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今日から餌になる? オレ以外の家族全員“吸血鬼”。絶体絶命!血縁ラブコメ

柊さんちの吸血事情(1)
(著:吉河 美希)
2022.06.04
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吸血鬼が出てくるアットホームなラブコメディ。このマッチングだけでも期待できそう!!と思って読み始めたら、色々な要素がミックスされていて安定の面白さでした。
さすが、現在放送中のTVアニメ 『カッコウの許嫁』 も好調な吉河美希(よしかわ みき)先生の作品です。

児童養護施設で育った源翔太(みなもとしょうた)14歳は、 “家族”というものに対して冷ややかな目を持っていました。
今さら養子に行く気などなく、新聞配達で稼いだお金をせっせと貯めこんで、4年後に一人暮らしをするのが密かな夢。
そんなとき、受け入れ先の家庭に3日間いれば千円あげると言われ、その家を訪ねてみると、出迎えてくれたのはお金持ちの幸せそうな家族。

この絵の破壊力!! ナイスバディで可愛い姉妹は元より、着物姿のお母さん、男爵ふうの髭!?を生やしたお父さんが怪しさぷんぷんで、もうこれだけで笑ってしまいます!!

そして、外から鍵がかけられた部屋に5人目の家族である次女・雪枝がいて……。
翔太は 『柊さんちの吸血事情』を知ることとなるのです!!

この話に吸血鬼が出てくることはわかっていても、それを “しれっ”と説明するお父さんとお母さんが、また可笑しい!!



雪枝に血を吸われたのに死なない翔太に対しても……、

とんでもない家に来てしまったことを知り、逃げ出そうとする翔太ですが、「とてつもなく栄養価の高い血液と抗体の持ち主」を彼らが逃すわけがなく、あえなく牢屋に入れられてしまいます。
しかし、「10万円をくれれば、雪枝に3日間好きなだけ血を吸わせてやる!!」と交渉する翔太。
そうまでしても、お金が欲しい理由があるのです。

ところが今度は、肝心の雪枝が翔太の血を吸おうとしません。
実は雪枝は吸血鬼として生きることに悩んでいて、どんどんやつれて行く雪枝を見かねた長女の晴海(はるみ)が、翔太をけしかけます。



      

人の血を吸いたくない吸血鬼と、血を吸って欲しい人間。
なるほど、そう来ましたか!! 吸血鬼といえば、逃げ惑う人間を追い詰めて噛みつき殺してしまう怖いイメージでしたが、嫌がる吸血鬼を追い回し、なんとか血を飲ませようとする人間なんて、そりゃ笑えるに決まってます。

さらに翔太は、こんな行動にも出ます。

こうして柊家の一員となり、美人三姉妹に囲まれた翔太に何も起こらないわけがない!! なぜなら、三姉妹が揃いも揃ってみんなキュートだから。
溌剌とした健康的な明るい可愛さとエロさが、絵からも滲み出ています。

特にカラっとした性格で、グラマーで色気ムンムンの長女の晴海には、これから色々とかき乱して欲しい!!

ある意味、血のつながりがある家族!?となった翔太と柊家の人々。
家族は切っても切れない関係であるように、雪枝にとっても翔太は絶対に必要な存在となったわけです。

もう一つ、毎話ごとのタイトルが“吸血”にこだわっているところも好きだなぁ。
例えば、第1滴は「欲吸不満」、第2滴は「交渉血裂?」、第3滴は「利害一血!」。

家族の愛を知らずに育った翔太が、“吸”転直下(きゅうてんちょっか)、柊家の一員になったことで起こる笑いは、これからも期待できそうです!!

  • 電子あり
『柊さんちの吸血事情(1)』書影
著:吉河 美希

この家族には血生臭い“秘密”がある――。児童養護施設で暮らす中学生・源翔太。ある日、翔太の受け入れ先に決まったのは豪華な和風家屋に住む、幸せそうな家族。夜、翔太は何者かに襲われ、血を吸われた! まさかこの家族、全員“吸血鬼”!? 翔太が呼ばれたのは、家族として? それとも餌として? アットホーム“血縁”ラブコメ開幕!!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

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