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生理、PMS、妊娠・出産を控える女性のからだは想像以上に過酷!『はたらく細胞』スピンオフ

はたらく細胞LADY(1)
(原作:原田 重光 漫画:乙川 灯 監修:清水 茜)
2020.08.23
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細胞目線で描く女性の体

女性の体にまつわる話は、女性同士で話すと「そうそう」が7割、「そうなんだね!」が3割くらいのイメージだ。みんなちょっとずつ違って、でも悩んでいることはとてもよく似ている。そして知識の濃淡も人によって結構違う。

『はたらく細胞』のスピンオフ作品である『はたらく細胞LADY』は、大人の女性の体内が舞台だ。主役はもちろん細胞たち。やっぱりみんな働き者! 献身的な細胞たちの目線から、女性の体のあれこれが描かれる。

『はたらく細胞』シリーズで一番好きなのはこんな風に「体内のイベントを細胞目線で描く」ところだ。鉄分が不足し、赤血球がちっちゃくなって……?

鉄欠乏性貧血ってそういうことなんだ! こりゃしんどいわ!

こんな風に「そうそう」と「そうなんだね!」の連続だった。ああ、体、大事にしなきゃなあ……。

“お嬢様”に仕える細胞たち

とある女性の体内で働く細胞たちは、体の持ち主を「お嬢様」と呼んで日夜身を粉にして働いている。自分に当てはめて読んでいるので私はこの時点ですでに気分がいい。

免疫細胞たちはリンパ節というお屋敷に住まい、お嬢様を守り続けている。そして彼らの容姿はあらゆる方面の男前。



お掃除大好き“マクロファージ”はその役目通り、めっちゃ綺麗好きな戦う執事。お嬢様がすべて、お嬢様が絶対、というキャラクター。

ワイルドな“キラーT細胞”。殺し屋っぽい風貌だ。


何かとアワアワしがちな“白血球”と、かわいい“B細胞”。

彼ら免疫細胞の主な仕事はウイルスや細菌と戦うこと。が、お嬢様にはお嬢様の事情があって……、



ダイエットをすることも。みんなの「またか」というげんなり顔、これとおんなじ表情をしてる細胞が私の体内にもいそうだ。つまり、お嬢様サイドがちょっとダイエットをしてみたり冷え症で困っているとき、彼らの仕事も増えるのだ。



風邪が治らない! わかる! ダイエット、冷え症、PMS……読むと「栄養ちゃんと摂らないとなあ」と猛省する。



鉄分不足により荒(すさ)みきった「とある場所」にゾッとした。綺麗になりたくてダイエットしてるつもりが逆効果なんてこともあるのだ。鉄分、絶対摂る。さあ、この荒野は体のどこでしょう?

女性ならではの出来事

『はたらく細胞LADY』は大人の女性の体の物語。なので、生理や女性特有の病気も登場する。この辺りの話は、女性の間でも知ってる人と知らない人の差がある。私も知ってるつもりで知らなかったことがいくつかあった。



「生理中は下腹部だけじゃなく胃も痛くなって、最終的にお腹を壊す」という超絶ハードな生理痛を抱える知人がいる。その仕組みが本作でやっとわかった。これはしんどい。



この月経のシーンが好きだ。いつか訪れるかもしれない妊娠と出産に向けて働く子宮内膜細胞たちと、その旅立ち。月経の仕組みは理解していたけれど、こうしてマンガで読むとじーんとくる。(このときマクロファージが子宮内膜細胞にかける言葉がとっても良かった)

そして女性ならではの病気の話も描かれている。早めに知ってほしい大事な話だ。



子宮頸がんと、その主な原因であるHPV。20代後半からこの話を身の回りで何度も聞いて、そのたびに胸を痛めている。HPVワクチンの効果についても言及されているので、とてもとても嬉しい。細胞たちが頑張ってくれているのだから、お嬢様側も検診と予防で彼らに協力してゆきたい。

女性本人が自分の物語として読めば体が愛しくなるはずだ。そして「女性の体の仕組みは一応学校で習ったけど、やっぱり謎」と思っている人にも読んでもらいたい。

  • 電子あり
『はたらく細胞LADY(1)』書影
原作:原田 重光 漫画:乙川 灯 監修:清水 茜

生きとし生けるすべてのレディーに捧ぐ、愛しき体内の物語。
生理、妊娠、出産、女性特有の不調や病気。
日々目まぐるしい変化にさらされる女性の体内。
「お嬢様(体内)は、私たち(免疫細胞)がお守りします!」
大ヒット細胞擬人化漫画『はたらく細胞』の、“女性”に特化したスピンオフ!

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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