと気になっていて。それがようやく形になって見え始めてきたところなんです。

──おお! ということは、蒼くんの核になるエピソードが近々描かりれたりするのでしょうか?

タアモ: 蒼くんが真昼を好きになった理由のエピソードはだいぶ膨らんできました。もちろん、漫画ではまだこれから描く部分なので変わるかもしれないですけど(笑)。でも真昼がなかなか1歩を踏み出せないように、恋をするって簡単にできることじゃないし、覚悟のいることだよなと改めて思っています。だから、蒼くんの真昼への「恋のはじまり」の瞬間にも、何か結構大きなことがあるはずなんです。その重みを踏まえて、蒼くんのエピソードも大切に描いていきたいと思ってます。

──どういうエピソードが出てくるのか楽しみにしてます!
それから、『たいようのいえ』も真魚や基だけでなく、大樹や陽菜など、色々な登場人物たちの歴史や思いがしっかり描かれて作品の魅力になっていました。今回も、元お嬢様(?)の守谷さんや、蒼くんの友達の銀河など、印象に残る楽しみなキャラたちが出てきてますよね。

『地球のおわりは恋のはじまり』

表面的にはクールだけど、何かと真昼を気にかけてくれる守谷さん(左)と、 なぜだかものすごく蒼くんに一途(?)な銀河(右)。この2人にも色々なドラマが?

タアモ: ありがとうございます! 守谷さんもっと沢山描きたいです(笑)。銀河も重要な役割を担う……のかもしれません。2人が真昼と蒼くんに、どんな風に絡んでくるかも楽しみにしていただけたら嬉しいです。

──きっと2人にも、核になる素敵なエピソードが用意されているのでしょうけど、それはこれからの展開を楽しみにしてます! ということで。
では、最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。

タアモ: 前作以上に皆さんに楽しんでもらいたいと思って始めた、私なりの精一杯の「王道少女漫画」です。ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。どうぞ応援よろしくお願いします。

──今日はどうもありがとうございました!!! 「たいよう」の次は「地球」ということで、ぜひこちらの作品も応援お願いします

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©タアモ/講談社

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