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メンタル弱い松岡修造が断言! 結弦も錦織も日本代表も「弱さがあるから、できる!」
空前絶後というとあの絶叫芸人を思い浮かべますが、松岡修造さんの応援の熱血ぶり、熱心さこそ空前絶後、唯一無二ではないでしょうか。彼の応援はアスリートたちだけではありません。普通に生き、悩み、苦しむ私たちにも力を与えてくれます。まさしく「日本の応援団長」と呼ぶのにこれほどふさわしい人はいません。
この本では自分の弱さを認め、それから目を背けることなく、むしろバネにして前へ進み続けているトップアスリートたちが数多く登場します。最強とも思える羽生結弦が心に抱えていた弱さ、「イヤなこと」だからやるという平野歩夢、「弱さをみせていいんだ」といった北島康介とその言葉で前に進めたという萩野公介、さらに宮原知子、高木美帆、小平奈緒、阿部一二三、錦織圭たちが話したさまざまな言葉、エピソードが綴られています。それらは、彼ら、彼女たちが自分の弱さに気づき。それとどう向き合ったかということでした。
松岡さんはそれらを聴き、こう思ったそうです。
弱さはみせていいんです。むしろ、さらけだしてしまったほうがいい。そんな弱さがあるからこそ、乗り越えたとき僕たちは強くなれる──。(略)
自分の弱さを「イヤだな」と思いながらほったらかしにするのではなく、自分なりのやり方で超えていく。それこそが、本当の「強さ」だと僕は思います。
本当は「弱さ」は自分の可能性を教えてくれるものでもあるのです。いきづまり、スランプにみまわれながらも、彼ら・彼女たちがそれをどのように乗り越えてきたか、それらは松岡さんだからこそ聞き出せたのです。トップアスリートたちの強さは、弱さを知ったところから生まれました。
その中に日本人として初めてNBAのプレーヤーとなった田臥勇太さんが登場します。念願のNBAに入ったものの田臥さんは身長差のハンディ(周りは2メートル以上、彼は173センチ)に苦しみます。でも彼は「もし背が高ければ……」とは思わないで、「背が低いからなにができるのか」を追求しました。(松岡さんはこの体格の差のようなことを"自分不公平"と呼んでいます。その詳細は本書を読んでください)
けれど現実は厳しいものでした。
NBAは、スター選手やレギュラー選手以外は「試合に出た翌日に解雇」すら当たり前の世界。田臥さんも、デビュー戦からわずか1ヵ月後に解雇されてしまいました。4試合に出場して、プレー時間は合計17分。
挫折とも思われがちな帰国でしたが、田臥さんはNBAへの復帰をあきらめたわけではありません。「日本で自分がプレーできることを見せながらNBAへの復帰をめざすのも、チャレンジの一つの方法」と心を決めたのです。
松岡さんは田臥さんのなかに「とにかくバスケットボールが大好きで、バスケができればそれで嬉しい、楽しい」という素直な思いを見つけたのです。自分の「好きなもの」に取り組める幸せが田臥さんのなかにあったのです。
松岡さんらしさはこの「好き」というものとのつきあいかたにとてもよくあらわれています。
「好き」は必ず見つかりますが、「すぐに」というわけにはなかなかいきません。たぶん、世の中には好きなことがなかなか見つからなくて、なんとなく勉強をしていたり、なんとなく生活したり、なんとなく仕事をしたりしている人のほうが多いでしょう。
だからこそ「好き」と出会えた時には心から喜びましょう、そして、「好きなもの」を手放さないようにしましょう、と。「好き」だから「本気」になれる、「くじけない」で「チャレンジを続けて」いける。この「好き」を見つけるためにも弱さを含めた自分自身を知ることが必要です。どうすればいいか……この本では「自分のトリセツ」「自分の夢ノート」を作ることが薦められています。
「好き」を見つけたからといって順風満帆ではありません。それは松岡さん自身の半生がそれを示しています。この松岡さんの経験がこの本のもう一つの大事な核となっています。
松岡さんもまたテニスを巡るさまざまな苦しみや悩み、挫折感も味わいました。これらを乗り越えることができたのはやはり「自分の弱さ」から目を背けず、それを受け止めながら歩み続けたからでした。トップアスリートたちが素直に自分の心情を語ってくれたのも、そんな松岡さんだったからです。
私たちのまわりには自分の「弱さ」から目を背けさせてまう言葉があります。松岡さんのいう「マイナス言葉」です。
「ムカつく」「ウザい」。これは、やる気のない自分をごまかして、誰かのせいにする言葉。
「ビミョー」「どっちでもいい」。これは、考えることから逃げている言葉。自分で判断しなければ結果が悪くても傷つかないし、責任も取らなくてすむ。
「でも」「だって」「キレた」。自分の失敗を認めたくない、反省したくないという気持ちの表れ。
「できない」「無理」「やだ」。挑戦する前からあきらめている気持ちの表れ。
マイナス言葉を口にすると、ネガティブな気分がまわりの人にまで伝染して、全体にドンヨリ~としたムードになってしまいます。それがめぐりめぐって自分の返ってくると、気持ちはますます後ろ向きになってしまいます。
マイナス言葉はやる気を失わせ、努力を放棄させ、怠惰を肯定することにもなります。それでは自分の未来を閉ざすことになってしまいます。自分の弱さを認めることは自分の未来・希望を見つめ直し、つかまえ直すことです。本当の出発点はここにあります。そこから始まる努力こそが自分らしい生き方につながるのではないでしょうか。
地道な努力を続けることは、それ自体人間としての強さであり、僕から見ればすごいことをやっているんです。みんな、それぞれに「人生のチャンピオン」! 僕は心から尊敬しています。
「われらの応援団長」からの熱いメッセージで締めくくられたこの本は私たちに希望を与えてくれます。あきらめる前に、自分にいいわけする前に、ぜひ読んで実践してください。元気になれること間違いありません。
- 電子あり
「弱い自分が嫌い」とよく言います。そうした思いで、身動きが取れなくなってしまう若者がたくさんいます。
しかし、日本の応援団長・松岡修造さんは言います。
「弱いことはすばらしいことなんだ。なぜなら、あなたが『成長したい』『チャンレンジしたい』と思っているから、『弱さ』を感じる。本気にならなければ、挑戦しなければ、感じることなんかないんだ!」
と。
「これでいいや」「こんなもんだ」と思っている人には劣等感も何も生まれません。頑張っているからこそ、自己否定の気持ちも生まれます。「弱さ」は成長のチャンスであり、大きくなるスタート地点に立っていると考えれば、世界が違って見えます。
本書では、「才能はなかった」と自らを振り返る松岡さん自身の現役時代の体験、現在の一流選手等への取材で分かったことなど、さまざまな事例を基に、弱さや失敗を飛躍のチャンスに変える「自分の使い方」を語っていただきます。
特に、2014年冬季ソチオリンピックで自分の「弱さ」に負け、「人間力」を磨くためにこの4年間費やしてきた羽生結弦選手と高梨沙羅選手の姿は感動的です。4年前の松岡さんとの「約束」を果たし、羽生選手は66年ぶりオリンピック連覇。高梨選手は涙の銅メダルに輝き、オリンピック後、スキージャンプ・ ワールドカップで男女通じて歴代最多の通算55勝を達成しました。
ほかにも幾多の選手たちが自分の「弱さ」と向き合い、乗り越えようと奮闘しています。長年にわたり、彼彼女たちのその姿に密着してきた松岡修造さんだけが知りえた「真実」を生き生きと描きます。
若者たちには、同世代の選手たちが光り輝いて見えているかもしれません。「自分とは違う」と思い込んでいるかもしれません。しかし、だれもがみんな苦しんでいます。葛藤しています。成功しているかしていないか、勝つか負けるかより大事なことは、自分の弱さから「逃げない」こと──。
それぞれの居場所で、いまの自分を超えようともがき続けるすべての人にエールを送る。「折れない心」を手にするための秘密を解き明かす魂の書!
レビュアー
編集者とデザイナーによる書籍レビュー・ユニット。日々喫茶店で珈琲啜りながら、読んだ本の話をしています。政治経済・社会科学から芸能・サブカルチャー、そして勿論小説・マンガまで『何でも見てやろう』(小田実)ならぬ「何でも読んでやろう」の2人です。
note⇒https://note.mu/nonakayukihiro
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