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「ハードワーク」は「がんばる」とは違う。W杯の歴史を変えたマインドセット
(著:エディー・ジョーンズ)
2015年のラグビーW杯にて、日本代表が南アフリカ代表相手に歴史的勝利をおさめたことは記憶に新しい。それまでラグビーの試合を観ることはおろか、ラグビーにW杯があることさえ知らなかった人でも、この勝利に沸き立ち、心をつかまれたはずだ。
ラグビー日本代表の何がそこまで私たちを熱狂させたのか。もちろん、歴史的勝利という「結果」も大きいだろう。しかし何よりも私たちを熱くさせたのは、その試合のプロセスではないだろうか。対南アフリカ戦の終盤、残り時間2分を切ってスコアは29対32だった。劣勢ではあったが、ここで安全にキックを決めれば日本に3点が入り、引き分けにできる場面である。
しかし選手たちはそれで満足しなかった。成功確率がより低いトライを狙い、当時の監督である著者の制止も聞かずスクラムを組んだ。そして見事トライが決まり、それが決勝点となった。著者はそのときのことを振り返りながら、本当の成功は部下がリーダーを超えたときに起こるのだと語っている。
とはいえ、そこに辿りつくまでには長い道のりを経なければならなかった。著者が日本代表のヘッドコーチに就任した当時、選手たちは自分で物事を考えることをせず、練習にも本気で取り組んでいなかったという。そんな選手たちを、著者は3年間でどのように変えていったのか。
本書は日本代表を高みへと引き上げた著者のマインドセットが、惜しみなく紹介されている珠玉の1冊である。「がんばる」こととハードワークの違いを知りたければ、本書を手にとるべきだ。
目次
- はじめに――マイナス思考を捨てれば、誰でも成功できる
- 第一章 日本人独自のやり方で勝つ
目標は不可能そうなほど大きなものがよい/スケジュールを固定するな/短所は長所にもなりえる/「完璧」にとらわれすぎる日本人 他 - 第二章 どう戦略を立てるか
「繰り返し」の効果/言葉を現実にする方法/部下を公平に扱うことの大事さ/目先の勝敗は気にしなくてよい/リスクを負わないと、進歩はない/明確なビジョンを持つ 他 - 第三章 何が勝敗を分けるか
戦いに興奮はいらない/国歌を歌えないチームが弱い理由/コーチはセールスマンに似ている/「やってみなはれ」の素晴らしさ/状況判断が苦手な日本人/成功の後に、落とし穴がある 他 - 第四章 成功は準備がすべて
教わる立場で考える/怒る時は必ず演技で/感情で人を評価するな/勇気とは慣れた自分を捨てること/自分を追い込むための訓練/言い訳が成功を阻んでいる/決断するから進歩が生まれる/明日のために準備せよ 他 - あとがき――部下がリーダーを超える時
著者紹介:エディー・ジョーンズ
1960年、オーストラリア、タスマニア州バーニー生まれ。オーストラリア人の父と、日系アメリカ人の母の間に生まれる。1990年代初頭まで、当時オーストラリアの最有力州チームだったニューサウスウェールズ州の代表として活躍、その後引退し、コーチに転身する。2003年、オーストラリアの代表監督としてW杯準優勝、2007年、南アフリカのテクニカルアドバイザーとしてW杯優勝。2009年、サントリーのゼネラルマネージャーに就任。2010年度より監督も兼任し、日本選手権優勝。2012年、日本代表ヘッドコーチに就任。2015年のW杯では、世界的な強豪南アフリカ代表に歴史的な勝利をして、ラグビーファンだけでなく日本中の注目を集めた。現インドランドの代表監督。
- 電子あり
W杯で日本に歴史的な勝利をもたらし、日本中を熱狂させたラグビー元日本代表ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏が、チームを勝利に導くための方法論を自らの言葉で語った1冊。「ハードワーク」のキーワードは「ジャパン・ウェイ」。日本人の長所を最大限に活かし、短所を長所に変えることで、実力以上の力を発揮させる、エディー流の必勝法だ。「マイナス思考を捨てれば、誰でも成功できる」「向上心のない努力は無意味」「“完璧”にとらわれるな」「戦いに興奮はいらない」など、彼のメッセージはビジネスにも役に立つものばかり。これを読めば、エディー流の「勝つための」マインドセッティング(心構え)が必ず身に付く!
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レビュアー:和田有紀子
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