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のちの清少納言、平安時代にグラサンとネイル!? 時代を駆け抜けたぶっ飛び平安絵巻

清少納言と申します(1)
(著:PEACH-PIT)
2020.03.29
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「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる」
高校生のときに覚えた『枕草子』、残念ながら実生活で役に立ったことは一度もありませんでした。
清少納言に関しても知っていることといえば、一条天皇の皇后、中宮定子(藤原道隆の娘)に仕えた優秀な女官で、紫式部とはライバル!?という程度。
今更ではありますが、少しは勉強しようとこの本を手にしたら、平安絵巻に出てくる黒髪ストレートにお高く留まったインテリ女性という、私の想像とは全く違う清少納言の姿にやられました!!


この時代にサングラス!?とツッコミを入れたくなりますが、「葦で作らせた日よけよ!  小さな御簾が目の前にもあればいいなーって」と、もっともらしきことを言われたら、まぁそんなこともあるか~、彼女がそう言うならそうに違いないと妙に納得してしまいました(笑)。

この話は、清少納言を名乗る前の清原なぎ子(きよはらのなぎこ)が、橘則光(たちばなののりみつ)に嫁いだところから始まるのですが、なぎ子を嫁と認めたくない則光の姉・光子は、2人を離縁させようと画策します。
聞けば2人は、結婚を意味する共寝(ともね)をしていないというのです。

この時代、男が女の寝所に忍び込む「夜這い」が当たり前だったと『源氏物語』で勉強したことを思い出しました。
古文の授業を聞きながら、好きでもない男に押入られたらどうするのだろう?  単なる遊びで夜這いをされたら、たまったもんじゃないなぁと思っていたのですが、ただの夜這いと結婚に至る違いは、「三日夜(みかよ)の餅」だというじゃありませんか。
「三日夜の餅」とは、3回夜這いをして一緒に餅を食べたら結婚成立という慣しで、当時もこんなガールズトークがあったかもしれません。

それにしても、なぎ子とは対照的なブラコンでいきおくれの光子。
過去の夜這い経験が彼女を卑屈にしてしまったようですが、それに対するなぎ子の言葉は、まさに“いとをかし”。 (※とっても素敵という意味)





さすが、なぎ子! こんなことを言ってくれる女友達がいたら、どんなにいいだろうと思ってしまいました。

しかしなぎ子には “あなや!!” (※驚いたときの言葉)という、とんでもない秘密があったのです。
しかもそこに「将来を誓い合った許嫁(いいなずけ)」と名乗るげに美しき殿方、藤原実方(ふじわらのさねかた)が現れ、光子のハートも“いとやばし”とときめいてしまうのです。

実はこの藤原実方という人物、清少納言の恋人だとか、『源氏物語』に出てくる光源氏のモデルだとか言われている人です。
実方が可愛い幼子を見て言うセリフ、「今のうちにどっかに囲って理想の女性に育てちゃおうかなぁ……」は、まんま光源氏で笑いました。

この作品は、史実に基づいた清少納言というより、かなり現代的な味付けがされた世界が描かれています。
しかしそこにあるのは、男であろうと女であろうと常識に囚われず自分らしく生きるということのような気がして、あの時代には型破りな女性であった清少納言と重なります。
とはいえ、全く先が見えない展開なので、今後、宮中に入ったなぎ子がどんな型破りなことをしでかしてくれるのか期待したいです。

  • 電子あり
『清少納言と申します(1)』書影
著:PEACH-PIT

時は天元――春。
橘氏長者の長女・光子は、溺愛する弟・則光の婿入りにショックを受けていた。
則光の結婚相手・なぎ子は、輝く美貌と雅なセンスの持ち主。
しかし、なぎ子の言動に不審なものを感じた光子は、2人の離縁を画策する。
光子がたどり着いた、なぎ子の秘密とは――!?

後の清少納言である、なぎ子の奔放かつ胸に刺さる言葉の数々。
歴史漫画の枠にとらわれない、これまでになかった新たな平安絵巻、開幕!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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