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エリート中のエリートなのにポンコツご主人。塩対応メイドを喜ばせたい。

メイドの岸さん(1)
(著:柏木 香乃)
2020.11.15
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年齢もキャリアも私の方がずっと上なのに、異常に気を遣わなければならない相手というのがいます。
そういう人は大抵ぶっきらぼうであまり笑わず、簡単に心を開かないぞという独特のオーラをまとっています。
でも、その人がふとしたときに違う顔を見せると、妙に可愛いかったりします。
『メイドの岸さん』に出てくる岸さんは、まさにこのタイプ。ギャップがたまらなく可愛い人です。

早瀬貴一朗(25)は日本有数の名家出身で、数々のグループ企業を束ねる資産家でもあり、ルックスも申し分ない完璧な人間。
ただし、生活力が著しく低く、メイドの岸さんがいないと何もできない“ポンコツ”。

つまり、岸さんに辞められでもしたら生活が成り立たないので、なんとか岸さんを笑顔にしようと貴一朗がとった作戦というのが……、




「……はぁ、まぁ……」「どもっス」「気持ちいいっスね」「いらないっス」
無口な岸さんはどこか冷めていて、喋るときはいつもこんな感じ。
メイドさんにありがちな、「ご主人様~」「かしこまりました」は一切出てきません!!
常に無表情で、スパッと言い切る塩対応なのです。

それに対し、あの手この手で岸さんを喜ばせようとする貴一朗は、無駄に財力があるので、やることなすこと半端なく、それなのにいつも空回り。
おまけに何でも言葉通り真に受ける性格なので、勝手に想像を膨らませ、岸さんがストライキしていると勘違いしてしまいます。

そこで、労働環境の実態調査をしようと思い立った貴一朗は、会社に行くふりをして屋敷に残り、岸さんの行動をチェック。
もちろん、見つからないように気をつけているのですが……、





かえって岸さんの仕事を増やしてしまう貴一朗。
このあり得ない"ポンコツ"ぶりが、妙に可笑しい愛すべきキャラなのです。

一方、岸さんはメイドとしては非常に優秀なので、急遽秘書の代わりにチャリティパーティへ同行して欲しいと貴一朗に言われます。
しかし、岸さんの反応は……、

こんな断り方します? さすが岸さん!!

また、貴一朗の忘れ物を会社に届けに行った岸さんに対し、貴一朗は気を遣ってお茶に誘うのですが……、





コートは着ているものの頭にはカチューシャ。メイドの鏡とも言える岸さんの断り方がまたしても独特すぎて、彼女の凄さを思い知らされます!!

本当に何を考えているのかわからない岸さんですが、貴一朗のことが嫌いなのかというと満更でもないようなのです。
無表情の下に隠された顔が、時々見え隠れするところが、これまた可愛いのですが、これは単なるご主人様に対する忠誠心なのか、それ以上の感情があるのかないのか、よくわからないところも岸さんらしい。

そして、岸さんがこの家のメイドとして働くようになったのには、何か深い事情がありそうなのです。
最後のVTRで語られるシーンも、一体どういう意味なのか、岸さんに何が起こったのか、謎の美少女がさらに謎めいて気になりました。

最後のVTRで語られるシーンも、一体どういう意味なのか、岸さんに何が起こったのか、謎の美少女がさらに謎めいて気になりました。

『メイドの岸さん』の魅力はなんと言っても、貴一朗と岸さんの2人から醸し出される独特の“間”と“空気感”。
この面白さは、いくらここで説明しても伝わらないと思うので、ぜひ初めから通しで読んでみてください。きっとクセになりますよ!!

  • 電子あり
『メイドの岸さん(1)』書影
著:柏木 香乃

「クールな君を甘やかしたい」。早瀬貴一朗は日本有数の名家「早瀬一族」の次期当主で、数々のグループ企業を束ねるエリート中のエリート。そんな彼の唯一の欠点である“ドジ”をいつもクールにカバーするメイドの岸さん。どんな時も表情一つ変えない彼女を、貴一朗はとにかく喜ばせようとするが……? ポンコツご主人が、塩対応メイドを喜ばせようと四苦八苦!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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