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天才俳人・松尾芭蕉、SNS疲れでシモ専廃人化!?  江戸を賑わすインフルエンサーと旅に出る!

おくのぽそ道(1)
(著:鈴木 ミニラ)
2022.08.02
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垢BANされた松尾芭蕉

クリエイター、インフルエンサー、プロデューサー、今はこんな名前で呼ばれている人たちと同じ存在は、きっと大昔の世界でも見つけることができるはず。『おくのぽそ道』の主人公は俳聖・松尾芭蕉だ。江戸時代を生きた超一級のクリエイターである彼の日常にスマホがあったら、この俳人はどうなっていただろう。



Twitter……じゃなくてEdotterで大人気。でしょうね、言語センスの鬼だもん。当然そんな彼を世間は放っておかないし、活躍の場は拡大するばかり。



クリエイター集団の事務所に所属してプロのバックアップのもと、俳句の才能を爆発させると思いきや……、



いきなりアカウントが凍結。どうしちゃったの芭蕉先生? (@matsuobasyou575って確かに松尾芭蕉以外は使えないアカウント名ですね……)

「SNSで松尾芭蕉が俳句を詠(よ)みまくってくれたら楽しいだろうな」と思っていたが、SNSとクリエイターの超しんどい世界が待っていた。あー笑った笑った。

下ネタ俳句がずっと出てくる

なぜ松尾芭蕉はアカウント凍結されたか。彼は非常に不適切な投稿を繰り返し、通報されまくったからだ。俳聖はこんな句をSNSの海にぶちまけていた。



う────ん! ダメ。それぞれの単語は普通なのに575で組み合わせるとこんなにダメになるんだ、すごいなあ。さすが芭蕉。

このシモの句のやっかいな点は、芭蕉本人はいつもどおりイケてる句を詠んでいるつもりであるというところだ。彼には自覚がない。どうかしてる! そう、松尾芭蕉は深刻なスランプのただ中にいる。



SNS疲れが極まってシモの句ばかり連発するようになっちゃったらしい。俳句が詠めない。かわいそうに。下ネタばっかり詠むから大勢いた弟子も消え失せ、唯一残ったのは“河合曾良(かわいそら)”だけ。のちに松尾芭蕉の「奥の細道」の旅に同行した俳人だ。

本作は河合曾良が師匠が繰り出す下ネタの後始末に奔走(ほんそう)する物語でもある。SNSに疲れた芭蕉は休養してもシモの句が全然止まらない。



スルスル出てきちゃう。つまりクリエイティビティが枯れ果てたわけじゃなく、方向がちょっと下ネタに行っちゃってる。やっかいだ。



俳句をきらいになったわけじゃないし、やめたいわけじゃない。ただほんのちょっと(いやかなり)下ネタが止まらないだけ……。そんな芭蕉の俳句愛は、本来の彼の姿をときどき引き寄せる。



これだよこれ! エッジききまくり。不変の芸術だ。



河合曾良に「これでいいの!?」と確かめる芭蕉がかわいい。よかった、芭蕉は終わってない。

完全復帰にはまだ遠く、相変わらずシモの句の大暴走は止まらないわけだが、芭蕉のクリエイティビティに賭けた2人は「旅企画」を考える。奥の細道だ。

フォロワー数=書店への営業力

下ネタロードムービーが始まるのかな……と思いきや、SNSとクリエイターの渋い関係もきっちり描かれる。



芭蕉が所属するクリエイター事務所“UUUN”の社長から言い渡された条件は「フォロワー10万人」。フォロワー数と発行部数のシビアな世界を垣間見た。



相変わらず下ネタが止まらないし、さあどうやって良質なフォロワーを獲得する? ということで他の人気クリエイターに教えを請(こ)うことに。江戸時代の人気者たちがたくさん登場する。



葛飾北斎は「ピク渋」のフォロワーが20万! ……で、本作は松尾芭蕉が下ネタ大暴走な俳人なので、当然のように北斎も非常にクセの強いクリエイターとして描かれる。お楽しみに。

松尾芭蕉の「奥の細道」はどうなっちゃうんだろう。



うーん、ダメなんだけど、ダメじゃない。なんでもない言葉が芭蕉の手にかかると堂々たるシモの句になっちゃうのがすごいや。不安要素満載だけど楽しい道行きになりそうなことは確かだ。

  • 電子あり
『おくのぽそ道(1)』書影
著:鈴木 ミニラ

稀代の天才俳人・松尾芭蕉、SNS疲れでシモ専廃人化! 「ご開帳 淑女の花びら プロの色」などと詠んでいる場合ではない! かつての己を取り戻すため、愛弟子・河合曾良と共に江戸を賑わすインフルエンサーとの交流を重ね、いざゆかん! おくのぽそ道へと!

レビュアー

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花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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