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戦争の記憶を語り継ぐ〈1〉貴重なノンフィクション『不死身の特攻兵』ほか
1945年8月15日――多くの尊い命が犠牲になった第二次世界大戦の終結から70余年が経ちました。悲惨な戦争の歴史を振り返るとともに、あの悲劇を二度と繰り返さないよう、私たちはいま一度考えたいものです。
ノンフィクションから学術書、小説まで各カテゴリに分類しながら、講談社の「戦争を読み解く」書籍をご紹介します。
第1回目は、戦争の非情さを伝える貴重な証言や史料をもとに書かれたノンフィクション特集です。しかし、ここに記されたのはほんの一部に過ぎません。今こそ後世に語り継ぐ数々の事実、戦争の悲惨。それらを通して戦争とは何かを問い直します。
- 〈1〉貴重なノンフィクション『不死身の特攻兵』ほか
- 〈2〉戦争小説の名作『八月十五日に吹く風』ほか
- 〈3〉史料で読み解く『昭和の戦争 日記で読む戦前日本』ほか
- 〈4〉評伝や日記から人物像に迫る『昭和の怪物 七つの謎』ほか
事実が物語る──ノンフィクションで読む戦争の記録
1944年11月の第1回目の特攻作戦から9回も出撃し、上官に「必ず死んでこい」と言われながらも命令に背き、生還を果たした特攻兵がいました。それが、本書の語り手である佐々木友次氏です。入院していたものの、意識も記憶もきわめて明瞭だった佐々木氏へのインタビューをもとにまとめ上げられたのが本書ですが、その当時、佐々木氏はわずか21歳の若者でした。
生還した特攻隊員たちは卑怯者、人間のクズと罵られ、専用の寮に軟禁された時代でした。そんななか佐々木氏は特攻ではなく爆撃にこだわり、度重なる出撃にもかかわらず必ず生還してきたのです。
彼は何と戦い、何を拒絶し、何を選び、何に苦しんだのか。「命令した側」と「命令された側」という現代日本でも見られる、ある種、異質な人間関係が浮き彫りにされていきます。それに抗った佐々木友次という人間の生き様を通じて、私たちのあるべき生き方を見いだせるかもしれません。
スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクス製作総指揮による、太平洋戦争における米国海兵隊員と旧日本軍との戦いを描いたドラマシリーズ「ザ・パシフィック」の原作本のひとつです。ドラマの主人公のひとりでもあった本書の著者ユージン・B.スレッジの視線を通じ、アメリカ海兵隊の一歩兵が体験した現実を描きます。
硫黄島に匹敵する損害率を記録した1944年秋のペリリュー島攻略戦、そして'45年春の沖縄上陸戦の2つの最激戦地。そこで彼が見た悲惨な情景はたいへん緻密に語られますが、極めて理性的で淡々と書かれていることに注目。一方で、戦闘中ではない海兵隊員の日常なども実に細かく描写されており、史料として非常に優れた1冊といえるでしょう。
死線を越えた零戦搭乗員たちの最後の証言をもとに結実したNHKの番組「零戦~搭乗員たちが見つめた太平洋戦争」を書籍化。
第32回講談社ノンフィクション賞受賞作。日本人捕虜を人間として扱うことで機密情報を得ようとする米国の尋問センターの貪欲な真実。
交錯する二人の飛行隊長の人生を縦糸に、元零戦搭乗員124名へ未踏の2000時間インタビューを横糸にして織り上げた、名もなき男たちの鎮魂の書。
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