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2019.12.08

レビュー

生徒会長×腹黒後輩イケメン書記。放課後の生徒会室でインモラル・ラブ

あっちもこっちも「わるいこと」でいっぱい

最近なにかと年下の人に「いい子だよねー」とか言いがちだけど、これは要注意で「いい子」と言われた側は「ホントはそうでもないけど」とモヤっとしてる場合だってあるんですよね。『わるいこと、ぜんぶ。』の主人公“伊吹雛子”も、そんな女の子の1人です。



この気鬱な表情。後ろめたいことは自分が一番よく知っているものだし。でも、読んでいるこちらは「自分で思っているほどあなたはわるくないんじゃないか」と思ったりする。

とはいえ、『わるいこと、ぜんぶ。』には結構な量の「わるいこと」が散りばめられていて、そのひとつひとつは悲しかったりモラルに反するのだけども、なんだか絶望するでもなく、共犯者の気持ちでドキドキしながら読めてしまいます。

品行方正な生徒会長が待つ「水曜の放課後」

雛子は高校3年生で生徒会長をしている真面目な女の子。生徒会顧問の“矢野先生”に片思い中。でも先生には婚約者がいます。



女性の婚約指輪はよく見かけますが、婚約の段階で男性が指輪をしてるのは結構めずらしい気が。で、この先生は雛子にすごく優しいんですよ。「伊吹(雛子の苗字です)なら大丈夫だよ」と言いながら雛子の頭をポンポン、みたいな。もしアラサー女子会を開いたら、矢野先生については現段階の情報だけでも多分言いたい放題になるんですが、この先生には強烈な「裏」があります。



水曜日の生徒会の打ち合わせのあと、矢野先生は校内の女子生徒と「わるいこと」に耽(ふけ)るのが大好き。しかも毎回違う相手。本作の「わるいこと」を煮しめたような男なんです。



雛子はその様子を生徒会室から1人で毎週コッソリと見ています。これが、雛子にとっての「わるいこと」。矢野先生、カーテンくらい閉めておけばいいのに……いつか捕まって人生大破するぞ……でも、彼はわざとカーテンを開けてるんじゃなかろうかと私は期待してます。

で、この雛子のヒミツと、先生のヒミツ両方を知ってしまった人物が。


ひとつ年下の生徒会メンバー“知花くん”です。すごくいい子っぽく見えますが……、


わっるそうな顔! イケメンが悪い顔するとほんと剃刀みたい。というか、この生徒会どうなってんの!?



ハイ、雛子の恋心もバレバレ。雛子は「みんなには秘密にして、なんでもするから」と知花くんに懇願します。先生のことも、自分の気持ちも守りたい! そして知花くんはある条件を雛子に提示します。それは「毎週水曜日、生徒会室で俺と会うこと」です。「それだけでいいの?」と雛子はホッとするものの……、



ですよね、そんなことじゃ済まないですよね。わるい! ここから先の「わるいこと」の引用は控えますが、雛子は「ヒミツを守らなきゃ」「私はいい子なんだから」と自分に言い聞かせます。でも、知花くんという男は、悪いんだか悪くないんだか曖昧な人なんです。


わるい。でも律儀。この知花くんの律儀さに雛子はちょっと感謝すらしちゃうんです。どんだけいい子なんだろう、雛子。


やっぱわるい!

「わるい」ってわかってるけど

雛子の「私はいい子なんかじゃない」と「私はいい子なんだから」の両方で揺れまくる姿はインモラルでかわいいヒロインです。それに、どこからどう見てもアウトな矢野先生への恋心を大事にする時点で、彼女はとても人間臭いというか「わるいってわかっているけど、でも」の化身なんですよね。そこに知花くんが関わることでどう変わるんでしょう。



「したくなかった」ということは過去形ですよね。知花くんは一見すると腹黒い後輩なのに、なんだかそれだけじゃない複雑さがあります。それが雛子に作用して、ドキドキするような「わるいこと」がもっと増えるといいなと思います。

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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