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【痛快★お仕事漫画】有能に見える女と無能に見える男がタッグを組んだ。その実態は!?

無能の鷹(1)
(著:はんざき 朝未)
2020.06.02
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もっと気楽に生きてもいいのかもしれない。
読む前と後で、こんなにも自分の考え方が変わるとは思ってもみませんでした。
競争社会を勝ち抜き、頑張るのが当たり前、上を目指してこそなんぼ、みたいな価値観の中で長いこと生きてきましたが、これに何の意味があるのだろうとさえ思ってしまいました。
なんて言うと、かなりお堅い内容の漫画なのかと思われてしまいそうですが、思い切り肩の力抜けまくり~です。だってもう笑っちゃうぐらい無能なんですもん。

コミュ障で、大事な場面では胃腸の調子がおかしくなる鶸田(ひわだ)が、ITコンサルの入社試験で出会ったのが鷹野ツメ子。
鷹野はスーツをビシッと着こなし、理知的で人徳に溢れた顔立ちとスマートな身のこなしで、デキる人オーラ全開の女性でした。
ところが入社から1年半後、彼女は社内ニートになっていたのです。
なぜなら、外見とは裏腹に周りもびっくりするほど仕事ができない無能人間だったから。

私も高校時代、物理と化学と数学の授業では、同じことを思っていました。  

何がわからないのかが わからない

だからこの気持ちはわかる。でもこれって、社会人には禁句です。お給料やギャラという対価が付くからです。
わからないなら寝ずに勉強しろ、人に聞く前に自分で考えて盗め。そんな考え方に疑いも持たず、自分に鞭打ってきました。“自分の居場所”を作るために。
でもそこには、他人の目を気にしていた自分も居たと思います。

だから、周りの辛辣な言葉が気にならないのかと聞かれた時の鷹野の返事に、ぶっ飛びそうになりました。




 

鋼のメンタル、究極の楽天家。正直、こんな鷹野の思考能力が羨ましかったりもします。
ただし、苦手だなぁ、このタイプ。お前がちゃんと働かないから、そのしわ寄せがこっちに来てるんだよ! と私だったら心の中で毒づくと思うので。

でも鶸田は優しいのです。自分が担当するプレゼンに鷹野を連れて行くのです。
このときの鷹野のセリフ「爪あとを残してきますよ」には、大物感すら漂いますがポンコツはどう足掻いてもポンコツなので、鶸田はヒヤヒヤしっ放し。

ところが、クライアントは鷹野を“デキる”上司だと勘違いし、鶸田は初めての契約を獲得します。
この鷹野とクライアント達とのやり取りが、かなり笑えるのですが、鷹野みたいな存在は潤滑剤にもなるのだなと気付かされました。

たまにいませんか? 人の意見を片っ端から否定する人。それが上の立場の人だったりすると周りは顔色を伺いながら話すしかなく、そのうち誰も意見を言わなくなるんですよね。

逆にくだらないことでも誰かが発言することによって場がなごみ、みんなが自由に意見できるようになることはよくあります。
だから怖いもの知らずの鷹野みたいな人は、実は大事なのかもしれません。

そんな鷹野によって会社の人たちも、様々なことに気づかされます。
ここまで来ると逆に、鷹野ってすげ~!!とさえ思えてきます。
一見、クールに見える外見も独特のオーラも、伊達じゃないってことです。

でもそれは、鷹野が他人の価値観に惑わされることなく、主観的に生きているからなのだと感じました。

鷹野を見ていると、何がきっかけで良い方向に転がるかわからない!! という前向きな気持ちにさせられます。
世の中がこんなに変わってしまった今だからこそ、ちょっと視点を変え、肩の力を抜くにはぴったりの作品だと思います。

  • 電子あり
『無能の鷹(1)』書影
著:はんざき 朝未

就活で鶸田が出会ったのは、一目でわかる“デキる人”鷹野ツメ子。一方、鶸田は見るからに気弱そうだが、実はポテンシャルを秘めた人間だった。同期入社を果たしたふたりは1年後、最強タッグを組む!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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