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2020.10.30

レビュー

女子に嫌われて友達がいないギャル、超マジメ生徒会長の友達を目指す!

“友達がいない子”って、どういう子か

『友達として大好き』が私の喉や胸のあたりに残す痛さと温かさのことを考えると全身をゴシゴシ擦りたくなる。たまらない気持ちになるのだ。



自由奔放で学校中から“セクシー女生徒”なんて呼ばれて浮きまくっている女子高生と、



規則に忠実なゴリゴリの生徒会長が放課後に何をするか。彼らは「友達」になろうとする。というか友達ってどうやってなるんだっけ。「あの人と友達になりたい」と願ったとして、それを実現しようとすると結構アタマが真っ白になりませんか。

どんなことをすれば友達になるの?



ダメだ。下手したら絶縁される。



すごくわかる。でもだからこそ、わからなくなる。

友達になりたい子が喜んでくれそうなことをすればいいの?



女子生徒からバケツで水をぶっかけられ、廊下を歩けば男子生徒から「俺にもセクハラしてくれー!」なんて声が掛かる女の子。私だって最初はこの子が何か言ったりやったりするたびに「なんなんだ?」と距離を保ちながら読んでいた。私は彼女と友達になれる気がまるでしなかった。ああもう泣きそうだ。

1巻を最後まで読むとめちゃくちゃ自分を悔いるんですよ。なんで私は「この子、友達いないだろうな」ってすぐ察してしまったんだろうか、って。



本当だね。優しくて切なくて胸がシクシク痛むマンガだ。大好き。

「繋がった人とずっと繋がる為の規則が欲しい」

舞台はとある地方都市の高校。“沙愛子(さなこ)”は非常に惚れっぽく、しかも異性とあっさり肉体関係を持つ女の子。その不純異性交遊ばっちこいの姿勢にとろーんとした見た目が合体した自由な女子高生だ。

で、彼女にはとにかく友達がいない。



とりわけ女子生徒から反感以上の何かと陰口を集めまくっている。

そんな奔放な女子高生・沙愛子がいま大好きなのは、生徒会長の“結糸(ゆいと)”。



先に紹介した通り、規則を守り通すことで学生生活の波風を一切立てずにいる男の子だ。沙愛子は結糸と出会って5秒で「付き合ってください」と告白し、振られる。

ここのやり取りが可愛くておかしいんだけどもジワジワと居心地が悪い。そして「あ、この子は大変だ」とわかる。


自分の外見について確認して再度「付き合って」と申請。ま、生徒会長サイドからすれば「なに言ってんだ?」なので、断りますよね。次のターンの会話がこれ。



なんなんだこの子? AIの方がマシな会話できそう……そう、ここ。結糸と仲良くなりたくてブラを見せるとか手を握るとか、そういう個々のエロアクションの濃度ではなく、コミュニケーションが総じてぶっ壊れているのだ。圧巻の平行線。



沙愛子は人の気持ちがわからない。気持ちがわからないから、せめてルールがほしい。そして、他の子のように自分をいじめない結糸ともっと仲良くなりたい。



さみしくて切実な願望だ。名言だなあと思う。本作はふと思い出して胸をさすりたくなるようなセリフや表情が多い。

本能で友達になる

規則に忠実な生徒会長は、沙愛子に何を“友達の規則”として伝えるのか?



笑う。でもこのマンガは生徒会長が自由奔放な女子高生をご指導ご鞭撻(べんたつ)するラブコメじゃない。



双方向の物語だ。だからグサリと人の心に入り込む。

そして、規則だけで友達はできるだろうか? できたら苦労しない。その苦労を、沙愛子と結糸という真逆のレイヤーを薄くなんども積み重ねて描く。だから刺さってしょうがない。

「人の気持ちがわからない子」は、友達ができない? そうなの? 



じゃあ、人の気持ちがわかるようになったら、みんなの仲間入り? それってめちゃくちゃダサくないか?

沙愛子は「友達を作る」ためにある大胆な作戦にでる。



沙愛子の愛らしい顔と、対照的な結糸の顔。この時何が起きているかは読んで確かめて欲しい。私はとても辛かったけれど、同時に希望めっちゃあるなと思った。それは、どんな子でも友達は作れる、そして、どんな子とも私は友達になれるんじゃないかという希望だ。

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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