大変長らくお待たせしました! 伝説の傑作青春ラブストーリー『となりの怪物くん』完結から2年2ヵ月。ついに、ろびこさんの待望の新作『僕と君の大切な話』第1巻が発売になります! それを記念して、ろびこさんにインタビュー! 新作はどのように生まれたのか、今回の作品の見どころはどこか、など色々聞いてきました! ぜひ、読んでください!(インタビュー&文/編集長兼担当しーげる)
2005年、『ザ・デザート』5月号にて「デメキンイック。』でデビュー。2008年から2013年まで『デザート』にて『となりの怪物くん』を連載。同作は超ヒット作となりアニメ化もされた。新作『僕と君の大切な話』が『デザート』にて連載中。
──『となりの怪物くん』完結から2年2ヵ月ぶり。いよいよ新作『僕と君の大切な話』が3月11日に発売になります! 今日は色々と聞かせてください!
ろびこ: 今日はよろしくお願いします。2年2ヵ月ですか。こうやって聞くとそんなに経ってたのかとビックリしますね。自分ではあまり実感がなくて。
──そうなんですね。でも、昨年ようやく新連載開始の一報を出せた時は大反響でした。
ろびこ: そう聞いた時は、皆さん待っててくれたんだと思えてすごく嬉しかったです。久しぶりに単行本が出せるのもとても嬉しいです。ありがとうございます。
──こちらこそ。また、ろびこさんの新作が読めて本当に嬉しいです! さて、この『僕と君の大切な話』という作品。相沢さんと東くんの2人の掛け合いがすごくテンポよくて面白いし、笑えるところもニヤニヤしちゃうところもいっぱいなのですが……。ほぼ会話メインで、かつほとんど駅のシーンしか出てこないという、相当に斬新なラブコメディーでもあります。この話を描こうと思ったきっかけは何だったのでしょう?
『僕と君の大切な話』はタイトル通り、主に2人の「会話」で描かれるラブコメディーなんです!
ろびこ: 実を言うと、本当は最初WEBで何かやろうと考えていたネタで、短い1〜2ページ漫画みたいなものが大元だったのですが、打ち合わせしているうちに回り回ってこうなったんです。最初は思春期の中学生の下ネタばかりの話だったのが、担当さんのつっこみのおかげで、気づけばちゃんと少女漫画になってました(笑)。そうなってよかったなと思います。
──そういえば、最初はそういう話をしてましたね。それが打ち合わせしているうちに、やっぱり8ページくらいは読みたいなとなり、8ページ描けるなら16ページでもいけるでしょうとなり、気づけば現在は1話26ページ。すっかりちゃんとした少女漫画です(笑)。
ろびこ: はい。担当さんは油断するとすぐ盛るんです(笑)。
──すみません。おかげで毎回とても楽しめてます。だけど、最初に聞いた時は一体どんな漫画になるのか想像がつかなくて。よくこんな形にたどり着けるなと驚かされました。
ろびこ: いやいや。最初に提出したメモをこの間見返していたら、全然つながってなくて。むしろよくこれでOK出してくれたなあと、私が驚いてますよ(笑)。
──最初は整っているかどうかより、手応えを感じるかどうかが大事なので。男女の価値観の違いという題材が面白いなと思ったのと、ろびこさんが描くならどこか新鮮、斬新な部分がある方がいいから、ありだなと思ったんです。
ろびこ: そうだったんですね。ありがとうございます。そういえば、メモに存在してたすね毛ネタとか、断罪裁判とか、毎回駅なのとかを最初から面白いと言ってもらえてた気がします。
──そう、それ。今回のもう一つの特徴として、1巻はほぼすべて駅が舞台なわけですけど、こういう設定にしたのはなぜですか?
ほとんどのシーンが、このように駅のベンチでのシーンなんです! なのに笑いも胸キュンもたっぷり!
ろびこ: 最初考えてたのが1〜2ページのネタだったので、全部駅だけで済んでいたんですよね。駅かゲームセンターかどちらかで考えていて、中学生はお金がないから、毎回ゲームセンターでは無理があるかなと思って駅にしてたんですけど。その時に結構面白いイメージが湧いていたので、活かしたくて。
──その駅での2人のやりとりも面白いですが、毎回描かれる2人の後ろの広告も面白いですよね。ちょこちょこ貼り替えられてるし。
背景の駅に貼られている広告も必見です!
ろびこ: その時々の思いつきではあるんですけど……。何かで見た面白い広告とか、よく地元の駅にある「なんでこんな所にこんな広告が?」という不思議広告とかの印象を覚えていて、それが色々結びついて出てくる感じです。あと、2人がずっと座ってる漫画なので、何か変化がないと自分で今何話目描いてるのか分からなくなるから変えてます(笑)。
──そういう理由なんだ(笑)。でも、1話目のネームの時からすでに面白い看板が描き込まれていて、細かいところのこだわりなんかも、相変わらずすごいなあと思います。とはいえ、これだけ限定されたシチュエーションでのラブコメディーだと、実際描いてて大変なこともあるのでは?
ろびこ: そうですね。ショートを描きたくて始めたんですけど、やってみたらすごく難しかったですね。会話だけでキャラクターの成長や心境の変化を表現していくのも思ってたより難しいですし。
──毎回、最後の最後まで微調整し続けてくれてますよね。
ろびこ: そうですね。相沢さんと東くんが「男は〜」「女は〜」と言い争ってる部分はできれば共感してほしいので、できるだけ一方に偏らないように気をつけたり。東くんが少女漫画なのに思いっきり女性批判してるので、このキャラならではの理由あっての考え方だと思ってもらえるようにも気をつけたりと、ショートだけどむしろ色々考えることが多くて楽しいです。
東くんが女性への不信感を募らせている理由も、今後描かれる……かも?
──そうなんですね。
ろびこ: 前作の主役は、2人とも共感しにくいという謎仕様だったので、今回はできればちょっとでも共感してもらえるようにしたくって。
──謎って(笑)。雫と春も共感してもらえてたと思いますよ。では逆に描いてて楽しい部分は?
ろびこ: 相沢さんが最初から東くんに恋をしてるので、今回はフツーに恋心を持ってる人を描けるのが楽しいです(笑)。
──www そうか。確かに、前作のヒロインは勉強以外興味ない人でした(笑)。
前作のヒロイン、水谷雫さんは勉強の邪魔になる物はバッサリ。
一方、『僕と君の大切な話』では1話目冒頭から相沢さんが告白!
──今回のメイン2人を描くにあたっては、どんなことを意識していますか?
ろびこ: 2人に可愛げがあるようにということ。時に失礼なことを言ってたりしますが、人間として性根が失礼な人にはならないようにということ、でしょうか。あと、相沢さんは少し怪しいですけど、とにかく今回は頑張って共感してもらえる2人にしていきたいです。
──ちなみに、相沢さんと東くん、描きやすいほうは?
ろびこ: 2人とも描きやすいですけど、どちらかというと相沢さんでしょうか。
──相沢さんの女子の主張は、感情移入して描いてるんでしょうか?
ろびこ: 感情移入してるかは分からないですけど、自分に分からない感情は描かないようにしてます。自分にない部分でも、友達や周りから聞いたこととか入ってたりすると思います。
──東くんの男子の正論的な部分は、どうやって?
ろびこ: 周りの男性の話とか、担当さんの話とかを参考にしてます。男の人って、ちゃんとした大人の男性でもすごいアホなとこや単純なとこがあったりするのが面白いなあって。
──少しでもお役に立ててるなら、今後もアホなとこ出さないとですね(笑)。さて、ちょっと話題を変えて。1巻で、特に気に入ってるシーンがあったら教えてください。
ろびこ: 見開きのシーンは大体気に入ってます。個別に言うと、相沢さんだったら、東くんが軽いジョークを言って相沢さんが冷たい顔をしているところ。ああいう、好きな人相手でもシビアに見てる部分が、私の中で一番女の子だなと思うところなので。東くんだと「断罪裁判」のところです。
見開きシーンは、絵も綺麗で印象的です!
相沢さんのシビアな反応がじわる!
東くんの女性不信さがもっとも溢れ出るシーン!
──どちらも、そのキャラにとってすごく譲れないところなんだな(笑)。可愛いところもシビアなところもあってギャップが効いてるから2人とも魅力的なのかもしれませんね。僕は、5話のほめる練習のところが大好きです。東くんのリアクションが面白すぎてたまらないのと、この作品の魅力であるテンポいい会話の楽しさが一番味わえるところなので。さて、そんな相沢さんと東くん、次第に恋愛関係になっていくんでしょうか。
ろびこ: ………なって……いく……んじゃないでしょうか。
──www まだまだ山あり谷ありですか。
ろびこ: どうでしょう(笑)。1巻では駅で関係を築いてきた2人ですけど、2巻からは学校生活編になって、他のキャラもたくさんからむようになってきてどうなるのか。その辺を楽しんでいただけたらと思います。
──『僕と君の大切な話』も魅力的な脇役がたくさん出てき始めているので、今後が楽しみですね!
このキャラたちが2人にどうからむのか注目です!
──では最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
ろびこ: 前作とは気分を変えて、またちょっと違ったものが描けたらいいなと思っています。『となりの怪物くん』を読んでくださった方も、今回から読んでくださっている方も、皆さん楽しんでいただけたら嬉しいです。これからもっと頑張りますので、応援よろしくお願いします。
──今日はどうもありがとうございました!! 『僕と君の大切な話』第1巻は、3月11日(金)発売です!! ろびこさんの最新作、ぜひまた好きになってください。応援よろしくお願いします。
©ろびこ/講談社