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【やみつきグルメ】二人でならもっと美味しい!! 悪魔娘とアラサー男が食べ歩き!

おひとりさまでした。 ~アラサー男は、悪魔娘と飯を食う~(1)
(原作:天那 光汰 作画:いつき 楼)
2022.03.27
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ここにあと一人いてくれたらな

なんでもない日のごはんでも「一緒に食べようか」と言って誰かと食べると妙に美味しい。あと、「次は一人じゃなくてあの人と一緒に来よう」と思うお店の多いことよ! のんびり気ままに一人で楽しむごはんだってそりゃ美味しいけれど、「ここにあと一人いてくれたらな」と時々考える。これって寂しいから誰かにいてほしいわけじゃないんですよね。美味しい食事を分かち合いたい。

『おひとりさまでした。~アラサー男は、悪魔娘と飯を食う~』の主人公・速見の願いもまさにそれでした。ただし、それをお願いした相手は……、



偶然召喚しちゃった悪魔の女の子。「願いを一つ叶えてやる」と言われてとっさに速見の口から出たこのお願いは「そんなこと?」なんでしょうか。

久しぶりに誰かと一緒に飯を食べた

速見は29歳のサラリーマン。一人の時間をこよなく愛する独身。



リビングの壁を覆う大きな本棚と、松の実まで揃(そろ)ってるキッチン。速見の趣味は「食べ歩き」と「読書」なので、もうそのまんまなお部屋に住んでます。

ある日、速見はいろいろあって悪魔召喚を試してみたら本当に悪魔が現れ、その悪魔は出てくるなり「願いはなんだ?」と問いかけます。展開が早い。



速見の独白がとてもいい。願いなんて大層なものはないと思っていたのに、速見の口からとっさに出てきたのが、先ほど紹介した「一緒に飯を食ってくれないか?」でした。

悪魔はちゃんと願いを叶えてくれます。速見が作った夕飯を速見と一緒にもりもり食べ始めるんです。しかも「なんだこれ!? うめぇ!」とマグロのお刺身と漬けに大興奮。彼女が今まで食べてきた供物とはまるで別物らしい。あ、このタイミングで彼女のリリスという名前も判明します。ごはん食べてるときっていろいろ話せますよね。

やがて、悪魔との契約でありがちな恐ろしい取引が発生することもなく、リリスはバクバク食べきって姿を消します。



やっぱり速見の独白がいいなあ。「うれしい」や「たのしい」と明言しないけれど、どこかが満たされたんだなって伝わってくる。

醤油ラーメンの食券を買っちゃったけど食べたかったのは鶏豚白湯

この日を境に、リリスは速見の前にちょいちょい現れるように。悪魔娘の出現条件はこんな感じ。



鶏豚白湯らーめんを食べるつもりが誤って醤油らーめんの食券を買ってしまったとき、食べることをこよなく愛する速見は「食べきれないかも……」と思いつつも鶏豚白湯らーめんの食券も買います。あきらめない男。

で、そんなときにリリスが再びひょっこり現れるんです。「誰かがこれを一緒に食べてくれたら……」という速見の無意識レベルの願いをキャッチして叶えまくるというわけ。

リリス登場によって速見は心置きなく念願の鶏豚白湯らーめんを食べ、リリスは醤油らーめんを食べることに。もちろんリリスはラーメンなんて初体験。



本当に美味しそうに食べるなあ。悪魔娘はお箸が使えないのでフォークでちゅるっと食べてます。かわいい。

生まれてはじめてのらーめんに感動するリリスに、速見はいろんなことを教えます。替え玉を頼むなら叉焼(チャーシュー)は1枚キープしておくべし、スープもそれなりに残しておくべし。



紅ショウすら3コマ使って語ってる。シズル感あるなあ。

そして、こんなときもリリスは一緒に食べてくれます。



山盛りのフライ。ロースカツとヒレカツどっちが好き? なんて言いながら食べるの楽しいだろうな。

そう、この漫画は二人で一緒に食べる楽しさと食べ物への愛でいっぱいなんです。



速見はリリスに初めてのタルタル味のエビフライを食べさせたくて自分のエビフライを譲ります。大好きなものを食べられなかったのに、なんだか満ち足りる。これってものすごいことだと思いませんか。

リリスと一緒に食べるなら、コンビニで買った夕飯だって美味しくて楽しい。というかあれこれ選んで買ってる時間すら楽しい。



おでんの味を劇的に変える食材やアメリカンドッグのマスタードとケチャップを同時に出すコツ! いい知見だ、マネしよ。



あ──、美味しそう! リリスの食べっぷりと速見の食べ物へのリスペクトあふれる食レポが楽しい。ほんと、速見はいいことを悪魔に願ったなと思います。

  • 電子あり
『おひとりさまでした。 ~アラサー男は、悪魔娘と飯を食う~(1)』書影
原作:天那 光汰 作画:いつき 楼

速見誠一郎29歳、独身。趣味は食べ歩きと、1日1冊の読書。
一人の時間をこよなく愛する誠一郎は、ある日突然、偶然にも魔界の悪魔を召喚してしまう。
リリスと名乗る悪魔娘に「願いを一つ叶えてやる」と言われた誠一郎の願いは、ご飯を一緒に食べること。

平日昼間のとんかつ定食、昼食時の鶏豚白湯らーめん、店が閉まった時間にのコンビニ飯etc……。

日常の食事も、二人ならどんなごちそうよりも自由な時間。
小説家になろう発、食べ歩きグルメファンタジー!

レビュアー

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花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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