苛烈ないじめを苦に自殺した妹の仇を討つべく、刹那は凄惨な復讐劇の脚本を書く
しかし次のシーン、刹那が通う高校の朝礼では、永遠の死が全校生徒に伝えられていた。彼女は学校の屋上から、飛び降り自殺したという。
ショックの中でも気丈に振る舞う刹那の教室に、生前、永遠が所属していた生徒会の面々(男女7人)が登場。刹那に「生徒会一同より」という形で香典を渡す。
刹那を気遣い「私たちにできることがあったら言ってね」と微笑む生徒会長の月島。
刹那は「永遠について話を聞かせてほしい」と、一人一人を呼び出す。
最初に呼び出されたのは、刹那と同じクラスの生徒会役員・木場。
「もっと彼女と話しておけばよかった」と悔やむ木場に、刹那は衝撃の一言をぶつける。
むしろ永遠(とわ)をイジメていたことについて悔やめ
刹那は永遠の遺した日記から「生徒会の7人に永遠が過酷なイジメを受けていたこと」を知り「今日中に7人全員を殺して自分も人生を終わらせる」と心に決めていた。
絶命する木場。
しかし次の瞬間、刹那は永遠の死が全校生徒に伝えられる朝礼のシーンにタイムリープしていた。
その後、何度、どんな形で生徒会の面々を殺しても、同じシーンに戻される刹那。絶望から発狂し、一気に白髪になった刹那は、周囲の静止を振り切って屋上へ。自殺を静止しようとする教師や生徒と揉み合う中で、教師の鬼束は誤って木場を突き落としてしまう。
木場の死を見て「またループか…」と絶望する刹那。
しかしここでタイムリープは発動しなかった。
ループの引き金は「奴らの死」ではなく
「僕が殺すこと」
つまり「第三者による殺人」ならループは起きないんだ
演劇部で脚本家としての才能を発揮していた桜井刹那が書く「絶望的に深く悲しい憎悪にまみれた復讐劇」が、ここにスタートする。
タイムリープのルールを最大限に活用し、執念でターゲットを追い詰める!
以降の刹那の行動からは、たしかに優秀な脚本家の雰囲気が感じられる。
まずは自らが琥珀を殺し「自分が彼らを殺したらループする」というルールがなくなっていないことを確認。すると今度は「木場が死んだ直後」にループしたことを受け、ループポイントの更新条件について考察する。
さらにそこから、彼女に惚れている同級生・三ツ谷を利用し、三ツ谷が自害するために握った刃がうまく琥珀に刺さるように誘導。その場で琥珀を助けることで、琥珀を復讐のための共犯者に引き入れる。
読者としては「また都合よく、三ツ谷の持つ刃が琥珀に刺さったな……」と感じていたら、すぐにその種明かしも行われる。刹那は何度も琥珀を焚きつけ、琥珀が足を滑らせてバランスを崩して刃の上に倒れ込むように、床に散らばった紙の位置を調整。失敗したらすぐに琥珀を自ら殺して、木場が死んだ直後にループする……という行為を、うまくいくまで幾度となく繰り返していたのだ。
殺人教唆など難しい話だが
不可能な話ではない
だって奴らを殺せばループするんだから
上手くいくまで殺り直せばいい
いかにループをして相手が生き返っていようがそのときの記憶は残るし、自身の手にも感触は残り続けているだろう。常識的な感覚では、とても平常心ではいられないはずだ。
また、もともと友人が少なかった刹那だが、妹の死を受けて気を遣ってくれる周囲の友人たちと「うまくやっていこう」と考えるようになる。しかしそれも「復讐のためにも味方を増やす」という目的を受けての考え方の変化のようだ。
すべてにおいて「妹の復讐」を第一義に置いている、言葉を選ばずに言えば「狂人」だからこその行動原理に見える。刹那のこの執念が、この先、まさに永遠に終わらない「惨劇のループ」を生みだしてしまうのではないかと恐ろしくなる。
もう一つ気になるのが、刹那が「ループのルール」に思い至る前、自ら生徒会長の月島カグヤを窓から突き落としたシーンのことだ。窓から落ちていくカグヤは、なぜか不敵な笑顔を浮かべていた。
自身が窓から突き落とされているのだから、普通は恐怖で引きつった表情をしているはずなのに。まるで自身がループにより生き返れることがわかっているかのようだ。彼女ももしかして、この世界の「ループ」の存在やそのルールについて知る人間の一人なのだろうか。
さて、琥珀を共犯者に引き入れた刹那が次のターゲットに定めたのが、生徒会一の武闘派・火村朱雀。いじめも純粋な“暴力”が中心で、女性に対してもためらいなく、殴る、蹴るの暴力を振るいまくる男だ。
水泳部の女子の弱みを握って仲間の着替えを盗撮させ、さらにはレイプする。かつて「会長のイジメから救ってほしい」と言ってきた永遠に対しても、理解不能な理屈をつけてレイプし、しかもそれを撮影する。本物の“鬼畜生”である。
何千…
何万回とループしてでも…
命乞うまで
殺しまくってやる
今後も厳格なループのルールに基づいて展開され、そのルールを利用し、ときには逆手に取る主人公(彼が優秀な脚本家である必然性がここにある)の知略と、深く純粋、かつドス黒い執念が描かれていくであろう物語。すでに2巻で起きることが予告されている強烈な惨劇に、いろいろな意味でドキドキが止まらない。








