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2020.06.15

レビュー

出会ってしまった。最低最悪の運命の人。恐怖のマッチングアプリで地獄の日々

「こんなことになったらイヤだな」がすべて現実になる

あの子も可愛い、この子も可愛い……そう思ってマッチングアプリの画面をスワイプしていくうちに、やがてとんでもない目に遭う男子大学生の話です。題名は『ツバサちゃん、君は マッチングした女は殺人鬼』。



不運にも殺人鬼とマッチングしてしまうことで始まる学園スリラー。これ、ものすごく厄介です。シンプルに殺人鬼と出くわすよりも100倍地獄。

なぜなら2人はマッチングしているから。マッチングって「お互いがお互いを気に入っている」状態なんです。つまり、ある男が謎の殺人鬼に好かれてしまい、地獄を見るわけです。


ヤだなあ……と思うことがもれなく現実になります。「ブスか?」とか言いながら画面をシュッシュとスワイプしていたあの日に帰りたいだろうに。

“運命の人”とマッチングしたかも?

主人公の“壮介”は大学1年生。垢抜けず、内気な性格で、大学ではちっともモテません。でも壮介には癒しがあります。マッチングアプリ「anonymous(アノニマス)」です。



匿名でユーザー登録し、プロフィールを載せて、ちょっと(かなり?)加工した顔写真を見せ合いっこして、誰かと仲良くなるアプリ。マッチングしたあとはアプリ上で個別にメッセージのやりとりができるので、相手との相性がわかる……という仕組みです。

無数の相手と出会えて、メッセージをやりとりして気に入ったら直接会ってみてもいいし、会わなくてもいいんです。便利! 内気な人にも親切な設計。

壮介はモテないと自認しつつも彼女がほしくてanonymousを使い始めます。



話しやすそうな女の子“ツバサちゃん”とマッチングし、メッセージのやりとりをすることに。プロフィールによると同じ大学の同学年の模様。

プロフィール写真よりも可愛い(気がする)! とうてい殺人鬼には見えないんですが、あらためて読み返すと部屋の小物やダンボールの箱が気になってくるな……。

この日から壮介とツバサちゃんは頻繁に連絡を取り合います。で、このツバサちゃんがすごく優しいというか、めちゃくちゃ都合がいいんです。壮介のためにいろんなことをしてくれるし、しすぎる。



モテない壮介が夢想する女の子そのもの。まだ会ったこともない人からの差し入れを喜んで食べてしまうくらい彼は舞い上がっているわけです。



しかも同じ教室で授業を受けているらしい……どの子かなあ、あの子かなあ、と期待は膨らむばかり。

ツバサちゃんにすっかり甘えきった壮介は、いつものノリで、うっかり「ウザいヤツ」の話をしてしまいます。軽い気持ちで「死なねえかな」と言ってしまい……、



「承知!」とばかりに微笑むツバサちゃん。イヤな予感がする。

「どこにいる?」の意味が変わってしまう

イヤな予感は的中します。壮介がウザいなーと愚痴った同級生が立て続けに殺されるのです。たとえば壮介が冗談で「電車に轢かれて……」と言った相手は、“誰か”に突き飛ばされて電車に轢かれてしまいます。



突き落とばした“誰か”はツバサちゃんに似てる……焦る壮介の手元で着信を告げるスマホ。



はいビンゴ。ツバサちゃんはいつもと同じように「壮介くんのため」に行動したんです。どう? どう? と言わんばかりに届くメッセージ。さっきまでウキウキしてたのにね……あんなに待ちわびていたツバサちゃんからの着信は、もはや壮介を「ひぃ!」とビビらせる存在です。

ここから大学の友人との「ツバサちゃん探し」のミステリーが始まります。

「ツバサちゃんはどこいるのかなあ」と呑気に見渡していた大学も全く違う世界に変わってしまうわけです。もうひとつ変化があります。壮介と女の子の接点が急に増えるんです。



どの子がツバサちゃん……? それにしてもかわいいな。


事件をきっかけに美少女がいっぱい壮介に接触します。ちょっとそれどころじゃない本人に代わって私が喜んであげたいよ……全員めっちゃ怪しいけど……。



ツバサちゃんからも引き続き鬼のような勢いでメッセージが届きます。怖い。ツバサちゃん、尽くして尽くして押しまくるタイプと見た。

やがて壮介たちは「誰も知らない少女事件」という数年前の連続殺人事件に行き着きます。

ツバサちゃんの過去は? 過去の事件と関連があるの? なんで壮介とマッチしちゃったの? ツバサちゃん以外も怪しくないか? というかツバサちゃんの好意と殺意はどうすれば!



本作で描かれるマッチングアプリの名前が「anonymous=匿名」というのもトラップに見える。1巻の続きはマガポケで読めるのですが、いろんな要素と美少女を巻き込んで予想もしない方向に展開しています。どうする壮介!

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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