登場人物ほぼ全員クズ! 『バツコイ』3巻発売! 恋愛は一度セックスしておいしいとこだけ味わいたい女弁護士・美留町カホリ×粘着系恋愛体質の高校教師・砂後谷(既婚者)。不倫に相手の妻からの高額訴訟に想定外の妊娠……バツな恋模様はますますハイテンションなドロ沼の展開に。まるで甘くないダーク・ラブコメを描く月子先生に話をうかがった。
Q1アラサーキャリア女子のラブコメ(しかも超絶ダーティな!)は初の試みだと思うのですが、描こうと思ったきっかけを教えてください。
『バツコイ』を描こうと思った頃は今ほど不倫バッシングが盛んではなかったような気がしますが、不倫に巻き込まれてしまうとしたらいちばんタブー感が強い職業ってなんだろう? と考えたときに弁護士を思いつきました。離婚や不倫案件でリスクをちゃんと認識しているから、より慎重になるのかな、とその時は考えていて、それなのに知らずに不倫し泥沼に落ちていく、しかも不本意にも恋に落ちてしまう悲喜劇を描こうと思いました。
Q2美留町の人物像について。
仕事も女としても絶好調を自覚しており、サバサバしていてカッコいいと思う反面、異性関係についての価値観がぶっとんでいて現実にはあまりいない女性だと思います。あえてそんなキャラクターを描こうと思った理由を教えてください。(ブイブイいわせている反面、田舎に戻ると自信がなくなるという場面も深いなと思いました)
そうですか? わたしの周りにはバリキャリもOLもいますが皆仕事が好きで稼いでいて、恋愛にも積極的な女性が多く、話を聞いていると魅力的だなあと思っていて。もちろん皆自分にしっくりくる恋人を探して奔走するのですが。その中で性的なことだけ楽しみたいという意見もわかるし、処女で悩んでいるというのもわかるし。いつもは読者ターゲットを絞って描くことはないのですが、『バツコイ』に限っては特に女性に読んでほしいと思い描いてます。田舎に帰ると自信がなくなる設定は単純にわたし自身にそういうところがあるからです。
Q3砂後谷にモデルはいるのでしょうか。自分本位で粘着質、とにかくクズなのですが、美留町の恋愛観を変え、さらに既婚者と知りつつも片思いしている同僚までいます。そんなクズのどこに惹かれるのでしょうか。
砂後谷はコメディパートを多く担っているので見た目以外でなにがそんなに美留町に訴えるのかわかりづらくなっていますね。リアルでも、なぜあんないい子があんな男に……? みたいな不可解なことはよくあるのですよね。冷静に考えればクズなのに、そういう男特有の引力ってあるので、このケースもそうだと思ってもらえればいいかな。モデルはいません。ただただ自己中心的で幼稚な男を描いています。
Q4砂後谷嫁から高額な慰謝料を請求された美留町は関係を清算しないことを宣言します。職場のリーダーである酒匂さんはいったんは反対しますが、美留町の心の変化を理解し応援するように……もし美留町が親しい間柄だったら月子先生は応援できますか?
わたしだったら絶対やめとけと言います。ただそういった渦中にいる女性は周囲に何を言われても自分の決めたことを遂行すると思うので、そういったところも女性を愛おしいと思う点の1つですね。ユミオの絹田先生へのまなざしと似た感じです。
Q5クセモノぞろいの『バツコイ』ですが、好きな登場人物はいますか? 好きなシーン、描きたかったシーンなどはありますか?
ピエールはいつ出てきても場がゆるむというか和むので好きです。描きたかったシーンはこれから描いていきます。美留町がすごい剣幕で砂後谷を罵倒しているシーンは全部好きです。
Q6不倫が職場にバレ、砂後谷が離島へ転勤となり、さらに美留町の妊娠が判明。彼女の心境の変化や砂後谷との関係、ラスボス感満載の砂後谷嫁の目論見は? など、とことん崖っぷちの様相を呈する『バツコイ』ですが、見所を教えてください。
あらすじを読むと弁護士が不倫、妊娠、とパワーワードが溢れている感じがしますが、読んでいただければいろいろな要素が詰まった作品だと感じていただけるかと思います。初恋への右往左往もそうですが、働く女性と友情、仕事と妊娠などのイベントの両立など。美留町とその周りの女性たちを友達のように感じてもらえたらとても嬉しいです。
ありがとうございました。