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「卵子×卵子」で生殖するゆり世界に、滅亡したはずの男が誕生。ハーレムか!?

男が滅亡した世界に、ただひとり“男”として生まれたら……? ハーレムなんて築いてないで純愛しろ! 純愛!! 阿仁谷ユイジ先生の『テンペスト』は純愛だぞ!!

2016.10.29
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さあや

コミックプラスの製品情報を掌握する(!?)窓際バイト・さあや(アラサー・女性)が、一身上の性癖で選んだ名作たちを力説紹介するオタク連載。オススメする気持ちは人一倍! 伝える力は講談社デブリ! 泡を吹いて卒倒する文章で書きあげるよ~! 毎週土曜日更新だよ~!

オタを隠して生きてきたのにどうしてこうなったφ( ^ω^ ) 

恐ろしいことに誰得ツイッターアカウントができたよ!⇒さあや絶賛の中の人@講談社内
まったく役に立つことつぶやいてないけど頼む~ふぉろみ~!

世界で最後の男になったって、好きな人と一緒になるのは大変みたいです。

「世界に男が自分ひとりになってしまったら」。そんなのもう、どんな不細工だって世界規模のハーレム作れちゃうじゃんヤッピッピ~♪ なんて軽率に考えてしまうのは人(おもに私)の性なのか……。そんなアホファンタジーなら良かったんだけど、この『テンペスト』はまじめに人類の種を残すために、女性同士で子どもを作ることが当たり前になった世界……に、男が生まれてしまうというなかなかハード&重い内容になっております。

男なんていなくても問題ない!って世界にひとりだけ異質な存在で生まれてしまった姫(男です! 姫だけど男です)、もちろん服装とかも女の子で見た目は疑いようのない美少女! 男であることを隠しながら、皇(こっちは女の子)と淡い恋を育んだり、将来を約束したりするんだけど、もう告白したらギャン拒否されただけじゃなくて、かわいさ余って憎さ百倍なのか皇からはゴキブリ以下に嫌われてしまう。超絶かわいそうな姫も姫で、なかなか執念深く、その後も皇ひとすじ……。じゅ、純愛ですよこれは! え? 純愛に見えない!? そうかもしれないけど、読んでいけばわかる!

残念ながら“普通の女の子”ではありませんでした。

皇も嫌悪感MAXですってわりには、姫と別れてから恋人も作らないし、局長の霧江さんと姫がイチャイチャしてるとすごい嫉妬するの。なんなんだよやっぱり好きなんじゃないんですかよ素直になろう^^? 大人になった姫はもう見た目も立派な“イケメン”なんだけど、みんな男がいるはずがないって思っているのでバレないの。こんなにかっこいいのにバレないの……。

なんということでしょう……姫がイケメンに……。

それとこのマンガの素晴らしいところが“女性攻め”なんだ……。姫はイケメンちゃイケメンなんだけど、皇しかり、出てくる女性がそりゃもう強気で男前でかっこいい(まれに姫の男スイッチにキュンキュンしてるのもかわいい)。ゆりが当たり前で妊娠可能な世界だから、そりゃあナチュラルに姫に子どもを産んでもらおうと迫る迫る。逆だろ!とか思いながらも、デカい図体でまんざらでもない姫とか見てると性別なんてもうどうでもよくなってきます。萌えればオールオッケーです(真理)。

ひ、ひえぇぇ///圧倒的攻め様の霧江さま///

著者の阿仁谷ユイジ先生は、BLマンガのデビュー作からずっと応援してて、一般誌に移ってしまい「ああ……もうあんなにもピュアピュアでとろとろのBLを読むことはできないのか……」と嘆いていたけど、そんなことはなかったです。その魂はしっかり『テンペスト』に受け継がれていますよ! 姫の照れ顔も軽蔑顔も色っぽい顔も最高! その分感情移入してクセになっちゃうので、「おかわりっ!おかわりっ!」って感じに次の巻が待ち遠しいです。……『テンペスト』のラストもめっちゃ気になりますが、たまにはBLも描いてくれるとさあやはうれしいです(小声)。

  • 電子あり
『テンペスト(1)』書影
著:阿仁谷ユイジ

この世界で<男>とは、もはや幻の化物(モンスター)。西暦2012年、太陽系に発生した磁気嵐群(フォトンベルト)の影響で、地球上のヒト科のY染色体は絶滅。残された人類は、卵子同士での生殖に成功。地球は女だけの新たな世界に生まれ変わった。だが、運命の西暦3992年。安斎・Y・姫、誕生。<彼>は、世界にたったひとりの男性となった──。