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作り置きよりもカンタンでおいしい!伝説の家政婦、志麻さんの自宅レシピ公開
(著:タサン 志麻)
夕暮れどきの「今日ごはんどうする」の流れから「あれ作ってよ」とリクエストが出るとうれしい。別々に暮らす家族から「お姉ちゃんのあれ、また食べたいな」というメッセージがくると「いつ作りに行こうか!?」とすぐ返事を打ってしまう(ああ疲れているのかもな、と少し心配になるが)。そういう「常連レシピ」を増やしたい人は絶対読んだほうがいい。おいしくて、気軽にリクエストに応えられる、そんないいとこ取りなレシピがいっぱいだ。
伝説のスーパー家政婦「志麻さん」が作る、プライベートのごはん
本書の著者「志麻さん」についてテレビを通じてご存じの方も多いはずだが、簡単に説明したい。大阪とフランスの料理学校で学び、日本の有名なフランス料理店で15年働いたのち、家事代行サービス「タスカジ」で人気ナンバーワンの家政婦となった女性だ。どうして人気ナンバーワンなのかというと、志麻さんの作るごはんが最高においしいから。「また、あれ作って!」という気持ちで、みなさん志麻さんに繰り返しお仕事を依頼するのだろう。
そして、本書は次のようなコンセプトのお料理本となっている。
ここだけの話、プライベートで料理の作り置きはいたしません。家政婦の仕事では各ご家庭の1週間分のお食事を3時間で作っていたので、作り置きがマストでしたが、自宅ではまとまった時間が必要な作り置きはせずに、その分家族との時間を大切にするようにしてます。
優先度ってほんと大事。泣いても笑っても24時間で毎日が終わる。筋トレは絶対、7時間寝たい、ゲーム「スパイダーマン」も早くクリアしたい、湯船につかりたい、読みかけの本も山ほど。おいしいものを作って食べたい。つまり、私の日々は「ぜんぶ最優先で進めてください」という指示を平気で繰り出す無能なマネージャーが常駐しているようなものなのだ。危ない危ない。
だから、本音を言うと私も志麻さんに来てほしいが、まずは「志麻さんのプライベートのごはん」を作ってみよう。
レシピは大きく分けて以下の3つに分類されている。
「時間がない日のすぐ出来ワンプレートごはん」
「時間がない日のすぐ出来単品おかず」
「今日はゆっくりごちそう作り」
10分でできる濃厚ドリア「コーンスープドリア風」
遅起きした日曜の朝、「時間がない日のすぐ出来ワンプレートごはん」から「コーンスープドリア風」を作ってみることに。
思わずレシピを2度見したんですけど、これ、所要時間がなんと10分。マジか! 出前より早いぞ! 秘密は「コーンクリームスープの素」にある。コーンクリームスープの甘くて濃厚な味の助けをかりて、一気に仕上げてしまうわけです。
もう少しチーズに焦げ目をつければよかった。ミルクとチーズとコーンの香りに我慢できなかったんですよ。大慌てで撮った1枚。
1口食べて、すぐ「うん!」と声が出た。コーンスープの素、やるやん……。炒めたのでコクもしっかりある。しつこいようだが本当に10分で作れる。うちのグリルの火が弱かったので最後の焼き時間は少しかかったが、それでも調理前に回し始めた洗濯機は、まだ脱水のフェーズにすら入っていなかった。
みんな大好き「鶏の照り焼き丼」
次は平日のお夕飯として「鶏の照り焼き丼」。
「三色の丼物」ってビジュアル完璧。出来上がったのがこちら。
鶏のカリッと香ばしい焼き色! カリカリなのに柔らかい。卵もふわふわ。ししとうも絶対必要。週末にもう一度作りました。
こちらの「鶏の照り焼き丼」は「皮目から弱火~中火で動かさずに10分ほど焼く」ことを守れば、カリカリでジューシーに仕上がる。こういう「おさえておきたいコツ」がしっかり記載されているので「慌てて作った」感じがまったくない。
「チーズ入りじゃがいものガレット」「コールスロー」「鯛の白ワイン蒸し」
最後に、週末の夕食として3品作ってみた。どれも簡単なので全部で1時間もかからなかった。
時々食べたくなるけどレシピを常に忘れるコールスロー。志麻さんご指名の「シーチキンLフレーク」を使っておいしく出来上がりました。
じゃがいも好きとして見逃せなかった「チーズ入りじゃがいものガレット」。ひっくり返すときに崩壊させてしまうんじゃないかとヒヤヒヤしましたが、しっかり焼いたらこの通り。
そして「鯛の白ワイン蒸し」。土鍋を使いたかったのだが、レシピ通りフライパンでジュッと作ったほうがいいです。とはいえ、フツフツ蒸し上がった鯛はおいしかった!
「おいしかった? いつでも作るよ!」って言える
志麻さんのレシピはどれもすごく作りやすい。だから「気合を入れて料理するぞ!」というより「食べたいときはいつでも言って~」とフランクに胸をはれる。「おさえどころ」をキチンと教えてくれるので、出来上がったごはんはどれも味が決まっているところもいい。どれも1口食べて「うん!(=おいしい)」と誰もが言ってしまうような、そんな幸せなレシピばかりだ。自分や家族の「おいしかったなあ」の記憶に残って、なにかと食卓に登場する常連のごはんって、こういうものなんだろうな。
日本テレビ系列『沸騰ワード10』や、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』など、メディアを通じて紹介される志麻さんは、“作り置きの達人”イメージ。さぞかしご自宅でもすごい作り置きをしているのでは!? と企画の相談にうかがってみると「私、まとまった時間がないので、家では作り置きはしないんですよ(笑)」とのお答え。つまり、“お客様の1週間分のごはんを3時間で作る”ことが仕事だったから“作り置き”をしていたわけです。
本書は志麻さんが仕事から帰って、30分以内にちゃちゃっと作って食べたレシピを中心に76レシピご紹介。
使われている食材は近所のスーパーの特売肉や、特売野菜、冷蔵庫の残りものなど身近なものばかり。そんな普通の食材をおいしく生まれ変わらせるためには、志麻さんの長年のシェフ経験を活かした調理ポイントが多数ありました。
例えば、レシピ本でよく目にする“肉に焼き色をつける”という言葉、志麻さんの横に立って観察していたら、通常であればもうひっくり返すよね!?と思うところからさらに何分も焼きます。10分近く中火で焼かれた、かな~りしっかり焼き色がついたお肉、食べてみるとびっくりするほど美味しい。志麻さんに理由をたずねると、「鶏の臭みは皮にあるので、多めの油でしっかり皮目を焼くことで臭みを飛ばしています。皮はどんなに焼いてもパサパサになることはなく、カリカリに仕上がっておいしくなるんですよ」とのこと。
“肉に焼き色をつける”という慣れ親しんだ言葉。具体的にどれくらい焼くのか指示がないと、自分の感覚で焼き色をつけて、“なんだよくある普通のお味じゃない”と結論づけてしまいそう。そんな残念なことにならないように、本書は編集部が調理中の志麻さんの横に立ち、じ~っと観察し、“普通と違う!”と驚いた箇所はじっくり写真で追って紹介しています。水気の取り方、塩のふり方など、炒め方など、当たり前すぎてつい自己流でやってしまいそうなコツをもらさずにピックアップしました。ぜひご自宅で再現なさってみてください。レストランの味が楽しめます
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。
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