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2019.03.26

レビュー

結婚生活はインスタ映えもしない地味な毎日。すれ違う夫婦たちの「ごはん」を巡る物語。

恋人たちはみな、「理想的で幸せな夫婦になれる」と信じて結婚する。
でもいざ結婚し、仕事はそのままに、さらに子どもが生まれたら……?
それぞれの時間は1日24時間。2人合わせて48時間しかない。

なのに新たな家事と育児が発生する。育児なんて24時間ずっと。
夫婦の48時間では時間も余裕も絶対的に足りない……。
でも夫婦は変化の過程で、そんなシンプルなことに気づかない。

外で働くことに必死な夫は思う。
「家にいるならもっと家事をちゃんとやって。ご飯を作って、掃除をして」
「俺は本気で仕事を頑張っている。命がけだ。家族のためだ」
「時短勤務などは到底無理。俺の責任をわかってくれ」
「どうして君は働こうとしない。いつ働くんだ、いつからなら働けるんだ。家の経済状況をわかっているの?」

子を守ることに必死な妻は思う。
「子どもの命を守り、育むことで精いっぱい。ほかに何かする余裕などない」
「そりゃ働きたい。働いて認められたい。あなたからも社会からも。でも今はできない」
「家事をしようとしても子どもが後追いして、料理をするのも一苦労。やったことない人にこの大変さはわからない」
「家事をしても誰にも何にも評価されない。仕事なら賃金という形で評価が見えるのに」
「もし、万が一、あなたと同じ額でも半額でも稼いだとしよう。そうしたらあなたは家事を負担してくれるの? 保育園の送り迎えできるの? できないでしょう、やっぱり負担は全て私」

──本作品もそんな、お互いの気持ちがすれ違ってしまう夫婦たちが登場するオムニバス作品だ。

理想の生活を望んで結婚して子供をもうけたはずなのに、待っていたのは夫が不在の、まるで母と子の2人しか世界に存在しないかのような感覚に陥る寂しい妻。

共働きの妻と家事のことで喧嘩をし、家事を全部やってみせると言ってしまった旦那さんの奮闘。

子どもができたと同時に旦那さんが専業主夫になってくれたけれど、自分は必至で仕事をしているのに旦那さんが楽しているように見えてしまう妻。

夫婦なのに生活時間も食事もバラバラ、まるで他人のようにすれ違う夫婦。

それぞれが夫婦という関係に悩み、でも外では悩みなんてないようなふりをして見せて、愛し愛されているんだ、幸せなんだと自分に信じ込ませて生きている。

どちらが正しいという話でもない。妻の言い分に同情するわと、一緒に悔しがることを求めているわけでも、旦那さんが正論だ、社会は厳しいのだと言う話でもない。お互いがお互いの立場や状況を知り、理解し、距離を縮めればよいだけ。

……でもたったそれだけがどんなに難しいことか。

恋愛は「快楽」であり、「夢」であり、「休日の娯楽」であり、「お互いを見つめ合うもの」だった。それが結婚になった瞬間「忍耐と寛容」になり、「現実」になり、「日常生活」になり、「同じ方向をみるもの」に変わる。

そんな急激な変化に心身が対応できないのは当たり前。

そこでです! 腹が減っては夫婦はできぬのです!
美味しいご飯を一緒に作って、一緒に食べて、エネルギーを補充したら、さあ腹を割って話し合いましょう。
これから段々「夫婦」になっていけばいいのです。

我が家も数えきれないくらいぶつかり合いながら、そして今も時々文句を言い合いながら、なんとか均衡を保っています。
そんな私も本書に掲載されている「頑張らないのに美味しい料理」を作ってみました。

料理って家事の中で一番大変なんですよね……。メニューを考えて、食材を買って、作って。一番手間がかかるから分担が一番揉めるし、省力化したいところ。
SHIORIさんのレシピは「美味しく簡単でヘルシー」を叶えてくれる、忙しい女性の味方。一気に大ファンになりました。

炊飯器にお任せ! 初めてでも失敗しらずの「海老としめじのピラフ」



料理初心者でも作れる簡単一品料理「すき焼き風焼きうどん」

これらそれぞれ30分もかかっていないんですよ。ピラフなんて実質10分程(炊く時間は除く)でできました。

さあ、せっかく夫婦になった縁ですから、逃げずにとことん話してぶつかってみましょう。
そして一番きつい時を乗り越えてほしいです。
この本は愛をもって全ての夫婦を応援してくれます!

レビュアー

野本紗紀恵 イメージ
野本紗紀恵

一級建築士でありながらイラストレーター・占い師・芸能・各種バイトなど、職歴がおかしい1978年千葉県生まれ。趣味は音楽・絵画・書道・舞台などの芸術全般。某高IQ団体会員。今一番面白いことは子育て。

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