本作の主人公は、そんなタワマンに住むことを生涯の夢とし、その実現に向けてブレずに突き進む、痛快かつぶっ飛んだキャラクター・藤村いちご。派遣OLとして働きながら、同僚女性たちを敵に回すことなど意に介さず、高給取りの男性社員に媚びまくり、常日頃からタワマンに住むための努力を惜しみません。
合コンで出会った青木がタワマン住みであることを知る場面は、いちごのタワマンへの執着ぶりがうかがえ、作品がスタートして十数ページで早くも「これ、ぜったい面白いやつ!」と思わせてくれる説得力があります。
青木の誘いに乗り、そのまま彼の住むタワマンへと同行するいちごは、しっかり高層階(28階)で広さも問題ないことを確認。青木から男女の関係を迫られると、(そう来なくっちゃ)とノリノリ。セフレ回避のため、青木から「真剣だよ」という言質を取ると、いざベッドイン。しかしそこに新たな登場人物が!
ところがどっこい、悲しい現実が待っていました。
こうしていちごは、結果的にクズ青木のおかげもあって、念願のタワマン住民というステータスを手に入れることができたのです。
ちなみに、恭子がほだされた(?)いちごのタワマンへの思いが描かれる場面がこちら。
タワマンに憧れなどもっていない私でも、その強烈なタワマン愛をなんだかかわいらしく思えてしまうほど、いちごはチャーミングなキャラクターなのです。
これまでも数多くの女性を部屋に連れ込んでいたという青木に対して、追い出すだけでは足りないとばかりに復讐を企てるふたり。裏切られていたのは恭子なのに、彼女より前のめりないちごが頼もしい。そんな痛快な復讐劇も見どころのひとつですが、タワマンといえば、欠かせないのが高層階マウントのボスキャラ。もちろん本作にも登場します。いちごたちが住む28階よりもさらに上、46階住民の喜多見(きたみ)です。
いちごは手ごわそうな喜多見相手に、どんな立ち居振る舞いを見せるのか、めちゃくちゃ気になるところです。
タワマンあるあるコメディでありつつ、主人公を中心に魅力的なキャラクターたちの言動も楽しい本作。いちごの考えや行動を通じて、(住みたいかどうかは別にして)なぜだかタワマンそのものすらも愛おしくなってくるような、不思議な魅力にあふれた作品です。









