「私を誘拐してほしいの」
主人公・“上田直臣”は、ある日突然父の死を知らされ、オマケに自分は隠し子だったことも17歳にして知ってしまう。
当然だが直臣はビックリしてショックも受け、何も考えずに家出する。そして同じように家出中の同い年の少女“藤埼夕鶴”と出会う。
ただ、夕鶴は乗せてくれるなら誰でもよかったわけではないようで、直臣を選んだ理由は「顔がタイプだったから」などと冗談めかして言う。
その道中ふたりはいろいろな話をする。すると家出の理由や困った父親のことなど、なんだか共通点も多いことがわかってくる。
やがて狂言誘拐はアッサリ終了する。夕鶴の母親はちゃんと300億円を持ってきたし、誰も彼もがふたりの居場所を突き止めて駆けつけるのだ。
ここでやっと直臣にも、自分と夕鶴の父親が同じで、母親が異なる兄妹だとわかる。
巨大なお屋敷と秘密だらけの家族
直臣は、父・一臣の遺言により、胤森家に引き取られることになる。隠し子だから子どもとしておおっぴらには扱えないが、住環境や教育は胤森家と同じ扱いにするのだという。
その大きなお屋敷には直臣が見たことのないような世界が広がっていた。増改築を繰り返した屋敷は部屋数が100を超え、そこに出入りする人たちは一癖も二癖もありそう。
それはそれとして、異母兄妹だと判明したふたりの関係も描かれる。
なぜ父はわざわざ遺言状に残してまで直臣を胤森家の居候としたのだろう。隠し子であることをずっと秘密にしていたのなら、その秘密も墓場まで持っていけばよかったのに、あえてそうしなかったのはなぜなのか。直臣に対して好意的かどうかはさておき、妙に物わかりのよさそうな胤森家のメンバーも絶対に何かを隠していそうだが、異母兄妹のふたりが目下知りたいのは「父親の愛」なのだという。お互い、自分よりも相手の方が父親に愛されていたと主張する。








