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火事、災害、人命危機!! 究極の戦場に立ち向かう新人消防官『め組の大吾』

め組の大吾 救国のオレンジ(1)
(著:曽田 正人 その他:冨山 玖呂)
2021.05.16
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1998年の第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『め組の大吾』。連載終了から20年以上の月日を経て、『め組の大吾 救国のオレンジ』として蘇りました。

今回の主人公は、斧田(おのだ)駿、中村雪、十朱(とあけ)大吾の3人の消防士。
高卒で倍率20倍の消防官試験に受かるだけでも凄いのですが、「救助(レスキュー)選抜試験」を受けるには、ポンプ隊などで1年勤務し、所属の署長の推薦がなければ受験資格すら貰えません。
しかも、年に1度のこの試験に合格できるのは、わずか50名。競争率約9倍の難関なのです。

この「救助選抜試験」を見事突破した3人は、東京消防庁の消防学校で4日間の座学と21日間の実科の「特別救助技術研修」を受けます。

一番優秀な十朱大吾をライバル視する斧田駿は、大吾が助教授(担当教官)に頭を下げているところを偶然盗み見て、弱みを探ろうとします。



「仲間だろ」と言う駿に対し大吾は、「仲間じゃない」と言って立ち去ります。

その様子を見ていた中村雪は……、

初め、女性の消防士さん!? と思ってしまいました。
しかし、まだ3パーセント弱ですが、実際にも女性の消防士さんが活躍していることを知り、思わず雪を応援したくなりました。
ちなみに駿は、高校時代から雪のことが好きで、消防士を目指したのも雪の影響があったからなのです。

そんな3人は、研修のクライマックスである、実際に燃える屋内で人命を救出する「耐火建物対応訓練」に臨みます。
雪が先頭に立ち「ホース線」を、駿と大吾はバディを組み「人命検索・救助」を担当。この訓練を通して、互いに命を預けることができる相手だと気付くのです。

こうして全過程を終了した3人は、ホースと犬のマークに「TOKYO RESCUE」と書かれたワッペンを受け取ります。

しかし、研修を終えたからといって、すぐに救助隊へ配属されるとは限りません。
研修終了と同時に「特別救助隊」に入れたのは大吾だけ。駿は半年後、そして雪は通常の勤務をしながら、欠員が出るまで待機なのです。

駿が大吾と同じ「不破消防署特別救助隊」に加わった初日、いきなり「出場」がかかります。
現場では、建物倒壊により50代男性の要救助者が動けずにいました。

いつ崩れるかわからない建物の中で、こんな救助活動が行われていることを今回初めて知りました。

実は近所に消防署があり、「消防救助機動部隊」という“いかつい”看板にピンと来ていなかったのですが、ホースと犬のマークに「TOKYO RESCUE」の文字を見つけ、都内に数カ所しかないハイパーレスキューの拠点だったことがわかりました。
どおりで、通勤時のスーツ姿でも凛々しいはずです。彼らは選び抜かれたプロ中のプロであり、命がけの仕事をしているのですから。

この漫画を読んで初めて以下のことを知りました。
要救助者のことを252(ニーゴーニ)と呼ぶ。
252発見の合図はロープを2回引く。
救助工作車に搭載される資器材の種類は200以上、主な資器材の点検だけでも1時間以上かかる。
返事は「はい」ではなく「ヨシ」と言うだけでなく、実際の現場ではどんな活動が行われているのか。

タイトルにある「救国」という言葉に今後、駿、大吾、雪の3人が大災害から人々を救うことになるだろうと予測します。
前シリーズの登場人物である甘粕士郎(あまかすしろう)も、今後どう関わっていくのか楽しみです。

今まで消防署の敷地にある瓦礫の山で、どんな訓練が行われているのか想像すらできず、レスキュー隊はニュースの中の人々という印象でしたが、『め組の大吾 救国のオレンジ』を読んだことで、グッと身近に感じました。

地震が多い日本という国に暮らしている以上、私たちは災害と隣り合わせの生活です。だからこそ今、読むべき作品であると思いました。

  • 電子あり
『め組の大吾 救国のオレンジ(1)』書影
著:曽田 正人 その他:冨山 玖呂

新人消防官。その名は「大吾」!
火事、災害、人命危機。人類の憎むべき敵に立ち向かえ!
曽田正人が再び描く、熱き消防官の物語。

“救助”という究極の戦場へ。若き3人の消防士たち!

地獄の“特別救助技術研修”に臨む斧田 駿。そこで十朱 大吾、中村 雪と仲間になる。
ある計画のため東京消防庁に招かれた歴戦の勇者・甘粕 士郎が彼らを“現場”へと送り出す──!!
第2巻は、6月17日(木)発売予定!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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