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何もかも正反対だけど大の仲良し夫婦。幸せの秘訣は旦那の「おっとり」

2023.01.31
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好きな人と暮らすのはやっぱり幸せ!

ネットで発表されている漫画「私のおっとり旦那」シリーズの3冊目が、この『6年目の私のおっとり旦那~変わったこと、変わらないこと~』です。この作品は、楽観的でおっとりした「旦那さん」と、悲観的で短気な「私」の生活を描いたエッセイ漫画。旦那さんの包容力に癒やされるエピソードや、夫婦双方のいいところ/ダメなところをありのままに描いたエピソードが詰まった一冊です。この漫画、「みなさんのおたくもそうでしょう?」とか、「ウチはこんなにラブラブなんですよ」とか、そういう押し付けがましさがなく、そこも大きな魅力になっています。

この夫婦は性格も好き嫌いも、まぁ見事に正反対。でも正反対だからってどうにもならないわけではなく、なんとかなってしまうのが夫婦関係の不思議なところ。この夫婦に関しては、旦那さんのなんとも不思議なおっとり加減が、さまざまな夫婦間の衝突の緩衝材になっているようです。たとえば、こんなエピソードがあります。

結婚6年目にして、妻にハグを強く求める旦那さん。「仲がいいなぁ」と思わせつつ、旦那さんの一言が思わぬ方向に場外ホームランする感じ。思わずニンマリしてしまいます。それから、4コマじゃなく3コマ漫画だというところがすごく良いのです。これが4コマ漫画だったら、このリズム感は生まれません。
そんな旦那さんのホンワカしたエピソードでも、男性としてはこんなエピソードに強く共感しちゃうのです。

PS5の購入権が当たっちゃったかぁ……。「車」とか「引っ越し」といった“おおごと”じゃないのに、黙っては買えない。その気持ち、分かるよ! 痛いほど分かります!

「ごめんなさい」が言えなくて

この1冊には、少し長めの描き下ろしエピソードもたくさん収録されています。どれもすごくいいのですが、特に心に残るのが「おっとり旦那と言葉」というエピソード。

慢性胃炎で吐きやすい体質の「私」。彼女がトイレで吐いていると、旦那さんが「いつまで具合悪くしてんの~?」と最悪なことを言います。さらには「私」が突っ伏しているトイレの水を流すという、いくらなんでもやっちゃダメでしょう!という行動をします。今後一生、喧嘩するたびに「あのときは!」と持ち出されてもしょうがない事案です。いや、もっとヒドい結果を迎えてもしょうがないかも……。それにもかかわらず、旦那さんは「ごめんなさい」の一言が言えない。自分の過ちを理解しているのに! これに対して「私」は考察します。





こんな最悪の過ちを犯すことはあります。心に余裕をなくしているときは、特に……。このエピソードでは、旦那さんはお詫びに「私」へ擦り寄り、優しい言葉をかけて気持ちを伝えようとします。自分を振り返って考えると、時間が解決してくれるのを待つかなぁ? でも、これはどちらもよくない。まずは心からの「ごめんなさい」を言うべき! 今すぐに! 謝るのは大前提として、さらに「私」は考察します。



客観的に「正しさ」を盾に判断することは簡単。一方で、夫婦だから許すというのも間違っている。そこで大切なのは、「あなた」と「私」がおたがいの問題に向き合う努力をしながら、おたがいを理解しようとすることだと作者はいいます。作者はこの気づきを「私はそうしようと思う」と、ごく私的な形で書いていますが、私もまた「ホント、そのとおり」だと思いました。自戒をこめて。

性格や好き嫌いといった人間の基本的なところは、そう簡単に「変わらないこと」です。そして、最悪の過ちも犯していくと思うのです。過ちを犯さなくなったのであれば、それは「成長」といえるでしょう。でも、人間そうそう成長するものじゃありません。ただ、6年目にして夫婦の歩み方について気づいたことは、たしかに「変わったこと」なのです。この夫婦は、次にどんな素敵な「変わったこと」を見せてくれるのか、楽しみでなりません。

  • 電子あり
『6年目の私のおっとり旦那~変わったこと、変わらないこと~』書影
著:木崎 アオコ

ツイッターでますます人気沸騰中の夫婦エッセイ漫画、結婚6年目の現在を描く新作が登場!
楽観的でおっとりした「旦那さん」と、悲観的で短気な「私」。何もかもが正反対な二人が長く一緒にいると、思いもよらないことでぶつかることもあります。
さらに、「私」に起こった突然のトラブルとは……?
6年経っても、笑ったり泣いたり、新鮮な経験に溢れた夫婦の日常を、またご覧ください!

レビュアー

嶋津善之 イメージ
嶋津善之

関西出身、映画・漫画・小説から投資・不動産・テック系まで、なんでも対応するライター兼、編集者。座右の銘は「終わらない仕事はない」。

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