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【日本神話擬人化】神々の住まう国の危機に立ち向かう、貧乏神の少女×神様が視える少年

窮鬼の仇花(1)
(著:冬葉 つがる)
2022.04.29
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八百万の神様が視える

『窮鬼の仇花』の主人公“環春(たまきはる)”には神様が視える。



「どうしてあなたは私が視えるんですか?」と可愛い“神様”もビックリ。こんな特別な力を持つ特別な少年は、どんな人物なんだろうか。

冒頭の数ページを読むとよくわかる。これは視えるだろうし、神様としてもこんな人にご自分の姿を視てもらいたいだろう。



環は手先が器用で、お裁縫スキルも高くて、クラスメイトのぬいぐるみを何度も直している。友達がピーコと呼んでかわいがっているそのぬいぐるみは、おばあちゃんの形見。



そう、自分から強く申し出てぬいぐるみを丁寧に繕(つくろ)ってやるのだ。おばあちゃんが孫を思う気持ちが込められたぬいぐるみのおなかが破けていたら、環は放っておけない。心のどこかでアニミズムを信じる私は、もうこの場面で「この人、めっちゃいいやつ!」ってウルッとくる。

そして神様たちも……、



ね、こんな感じ。下駄箱にぎゅうぎゅうにつまったマスコットたちは環にしか視えない存在。さっき直したピーコもいる! 誰かの願いが込められた彼らは、小さくも立派な神様だ。我が家のぬいぐるみたちも大事にしよ……。



日本には八百万(やおよろず)の神様がいる。都会から引っ越してきた環が今暮らしているのは田舎の村。ここにあるのは、田んぼ、神社、山、山、山、しかもオンボロ神社には妖(あや)しい伝承つき。いい、いろんな神様が大勢いらっしゃいそうだ。

貧乏神がやってきた

環は視えた神様のことを放っておけない。「触らぬ神に祟(たた)りなし」と忠告されてもつい助けてしまう。そんな環の元にちょっとワケありの神様が現れる。



「しかも可愛い……」の文字の大きさに納得。可愛いね。空から降ってきた彼女は“カズラ”。一介の神様です。でも、カズラは環が今まで視てきた神様とはちょっと違う。



この腰の入った戦い方! “ケガレ”と呼ばれる黒いドロドロの化け物を黒い扇子で祓(はら)うカズラは、いったい何の神様?



カズラは、人を不幸にする“窮鬼(きゅうき)”。いわゆる貧乏神! 桃太郎電鉄で遊んだことのある人ならわかるはず、貧乏神は絶対に関わりたくない存在だ。全力で避ける。でも、環は視たものを無視できない人。だから、カズラの抱える厄介ごとに自ら進んで関わっていく。



本作は「目が合えば縁ができる」と繰り返す。貧乏神・カズラとのあいだに生まれた縁を絶ちきらない環は……、



カズラと共に神様の国「高天原(たかまがはら)」へと飲み込まれる。梅雨時の山村の湿っぽさから一気に異世界へ。圧巻の第1話だった(約100ページ!)。

人に願われるのははじめて

高天原は、人間である環にとって危険なことだらけの異世界。でもカズラは神様だから、ここは彼女の地元だ。



貧乏神の実家って気になる! どんな家族がいるの?

ところで、そもそもカズラはなんで環のいる田舎に現れたんでしょう。どうも環たち人間の暮らす「葦原」と、神々の国「高天原」では何か不穏なことが起こっているらしく……。環はカズラと共に調査へ乗り出すことに。



カズラ、ほんと可愛いなあ。たしかに貧乏神にあえてお願い事をする人はいないかも。今まで寂しかったろうな。

貧乏神に願った人に何が起こるのかは気になるところだけど、カズラとの縁を大切にする環が、どうか無事に高天原で生き延びることができますように。

  • 電子あり
『窮鬼の仇花(1)』書影
著:冬葉 つがる

「神様が視(み)える」という特殊な体質を持つ少年 環春(たまきはる)は、
身の回りに存在する八百万(やおよろず)の神らと心を通わせていた。
ある日、出会った貧乏神の少女 カズラと共に“忌み地”と呼ばれる神社を訪れた彼は、
そこで巨大な穴“虚(うろ)”に飲み込まれてしまう。
目覚めた環は、自身が神々の棲まう国「高天原(たかまがはら)」へと渡っていることを知り―――!?

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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