そもそも前世動物診断とは、国民の幸福度回復のために国が試験的に実施している施策。前世を通じて「自分を知る」「相手を知る」ことで人はわかり合えるのだという、ある種の多様性への理解と許容を試みる世界と言えるかもしれません。
不倫疑惑の夫、その前世は予想外の不思議な生き物……!?
寡黙で硬派、育児もする夫。妻は彼の前世を、つがいとして生涯を添い遂げ、育児も協力して行う鷹か、単独行動でメスを渡り歩く虎のどちらかではないか、と予想。
果たして、妻の予想は的中するのか? 前世診断の結果は――
それにしても、1話目に「ナナフシ」をチョイスする大胆なセンスがスゴい。「前世がナナフシ」というインパクトはもちろん、その生態をキャラクターと重なるように示すことで自然とナナフシへの興味を湧かせてしまう手腕もさすが。子供の頃からいろんな動物を飼い、田舎育ちゆえ虫も平気だという著者ならではのアプローチです。
ちなみに私はこの後、エダナナフシについてAIに調査を依頼。チャッピーが教えてくれたあんな特徴、こんな生態が夫にも受け継がれているのかも?と想像してしまい、深みにハマりかける事態に。前世動物診断、油断できません。
「前世はコレ」はオチじゃない! 今世での個性や生き方をひも解く分析ツールに
整形への執着、そしてパワハラ体質には一体どんな前世の動物が関わっているのか。それぞれに前世動物と今世でのキャラクターに共通性があり、著者はネームを作る際に、テーマを先に考えるのか、それとも動物のピックアップが先なのかと考えてしまうほどです。
今世での登場人物のキャラクターを描き、その前世を読者(と作中キャラ)に想像させて、最後に驚きの結果と納得の解説でまとめ上げる構成が見事。「前世は動物」というユニークな着眼点と、予想外の動物(虫)を取り上げながら、今世での当人のキャラを踏まえると絶妙に一致する特性が示される、診断後の分析は本作の大きな見どころです。
やたら距離が近くて感情豊かな同僚、彼の前世が気になる!
前世の動物を知ることで相互理解が進み、救われていく登場人物たちの姿に自分の心も洗われる――そんな読書体験が得られるのも本作の魅力です。
あなたの前世が動物だとしたら、なんだと思いますか? ちなみに私は、昔からうさぎだと思っています。色白で9月生まれ(9月→十五夜→うさぎという連想)の寂しがり、という雑な根拠ですが、うさぎやうさぎキャラに愛着も湧きますし、これはこれで意外に楽しい。勝手に前世動物診断、オススメです。








