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トラブルこそがチャンス! 島耕作に学ぶ人生に効く「切り返し」術
(著:森山 晋平 監修:弘兼 憲史/モーニング編集部)
「ビブリオマンシー」と呼ばれている書物占いを知っていますか? 自分が知りたいことを頭の中で思い浮かべ「今の自分に必要な答えをください」と念じながら本のページをパラパラとめくって気になったところで止めると、知りたい答えが見つかるというもの。
この『『島耕作』に学ぶ人生に効く「切り返し」術』は、仕事に迷える人にとって同じような使い方ができる本かもしれません。いくつか、心に効きそうな名言をご紹介しましょう。
■「つらい」時は、「変わる」時。
失敗したり運が悪かったりすると、人は一人で抱え込んだり我慢することを考えてしまう。しかし、「耐えよう」ではなく「変わろう」とすると、今までにない景色が目の前に広がることがある。(中略)
つらい時は、我慢するのではなく、周りの人を変えようとするのでもなく、自分の行動や考え方を変えること。自分が変われば、昨日の不幸だって今日の幸せに変わるのだ。
生きていると、嫌なことも必ず起こります。ときには仕事で思わず辞表を書きたくなるようなことも起こるでしょう。特に、仕事のトラブルってだいたい人間関係から起こることが多いと思うんです。そんなとき、「なんであいつは分かってくれないんだろう」と考えるのではなく、先に自分が変わること。
他人は変えられないけれど、自分なら変えられるんですよね。心の持ち方だけではなく、いる場所を変える、人間関係を見直すなど、環境を変えてみることで見えてくるものもあるかもしれません。
■「反論」を「反感」にしない。
理不尽な依頼・要求を受けた時、「それは間違っている!」と感情的に反論すると、反感を買って批判の応酬が始まってしまう。相手の間違いを指摘する時は、一つずつ相手を説得するように、筋道立てて切り返す冷静さが必要だ。(中略)
理不尽な相手であればあるほど、感情を抑え、どこが間違っているかを冷静かつ明確に伝えること。仕事では理論的に切り返す方が勝ち、感情的になった方が負けなのだ。
仕事をしているなかで明らかにこちら側に非がないのに責任を押し付けられることや無茶振りされることもありますよね。そこでつい「自分は悪くない!」ということを主張したくなってしまいますが、そうすると話はだいたいこじれてしまいます。
感情に流されず、事実だけを取り上げて交渉すること。これがしっかり出来るようになると、仕事でも一目置かれる人に近づけるのかもしれないですね。
■相手の「つらい」を「笑い」に変える。
悩みを抱えている人の気分を変えさせる方法は二つある。一つは悩みを聞き、的確にアドバイスすること。もう一つは、拍子抜けさせること。奇想天外で面白い答えは、悩みを忘れさせる力があるのだ。
ゲイの部下・三代(みしろ)から、「女性も愛せるのかもしれない」と悩みを告白された耕作。彼は三代に対して、「両方愛せるなら選択肢は二倍あるぞ」と笑顔で切り返し、三代は呆気にとられてしまう。
悩みを抱えている人はたいてい、話を聞いてもらうだけでいくらか気が晴れるもの。そこからは「悩みと向き合ってアドバイスする」という正攻法がいいのか、「悩みとあえて向き合わない」という奇策がいいのか、相手に合わせて答えを変える柔軟さが大切だ。
仕事をしていく以上、誰とも関わらずにやっていくことは出来ません。自分が大変なときだけではなく、関わっている人の「つらい」「大変」に意図せず巻き込まれることもあります。人の悩みを相談されたとき、どんな対応をすれば良いのか?
これってけっこう難しい対応ですよね。真剣に相談されても「俺のときはもっと大変だった」など比較して相手を否定してしまう返し方をする上司だと、部下は何も言えなくなってしまいます。一緒に悩んで共感を示すだけではなく、ポジティブな気持ちにさせられるような切り返しができたら自分も相手も嬉しいもの。
これは会長になってからの島耕作のセリフですが、数々の修羅場をくぐり抜け自分自身も悩み抜いてきたからこそ人に寄り添った回答ができるのでしょう。人生経験豊富な島耕作の言葉だから、自分が行き詰まったときに読むと心が軽くなるようなアドバイスが見つかるかもしれません。
理不尽さと戦っているのは自分だけじゃない、不思議とそう勇気づけられるこの本。「仕事やめたいな」「毎日同じことの繰り返しで疲れたな」なんて気持ちに毒されて仕事へのモチベーションが上がらない方こそ手にとってみて欲しい1冊です。
コミュニケーションは、「切り返し」でできている。
心理学の3大巨匠の1人、アルフレッド・アドラーは、こんな言葉を残しています。
「人間の悩みは、全て対人関係の悩みである」
確かに私たちは、日々の対人関係に一喜一憂し、そこで起こる問題に振り回されているのが現状です。おそらく世の中には、コミュニケーションに悩みがない人なんていないはず……。
しかし、マンガの中には「対人関係の達人」がいます。
それが、島耕作。
彼はすごく頭がいいわけでも、仕事が抜群にできるわけでもありません。ただ、若い頃から、「うまい切り返し」を使って円滑なコミュニケーションをとり、逆境を乗り越え、入社から40年を過ぎて大企業の会長にまで登りつめました。
考えてみると、世の中は「切り返し」の連続です。会話を切り出せるのは最初の1人だけで、そこからは「切り返し」でできています。
また、仕事で主導権を握れる人はまさしく一握りで、多くの人は起きたことへの「切り返し」を繰り返しています。
つまり、人生は自ら「切り開く」ものではなく、うまく切り返すことで「切り開かれる」ものなのです。
この本では、そんな「切り返し」のコツを島耕作のマンガシーンとともに紹介します。
打合せ、飲み会、雑談など、目の前の会話でどう切り返すか。転職、転勤、昇進など、大きな環境・状況の変化に対してどう切り返して乗り越えるか。
対人関係を改善し、人生の悩みを減らす、あなたにとって最高の「切り返し」が見つかれば幸いです。(「はじめに」より)
解説 弘兼憲史(マンガ『島耕作』シリーズ作者)「人生は日々切り返しの連続」
レビュアー
20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。
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