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2026.06.19

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瀕死の冒険者とユニコーンを救うナイスアイディア!?  偽りの人馬一体ファンタジー『偽りのケンタ』

馬場康誌が描く硬軟が交じり合った「人馬一体」ファンタジー!

ライドンキング』の馬場康誌が早くも新作リリースです! 各所で話題となった前作『ライドンキング』は、某国VIPを彷彿とさせる、格闘技に精通した“終身大統領”が主人公の異世界転生ファンタジーでした。
今作で作者が描くのは、人馬一体ファンタジー。人馬一体、すなわちケンタウロスを主人公に据えた、魔物が巣くう世界の冒険譚です。『ライドンキング』でも主人公アレクサンドル・プルチノフが人馬一体な状態となる場面もありましたが、そういう意味でも、馬場康誌ワールド全開ともいえる本作、ファン必読です。

領主の息子、天然キャラの精霊によってケンタウロスに!?

本作の主人公・レンは王国辺境にある街の領主の息子。冒険者ステータスは、ゴブリン(小鬼)狩りも許されないほどの下っ端です。
ある日、領内の湖で精霊の祠を掃除していたレンは、ゴブリンよりも強いオーク(猪鬼)に遭遇。さらに、彼らのボス格にあたる魔族も登場し、大ピンチ……となるところですが、この場所には頼もしい存在、湖の精霊シルエレンドと湖を護るユニコーンのメズがいました。
祠(ほこら)を破壊せんとする悪党どもを、メズはその圧倒的力で一蹴。これにて一件落着、と思いきや、魔族の呪いによってパワーアップしたオークが逆襲。これに魔族の追撃もあり、レン&メズはなんと瀕死の重傷を負ってしまうのです。この絶体絶命の状況で、精霊シルエレンドは妙案をひらめきます。
こうして爆誕したのが、ケンタウロス(偽)! レンとメズは強制的に運命を共にすることとなるのでした。天然キャラながらも、瀕死のふたりをひとつに合体させられる、シルエレンドの精霊の力は、本物です。

笑いのツボを刺激する数々の名フレーズ

馬場作品に共通するストロングポイントのひとつが、秀逸なコメディセンス。魅力的な設定や世界観、あるいはその画力に負けず劣らず、随所に配置された笑いの引力。これに捕まってしまったら、抜け出すことは困難です。

まずは小ネタから。物語冒頭に出現したゴブリンです。彼らの言葉に注目しましょう。
ゴブリン語に対し注釈として日本語訳が付いていますが、その内容が……いい意味でくだらなすぎます笑。おまけにキャラ紹介テキストでは「トリプル役満の嫌われ者」とまで書かれる始末。異世界ファンタジーという、ある種幻想的であり、中世ヨーロッパを思わせるような夢のある世界観にもできる舞台で、俗っぽいフレーズを連投するところに馬場作品の醍醐味(?)が配されています。

また、シルエレンドがピンチの際に守護聖獣であるユニコーン・メズに助けを求める場面では、メズが瀕死であることに気づいた際の彼女の発言も見逃せません。
死にコーン。おそらくこの世に初めて降臨したフレーズではないでしょうか。「誰が死にコーン…」という断末魔に近いメズのツッコミまで含め、本作の楽しさ・面白さが詰まった名シーンです。(ちなみに私は、この「死にコーン」というセリフが決め手で本作に惚れました)

圧巻の肉体描写に個性突き抜けるキャラ同士の掛け合いも楽しい

そして馬場作品のさらなる魅力と言えば、その画力。格闘系の作品が多いこともあり、特に肉体やバトルシーンにおける筆力には目を見張るものがあるのは、ファンであれば周知のことでしょう。それは本作においても健在です。
メズ初登場の場面では、馬体に刻まれたそのたくましい筋肉を瑞々しく描写。人や精霊、ユニコーン、そして魔獣たちと、様々な造形をもつ登場キャラクターたち、そして格闘シーンがどう描かれるのか。これもまた本作に期待してしまうポイントです。

さらに、登場キャラたち自身が魅力的であり、彼らのポップな会話から生まれる独特の空気もまた、馬場作品の真骨頂。それも組み合わせはワンパターンではありません。

【1】合体してしまったレンとメズ
ケンタウロスとしてニコイチになった結果、お互いの記憶が見えるようになってしまったという複雑な状況は、これからも様々な波乱を呼びそうです。

【2】護る者と護られる者、メズとシルエレンド
「死にコーン」発言に代表される天然キャラのシルエレンドが放つ容赦ない毒舌。立場的にはシルエレンドのほうが上位の存在ではありつつも、メズもまたシルエレンドに対して「こいつ」呼ばわりするくらいには生意気な態度を取っています。このコンビが繰り広げる丁々発止のやり取りも必見。

【3】偽ケンタとシルエレンド
自分でケンタウロスにしておいて、「バカみたいな姿」と言えてしまうのが、シルエレンドの最高にチャーミング(?)なところ。

湖の祠を掃除するほど信心深く、領主の息子として市井の生活を知ろうとする真面目なレンと、我が道を行く無敵キャラ・シルエレンド、そしてふたりに対し不満タラタラなメズ。人間とユニコーン、それぞれの身体を取り戻すべく進む3人の先に、何が待っているのか。あらたな敵や味方の登場にも期待しつつ、愛すべき精霊と偽ケンタウロスが繰り広げる珍道中に、期待大です!

レビュアー

ほしのん

中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。

X(旧twitter):@hoshino2009

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