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2016.06.10

インタビュー

【ネタバレ最新秘話】壁ドンで幼なじみを落とせるのか?

※このインタビューはコミックス5巻のネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください!(雑誌派の方は大丈夫!)

俺様幼なじみとの山あり谷あり壁ドンありのラブストーリーを描いた『私たちには壁がある。』。 ついに5巻では真琴と怜太の「幼なじみの壁」も決壊し、いよいよ恋人同士になったふたりのセカンドシーズンも開始♥ そんな5巻発売を記念して、担当Y本が築島さんにインタビュー! 私たちにはココだけの話もある。ぜひお楽しみください!(取材・文/担当Y本)

私たちには壁がある

菊池怜太と桜井真琴は、家が隣で親どうしが仲が良い、いわゆる「幼なじみ」。 女の子にはモテるけどナルシストで俺様な怜太が、ある日突然、真琴の「彼氏」になって……!? 見所は1話に必ず1回は描かれる壁ドン(バリエーションも様々)!  限界レベルのドキドキがクセになる俺様幼なじみと山あり谷ありラブストーリー!

5巻の見どころは?

『私たちには壁がある』

第1話より。怜太の衝撃的な第一声にドライな真琴の反応。ここから「わた壁」の全ては始まりました。

──まずはついに5巻まできたので、築島さん的に5巻の「ここを見てほしい!」みたいな見どころやおすすめシーンなどの紹介をお願いします。

築島: そうですね……。振り返るとこの5巻は「考えるな、感じろ」の精神で毎回お話を考えていた気がします。理性や突っ込みどころはおいといて、ひたすら読んでくれた女性にときめいてほしいなと思って描いていました。

──この巻でいよいよ怜太と真琴の2人がちゃんと付き合うことになりましたもんね。今までの「なんちゃって彼氏彼女」とはちがう、恋人としてのステージに進んでいく2人のドキドキをぜひ見て楽しんでほしいものです。

築島: はい! 2人の距離がこの巻で50センチから0センチまで縮まるので、その変化をまず見てほしいなと思います。

──1話での初壁ドンと、5巻の23話のキス回を比べると、本当に文字通り50センチがゼロに縮まりましたね。よくここまで来れたなぁと感無量です……(じーん)。

『私たちには壁がある』
『私たちには壁がある』

1話では物理的にも精神的にも開いていた距離が、ついにゼロまで♥ 追い詰めるような1話の壁ドンに対して、23話の壁ドンは包み込むような雰囲気なのも、2人の関係性の変化を感じます。

築島: あと、見どころというと怜太が攻めます(笑)! 今までの「お馬鹿っぽい男の子」から1歩進んで、違う意味で「男の子」の顔を見せられたと思っています。それが読んでくれた方にも伝わるといいな、と。怜太の照れ顔と焦燥顏から、男の子という生物はどんなに好きな女の子にふれたくて焦って我慢しているのか……、という点も女子の皆さんに楽しんでもらえるとうれしいです。

『私たちには壁がある』

どちらもドキドキするような表情ですが、5巻ではグッと大人っぽい顔に。

──個人的なオススメは21話の教室での怜太の「耳元からかわいい攻め」でしょうか。このあたり、真琴が女子としても変化しててかわいく見えました。

『私たちには壁がある』

2人の想いが通じ合うこのシーン。直接的にはどこにも触れていないのに、心が限界まで触れていてドキドキ!

築島: ありがとうございます。そこ私も気に入ってます。21話ではようやく2人の心を結びつけられたなと思ったので、個人的にも思い入れの強い場面です。この5巻は、絵でときめいてほしいところと、内容的にときめいてほしいところがほぼ一致した巻にできたかなと思います。

──たしかに、3巻くらいまではキービジュアルになるような目を引く絵がたくさんほしくて、とりあえず「担当による1話1壁ドンのお題」を昇華していってもらいましたね。3巻後半あたりからはだいぶネタに窮した思い出がありました……が、5巻ではさりげなく壁を使った色気あるシーンをどんどん描いてもらえたなぁとびっくりしています。壁ドンとか関係なくやってるというか(笑)。

『私たちには壁がある』

担当によるネタイラストの一部を初公開! この内いくつが作中で使われたか、みなさんはわかるでしょうか?(笑)

築島: 2人の気持ちが近づいた分、これまでのネタ的に壁ドンを描いてたものから、しっとりしたものが多く描けて楽しかったです。やっぱり男女の気持ちが大きく動いて寄り添える瞬間はいいですね。今後も1枚ずつ2人の薄い壁がはがされていく感じに注目してほしいです。

──薄い壁(笑)。

タイプの真逆な男2人について

──ちなみにですけど、これまでの築島さんの推しシーンはどれでしょう?

築島: カーディガンの安孫子のシーンと、怜太のウルトラCですかね。

『私たちには壁がある』

安孫子のカーディガンドンは2巻に、怜太のウルトラCは3巻に収録♥

──安孫子の初期(壁)ドンですね。懐かしい。安孫子との三角関係も5巻でようやく決着がつきました。安孫子もなかなか初めは動いてくれず、難しい男キャラでしたね(苦笑)。

築島: そうですね。安孫子は怜太と違って自分から動きだすようなキャラクターではないので、なにか印象に残るイベントが欲しくて真琴とのハプニングをその都度用意した思い出が……事故チューとか胸チラとか(笑)。今思えば安孫子は少年誌のラブコメの主人公みたいな男子に描いてたかもしれないです(笑)。

──なんと(笑)。真琴への好意を意識しだしてからは、自分から動き出す男に変化してたかな、と思うんですが。

築島: ありがとうございます。そもそも、「かわいいね」と真琴について何気なく言った安孫子の一言がきっかけで、怜太が真琴を意識しだした……、という風に1巻ラストで描いてたつもりなんです。怜太も相手が安孫子だからこそきっと焦ったわけで。正反対というか、お互いに認め合ってるところがある、という風にこの2人が読者の方に見えてたら作者としては嬉しい限りです。

──5巻のクリスマス回でも、けなしあいながらお互いを褒め称えていましたね(笑)。全く違うタイプの男子2人なのに面白いなぁと思います。ちなみに、築島さんの好きなタイプというのは?

築島: かわいい男の子です(キリッ)。「壁」でいうと、私が残念なイケメンが好きなので、メインは怜太になりました……。やはり真正面から来てくれる男の子が好きですね。

──かわいいっていうのは具体的に?

築島: 中身のかわいさも大事なんですけど、外見とのギャップがちゃんとあるかどうかというところでしょうか。外見でのかわいらしさがありつつも、どこかで女子に危機感を感じさせてくれる男が描きたいし、描けてたらいいなとはいつも思ってます。

『私たちには壁がある』

真琴への気持ちを自覚してからの怜太は、グッと危機感覚える「男らしさ」を感じさせるように。

──そういえば築島さんの名言ありましたね。「かわいいだけの男は雑草と一緒ですよ」って。

築島: そうです! 男の「かわいい」だけを求めてたら、それはゆくゆくは母性愛に行きついてしまうと思うから、少なくとも私の漫画では読んだ方が物足りないだろうなと。そういう作風ももちろん良いと思うんですけど、自分の描く少女漫画においては、やはり危うさみたいなものはメインのヒーローに欲しいなと思って描いています。

──なるほど。ではちょっと話を変えて、このストーリーのメインキャラの真琴と怜太の関係性はどういう経緯で生まれたのでしょうか?

築島: ずっと「近い距離の2人」への憧れみたいなものが私にあって。幼なじみを描こうと思ったのはいろいろ理由があるんですが、思い返すとそもそも真琴と自分の境遇にちょっと共通点があったからですかね。子供のころ、近所に2つくらい年上の仲良かった男の子がいたんですけど、4〜5歳くらいのときに私が引越しちゃったんです。だから余計に、「もしわたしがそこに住み続けてたら……」という憧れがあって、その延長線から、このお話を膨らませた感じです。

──その子が引っ越しちゃって惜しかったような、漫画に今つながって良かったような……(笑)。ちなみに一番築島さんの恋愛観を反映してるようなのって誰ですか?

築島: うーん、そういわれると難しいのですが、自分の価値観に近いのは怜太かも? 真琴に一番真剣にとりくんだつもりではあるのですが。

──怜太の価値観は常にポジティブでまっすぐですが、築島さんも作品の打合せで「これでは読者がときめいてくれない……」と悩む局面があっても、けっこう切り替え早く「じゃあこうしようか」と新しい提案してくれたりしますよね。たしかにそういうところは似てるかもしれません(笑)。

ときめきを描きたい

──ではここで、築島さんの「ときめき」論についても語ってもらってよいでしょうか。デビュー時からずっと「ときめきを描きたい」とこだわってきてますよね。

築島: 了解です。「ときめき」とは肉体の触れあいあってこそ宿るものです。でもそこには身体だけではだめで、気持ちが触れ合うなにかも絶対に必要だと考えてます。

──たしかにこのあたり、性的にも精神的にも2人が交差する感じを出せたのではないかと思います。妙になまめかしいというか。ドキドキするページでした。

『私たちには壁がある』
『私たちには壁がある』

絵としてドキドキするようななまめかしさがあると同時に、2人の気持ちが触れ合う「ときめき回」でした。

築島: 私が男の子を描くうえで大事にしてるのが「半生感(はんなまかん)」です。絵的には男子も女子も「絵から肉体の生っぽさがほどよく感じられる」こと。生っぽさというか、つやっぽさかな……? 単に「絵」で終わらせたくなくて、読んだ人の身体にドキドキやむずむずさせる何かを生まれさせるようなものをずっと描きたくて、デビュー時からもがき続けてるような感じです。

──ちなみにとくにこだわるのはどこですか?

築島: パーツで言うなら、男は二の腕、手。女は太ももにそれが現れるといいなとおもって描いてます。直接的じゃないパーツにこそこだわりたいというか。

『私たちには壁がある』

太ももや首筋など、ここでの半生感にも注目してほしいです!

──確かに、真琴の太ももには執念を感じることがあります(笑)。
さて、まだ6巻でもひと波乱ある予定ですが、2人が両想いになったことで、描かれる壁ドンのバリエーションも増えたかと思います。そこでここから物理的に描きたい壁ドンはありますか?

築島: まだまだありますよ! 以前は1話1壁(ドン)縛りにヒイコラ言っていましたが、両想いになってからはまた違う壁ドンを描きたい欲が湧いてます。今は真琴をうしろから抱きしめながらも我慢する怜太の「我慢壁ドン」が描きたいですかね。

──両想いゆえの我慢の壁ドンですか、それはなんだか凄そうですね(笑)。では最後に読者の方に一言いただけますか。

築島: これからもなまめかしいときめきをお届けできるようにがんばります! そして両想いになった2人がどうなっていくか、ラストまで見届けてもらえれば嬉しいです。

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