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2025.11.08

レビュー

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顔面最強4人組ワルメン×男装(?)ヒロインの危険な青春ラブ!『群狼に花』

嵐のような男

憧れのシチュエーションには鼻が利く。そんな私を惹きつけたタイトルが『群狼に花』です。かっこいい狼たちの中に1人の可憐な花が紛れ込んで、さまざまなラブが始まりそう……それって最高じゃないですか。

でも物語の始まりは、想像とはちょっと様子が違いました。
「狼」どころか嵐のような男・“赤松狼亜”の割ったガラスが降り注ぐ先にいた“西山侑李”が、この物語の「花」なんです。

侑李がこの“雲雀工業高校”(ひば工)に入学したのは「かっこいいバイクを作る」という夢を叶えるため。高い就職率を誇る「ひば工」ですが、男女比率は9.8:0.2! そして一部、問題児グループの噂も……! 卒業生であり、侑李を溺愛するお兄ちゃんは心配でたまらない様子。しかし、おとなしい見た目の侑李が目をつけられる心配はないはずでしたが……。
問題児のケンカの現場に居あわせたことで先生には心配され、同級生からは距離を置かれてしまいます。たくさん友だちを作って、授業や趣味の話をして……侑李の高校生活は、憧れとは程遠いものに。
でもまぁ集中はできそうだし…
ちゃんと 夢には近づいてる
 
ひとりぼっちでも夢に向かってがんばろうと決心した侑李の前に現れたのは、あの問題児・赤松狼亜でした。
狼亜たちは自分たちのたまり場に迷い込んだ侑李に興味津々。
しかし質問攻めにあうことで、侑李はひば工に入学してはじめて大好きなバイクの話をすることができたのです。
バイクを通じて、侑李は狼亜に心を開きはじめます。しかしそれは侑李を嵐のようなトラブルに巻き込むきっかけにもなるのでした。

そんな大波乱の1話の終わり、狼亜だけが気づいてしまうのです。工業高校の狼の中に紛れ込んだ「花」の正体に。
思い返せばお兄ちゃんや先生のセリフ、シャツのボタンなど、ヒントはたくさんありました。それでも友情ものに見えていた物語が「秘密を共有する特別な関係性」を語るものへと変化したこの瞬間には、強く心を掴まれたのです。

花に気づいた狼は

侑李の秘密を知っても、狼亜がそれをみんなに広めることはありませんでした。
第一印象は「嵐のよう」だった狼亜の繊細な気遣いを意外に思う侑李。
今のうちに言っとくほうがいいんじゃね?
と言いつつも、侑李が秘密を抱える理由を尊重し、「バレないように」と優しくフォローしてくれる。そしてみんなの前ではそれは一切匂わせない……。絶妙すぎて尊すぎる、狼亜のこの距離感にグッときます。

そして、侑李が一見弱々しそうでいて、実はかなり芯が強いのもいいんです。バイクに対する真摯な気持ちも、こんな傷だらけの顔でも笑えるところも。「守りたい」より「対等でいたい」。なんならリスペクトさえ感じる強さがとても魅力的。
そんなわけで、やっと自然な笑顔を見せるようになった侑李は、憧れていたひば工生活でついに友達ができた喜びを噛みしめます。しかし……。
ああ、やっとできた「友達」がこんなことを言い出したら……どんな顔をすればいいかわからない!

後輩を可愛いと思うの、はじめてかも

微妙な感情を抱いているのは狼亜だけじゃありません。侑李の秘密を知らないみんなも、「男の後輩だと思ってるのに、なんか可愛い」という困惑混じりの感情に動揺を隠せないことも。
このとき、全員の表情を見ることができて、これがいかに微妙な瞬間なのかがわかるのは読者だけ。
侑李への純粋な心配と、なぜか胸を締め付ける無自覚な感情。何も知らない狼亜の能天気さ――この薄氷のようなバランスが、たまらなく尊いんです!

レビュアー

中野亜希

ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。

X(旧twitter):@752019

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