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2022.07.24

レビュー

『ダイヤのA』公式スピンオフ。青心寮5号室で猫を飼う!? 猫と球児の日常。

『週刊少年マガジン』で2006年から現在も連載中で、アニメもシリーズ化された大人気マンガ 『ダイヤのA(エース)』は、甲子園を目指す青道(せいどう)高校野球部の熱き闘いが見どころでしたが、『ダイヤのC(キャット)』に出て来る彼らは、完全にオフの顔。
しかも野球部の話なのに、野球のシーンは“ほぼほぼ”出てこない(笑)。
でも、これがいいんです。“わちゃわちゃ”している彼らを見ているだけで、ほっこり癒やされてしまうのです。

青道高校野球部員が暮らす「青心寮」5号室で共同生活を送る、沢村栄純(さわむらえいじゅん)、浅田浩史、倉持洋一。
ひょんなことから野良猫が上がりこみ、ついには手放せなくなった3人の課題は「ペット禁止」の寮で、いかにバレずに猫を飼うか!?

ところが真っ先に気づいたのは、沢村の良きライバルでもある降谷暁(ふるやさとる)。
クールなのか天然なのか、感情がよくわからないこの表情がツボです!!
しかも3人を差し置いて、“かにたま”の名付け親にもなってしまいます。






5号室を訪ねて来た小湊春市(こみなとはるいち)にも、猫のことがバレないよう芝居をするのですが……。




さすがに“かにたま”の臭いが気になり始めた沢村は、“かにたま”を洗うことを思い立ちます。



水が苦手な元野良猫を洗うのは大変なのに、1年が入って来るまでの時間は、わずか10分。
この危険極まりない作戦に駆り出されたのは、やっぱりこの2人でした。



当然お風呂でもひと騒動あるわけですが、最大の難関は監督の「抜き打ち寮内持ち物検査」。
ただでさえ強面(こわもて)“グラサン”の片岡監督。過去には、こっそりハムスターを飼っていた先輩が恐ろしい罰を受けた「ハムスター事件」があったとか。
そのため彼らは、“かにたま”を箱に入れて隠そうとするのですが……。



この後にはヒヤヒヤ、かつ笑える展開があり、こんな監督の姿は『ダイヤのA』では絶対に見られないので、なんだか得した気分です!!

それは主将の御幸一也(みゆきかずや)も、稲城(いなしろ)実業高校の成宮鳴(なるみやめい)をはじめとするライバルたちも同じ。こんな顔見たことない!! の連発なのです。
K-POPアイドルBTSが世界的な大スターとなった理由のひとつに、ステージで見せる高度なパフォーマンスと、オフで見せるお茶目な姿とのギャップがありますが、『ダイヤのC』に出てくる彼らも、まさにそんな感じ。
『ダイヤのA』で真剣に野球に打ち込む彼らを見ていただけに、猫を前にしたときのギャップが激しすぎる!!

さらに、コミックスならではの楽しさと言えば、おまけのページ。
ここでは「ダイヤのCができるまで」という制作裏話が載っているのですが、これがメチャクチャ面白い。
この作品が完成するまでの紆余曲折を知ることができて、なお一層、愛着が湧きました。

『ダイヤのA』の愛読者なら、それぞれの性格や設定を知っているので、ムフッと笑えること間違いなし。もちろん読んだことがない人でも、単なる猫好きでも十分に楽しめます。
ツンデレ“かにたま”に振り回されながらも、もふって喜ぶ沢村たち球児の姿にぜひ癒やされてください。

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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