今日のおすすめ
削るだけ!なのに、簡単!きれい! キラキラうろこのにじうおたちとスクラッチあそび
(絵:マーカス・フィスター 編:講談社)
隠れている絵をペンで削って浮かび上がらせる“スクラッチアート”。
ここ数年の流行りなので、なんとなく知ってはいたのですが、自分には無縁のものだと思っていました。
ところが実際にやってみると、これが意外に楽しい。子供にだけやらせるのは勿体ない面白さなのです。
『にじいろのさかな』シリーズは、スイス人のマーカス・フィスターが作った世界中でベストセラーになった絵本です。
本来のお話は、きらきらの鱗を持つ世界一美しい虹色の魚「にじうお」が、自慢の鱗を分けてあげなかったので、孤立してしまうところから始まります。
世界一寂しい魚になってしまった「にじうお」が、その悩みをヒトデやタコに相談すると、綺麗な鱗をほかの魚にあげてごらん、と言われます。
この『にじいろのさかな スクラッチあそびえほん』では、「にじうお」がキラキラの鱗をあげて、海の仲間たちと仲良く遊ぶ様子が描かれています。
お話は左のページ、右ページはスクラッチ用の白い線だけで、「空に浮かぶものはどれかな?」とか、「きらきらのヒトデはいくつあるかな?」という問いがあり、付属のペンで削っていきます。
青と白だけのページを宝探し気分で削っていくと、キラキラした金や銀やカラフルな色が出て来てワクワクします。これには自分でも驚きました。いい歳をした大人が、キラキラにこんなに心が踊るとは!!
ただ、1ページ目を削ったとき、線からはみ出して下手だったので、軽くショックを受けます(笑)。
きっとペン先が太かったからだと取り敢えずペンのせいにしましたが、よーし、次はもっと綺麗に削るぞ!! とカリカリやっていたら、あっという間に30分が過ぎていました。
スクラッチなので、当然削りかすが出ますが、 小まめにティッシュで除くと仕上がりも綺麗です。
こうして白い線からはみ出ないように集中していると、少し疲れてきます。
まるでそれを見越したかのように、次のページは思い切り削れるので、一気にストレス解消モードに入ります。
大胆に泡と宝箱を削っていたら、あまりにもカラフルな鱗柄だったので、下絵にはなかったバナナ型、泡粒、線などを勝手に加えて遊んでみました。
すると、自分だけの絵が出来上がり、なるほど!と思いました。
これは、自分で作り上げていく世界に一つだけの絵本だったのです。
付属のペンは子供でも安心して使えるペン先の丸いものなので、どうしても輪郭がグスグスになってしまいますが、どこを削ろうと考える楽しさがあるのでオススメです。
さらに「にじうお」の銀の鱗がどこにあるのかを1枚1枚当てるというゲームもやってみました。
こんなふうに自分で遊び方を考えることができるのも、この絵本の良さです。
もう1つ、夜になったら絵本を平らにしてみて下さい。照明の明かりを受け、表紙の絵がキラキラに輝きます。微妙に角度を変えて見ていると、まるでキラキラと輝く海の中にキラキラの「にじうお」がいるように思えてくるから不思議。
これを眺めるだけでも、かなり癒やされます。
このように『にじいろのさかなスクラッチあそびえほん』の遊び方は自由自在、大人でも十分に楽しいのですから、子供なら間違いなく夢中になれるスクラッチ絵本だと思います。
物語を読み進めながら、スクラッチ遊びができる絵本です。紺色のページを専用ペンでけずると、きらきらのホログラム、にじうおや海の仲間たちが出てきます。
おはなし以外にも、「めいろ」「えさがしあそび」「うらない」「クイズ」など削り出し遊びがぎっしり詰まっています!
【スクラッチあそびとは】
絵画技法の一種です。あらかじめ下塗りしたクレヨンの上に、黒以外の違うクレヨンで色を重ね塗りし、その上に、黒または濃い色をかぶせてから、先のとがったものでひっかくように絵を描くと、黒色が取り除かれて下の色が現れます。ひっかいて上の層を削り取り、下の層の色を出すのが「スクラッチ」(ひっかき絵)ですが、これを印刷技術で再現した絵本を刊行します。
レビュアー
「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。
公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp
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