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2025.10.26

レビュー

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『魔法少女リリカルなのは』完全新作始動!! 高町なのは13歳、国連調査員はじめました。

2004年放送のTVアニメから始まった『魔法少女リリカルなのは』シリーズは、劇場版アニメやゲーム、コミックス、小説など様々なメディアミックス展開を実施。そしてこのたび、シリーズ20周年を経て、新作アニメの制作が決定。そのアニメに先駆けてスタートしたのが、本作『魔法少女リリカルなのはEXCEEDS』です。

そして正直に打ち明けますが、私は本作で初めて同シリーズを知りました。つまり『魔法少女リリカルなのは』超初心者です。長きにわたって描かれてきたキャラクターや物語、世界観の蓄積がない私が本作を読んで感じたことを、まとめてみました。

人と共存するロボットが暴走!? その謎を調査する少女・高町なのは

舞台となるのは、私たちの世界と近しい近未来。人間と機械(ロボット)が意思疎通し共存するこの世界で、主人公の高町なのは(たかまちなのは)は、国連直轄調査機関「EXCEEDS」(エクシーズ)所属の調査員として登場します。ちなみに彼女、シリーズ1作目では小学生で、10年後を描いた続編もあるそうですが、本作においては13歳。高町なのはの中学生時代を描く作品ということになります。

機械を信奉するダルナザという国で、15年前の内戦に従軍歴があるロボットたちが暴走する事件が多発。終戦しているにもかかわらず戦時であると認識するエラーを起こし、殲滅目標(せんめつもくひょう)を探して、時には破壊行動も起こすような状況が発生している様子。その原因を調査するため、高町なのはが現地に派遣されるところから物語はスタートします。
この暴走事件を調査するにあたり、カギとなる存在が、内戦時の英雄である機械化特殊部隊隊長・機神・ZED(ゼッド)。今は退役軍用ロボットが暮らす村で隠居生活をしているという彼のもとへと向かったなのは、暴走ロボットに襲われるひとりの少女を救出。彼女の名はフィリーといい、同じ村で暮らすロボットたちの治療(修理)を行っていました。フィリー、そして彼女の育ての父であるゼオ(おそらくはZED)との出会いを端緒に、ロボット暴走の秘密を探る物語が展開していきます。

ちなみに、こちらの少女がフィリー、渋みがあって凛々しい男性がゼオ。

変身! アクション! 超科学! わくわくが詰まったSFバトルファンタジー

本作の魅力として真っ先に感じたのは、ド派手なアクションです。なのはが戦闘モードにチェンジしたゼオと手合わせするシーンは迫力満点。
もともとアニメから始まったこともあってか、“動き”が伝わるような描き方を意識している印象。これによってスピード感や躍動感に溢れ、見ごたえあるアクションになっています。

なのはが暴走ロボットを撃退するシーンも、実に鮮やか。
さらに、魔法少女といえば欠かせない(!?)変身シーンも見どころ。
効果音や映像まで浮かんでくるような描写に心が躍ります。ここはどんなカラーリングになるのだろうかと、アニメ放送時の演出も気になるところ。

臨場感あるバトルシーンや戦闘装備への華麗な変身シーンに加え、興味をそそられるのが、近未来SF要素。なのはが使う、レイジングハートと呼ばれる「インテリジェントデバイス」なるアイテム。ビームを放ったかと思えば、会話もできるし、国連機関の調査員というなのはのため、翻訳サポートまで担う万能アイテム。いわゆる魔法の杖的な存在ながら、作中でなのはが「相棒」と呼んでいるように、その枠を軽々と超越しています。

シリーズ初心者でも作品世界へあっという間にダイブできる!

冒頭にて、本作はどういった世界観で構築されているのか、そしてこの物語主人公はどんなキャラクターなのかを端的に描写しているため、前提となる作品知識がなくてもスムーズに入り込めました。ロボットと交戦する警備隊の描写で伝わる近未来要素。初登場シーンで、調査目的で現地入りのはずが派手に敵対ロボを破壊してしまう“やりすぎな主人公”を描くことで、なのはというキャラの輪郭も掴めます。

また、その「暴走」を組織の仲間に咎められるコマで、なのは以外にも様々なキャラクターがいることを明示。シリーズのファンであれば馴染みのあの子たちの登場にワクワクする、そんなシーンかもしれません。初見の私にとっても、主人公なのはを取り巻く人物であり、その肩書や会話のトーンからも、強く認識しておくべきキャラとして印象に残りました。
キャラクター描写において個人的に面白かったのが、テクノロジーに興味津々なフィリーの質問攻めに対して、なのはがこんなリアクションを取る場面。
下段のコマに注目。意外と意識が高い! 本来の任務範囲を超えて暴走ロボットを豪快に破壊したことを考えると、機密情報もペラペラしゃべってしまいそうに見えますが、その一線は超えないというギャップが、キャラクターに深みを与えているように思います。

過去シリーズからのファンでしか味わえない喜びと、まっさらな状態だからこそのワクワクは、きっと両立します。それぞれの立場でじゅうぶん楽しめる本作。シリーズ初心者にとっては、ここが入り口になったとしても、2026年スタートのアニメ放送を含むメディアミックスという横展開と併せて、過去シリーズを遡って楽しむという縦展開の楽しみも待っている、そんな贅沢な作品です。

レビュアー

ほしのん

中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。

X(旧twitter):@hoshino2009

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