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講談社社員 人生の1冊【37】輝けるバカたちの物語『新宿遊牧民』
齋藤浩 写真部 40代 男
自称世界一の追っかけです
青い海をバックにビールをグビグビ・プハー。
当時テレビCMで流れていた"すごい男"のマネをして、飲めなかったビールも飲めるようになり、"あやしい探検隊シリーズ"を読んでは無茶を重ね、病院送りになるまで野山を駆けずり回った学生時代。愛読書と言えば椎名誠でした。
著書を読んではすぐに影響され、「一緒にビールを飲みたい!」と夢想、ついには頻繁に立ち寄ると噂された新宿の居酒屋にたびたび通い出す始末。貧乏学生にとっては、決して安くない代金を払い続けましたが、あいにくと一度も姿を見る事は出来なかったのです。
淡い期待を抱いて就職した講談社の入社7年目、突然椎名誠氏の連載担当になり毎月一緒に旅をする事に! 初めて旅した高知県椎名漁港で、とれたての鰹を肴に飲んだビールの味は一生忘れません。それから十数年間、公私を含めほぼ毎月一緒にどこかを旅した結果、「お互い家族よりいる時間が長いよな」と言い合う男同士の不適切な関係になりました。
実際のシーナさんは想像以上にエネルギッシュで義理人情に厚い、最高のガキ大将。常になにか面白い事を考え、皆を巻き込みながら世界をまたにかけて遊ぶのです。パプアニューギニアまで原住民と三角ベースの対決に出かけたかと思えば、モンゴルの大草原で最高の野外麻雀をする場所を探して疾走。またあるときは天然のほやを釣りに、片道1週間かけて真冬のシベリアにエスキモーを訪ねる。
当然シーナさんの周りには、いつもいろんな面白い人達が集まっています。『新宿遊牧民』はそんな人達とシーナさんの人生とが重なりあい、一つの流れになるまでを綴った大河小説ならぬ「実録小川いっぱい小説」であり「輝けるバカたちの物語」なのです。
この『哀愁の町に霧が降るのだ』から始まる人生連続物語に、不肖の私も登場人物として参加するのですが、学生時代を考えたら夢のようなことです。実際の執筆活動にもサポートとして加われ、興奮と緊張の日々ですが充実していました。
今日もシーナさんから「おうい、みんな、あそぼうぜ!」と大号令、これからいつもの居酒屋に集合です。はてさて今度はどんな事を思いついたのでしょう。物語はまだまだ続くのです。
椎名誠の人生遊び日記にして、あたらしいバカ小説。
おうい、みんな遊ぼうぜ! 作家、居酒屋店主、広告マン、編集者、カメラマン。彼らはもとは別々の小川たちだった。その小川が新宿の星空に集まってだんだん大河になっていく。本気で遊び、本気で夢を追いかける。食べること、居酒屋を経営すること、モンゴルのゲルを作ること。愛すべき輝ける馬鹿たちの物語。
執筆した社員
齋藤浩【写真部 40代 男】
※所属部署・年代は執筆当時のものです
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