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【夏休みの自由工作決定版】手作りロボットを作って遊んで科学を学ぶ!
(著:太田 志保)
いよいよ始まった平成最後の夏休み。
夏休みと言えば、大量の宿題。夏休みのドリルとか絵日記とかはちゃんと毎日やっておけよ、という一言で片づきますが、問題は自由研究です。一朝一夕で終わるようなものではありません。そんな夏休みの宿題に頭を悩ませているお子さん、そしてご家庭にオススメしたいのが本稿で紹介する『作って遊んで科学を学ぼう! 手作りロボット』。まさに自由研究にうってつけの1冊と言えますよ!
さて、「自由研究にうってつけ」な理由は後述しますが、まず本書の概要を説明すると、本書は工作キットがついてくるので、プラモデルを買って組み立てる、みたいな感じで遊びながら学べる本です。表紙にも「STEM教育にも最適」とあるとおり、科学・技術・工学・数学に触れつつ、楽しみつつ完成に近づけていくという作りになっているので、ニンテンドーラボで工作に目覚めちゃったり、Raspberry Piに挑戦しようかな、なんて思ったりしている大人たちにも、初歩からやってみるっていう用途によいかもしれません。
同梱されているキットは、モーターとか電池ボックスにケーブルや動眼などといった、手芸屋さんやホームセンターで容易に手に入るもので構成されているので、ものすごく汎用性が高く、「この工作をきっかけにいろいろ考えてみてね」という意図が感じられます。
そんなキットを使ってできあがるロボットは、「くるくる回るダンスロボット」と、「ぶるぶる動く振動ロボット」の2種類。両方とも、モーターの動きでユニークに動くロボットです。
これらのロボットを作るに際して、付属のキットのほかに必要なものは洗濯バサミとか紙コップとかの多分一般のご家庭にあるものなので、もしご家庭に無かったら少し大きめな100円ショップに行って調達すればいいくらいの、ありふれたものです。
ある程度の学年のお子さんだったら、お小遣いをあげて、材料を買うところからはじめるのもいいでしょう。でもこれ、もうちょっと小さいお子さんでも、実験しながら遊ぶことができる(できた)ので、未就学児のお子さんをお持ちのご家庭でも、一緒に遊ぶ一環として、こちらで遊んで一緒に勉強することができます。かくいう私も、5歳児と一緒にこのキットを作って遊びましたから。
とはいえ5歳児くらいですと、子供が作業するところを見守ってところどころ手助けするっていうよりも、細かい作業がわりと多いため、基本的に自分が手を動かして、「ところどころの重要な発見ポイントを体験してもらう」という感じにならざるを得ないと思います。しかしきっとこういう体験が教育にとって大切に違いない! ということで一通り体験させつつ完成させる(ただしクオリティは問わない)という方針で取り組んでみました。(実際に手助けしながら子供メインで作るのは1年生くらいからかなと感じます)
また、下限も5歳児くらいだと思いました。この工作では、ボタン電池や小さいクリップ、抵抗などを使用するので、誤飲のトラブルなども考えると、あまりにも早くからの英才教育は「過ぎたるはなお及ばざるが如し」と言えるでしょう。
さて、まず比較的作業が容易な「くるくる回るダンスロボット」を作りはじめます。その作成過程に電池ボックスにモーターをつなぎ、電線を抵抗につないでモーターを動かせるという一連の工程があるんですけど、はじめは5歳児、なんでモーターが動くのかがわからない様子だったのが、次第に電線と抵抗がスイッチの役割であるということを理解しはじめ、最終的には(たぶん)回路の概念をぼんやりつかんでいるように見えました。
引っ張っちゃったからモーターからコードが外れてしまっているから動かないんだ、とかそういうのが理解できているようで、それを直そうとする(けどうまくできないから助けを求める)という一連の行動に、親としてはこの時期の子供としては十分な成果なんじゃないかと感じました。
これがもう少し大きい子供であったら、両面テープとマスキングテープで固定した電源コードがよく外れてしまう問題を解決する方法を一緒に考えたり、電池ボックスを別途用意して力強く開店する改造をしたりするのもおもしろいかもしれませんね。
そして2つめに取りかかるのは、「ぶるぶる動く振動ロボット」。
こちらはミニ四駆でおなじみのモーターを利用して、回転運動を振動運動に変換するモーターエンジンを作り、それにさまざまな型紙を載せ替えることで使い方を変化させることができるすごいヤツです。
モーターエンジンの作成過程は感心するほど容易ですが、型紙の加工にすこし工作能力が必要でした。
しかしこの製作過程が本当に秀逸でした。私自身は電子工作的なことは学生時代の技術の時間以外ではまったくと言っていいほど経験がなく、せいぜいミニ四駆程度の技術しかないのですが、この振動ロボットの工程は
・モーターを回す。
・スイッチを別途作製する。
・モーターの回転運動を振動に変換するおもりをつける。
・そのモーターを汎用的にするために、ケースを取り付けてモジュール化する。
・そのモジュールを使っていろいろな遊び方を提案する。
というように、しっかりと体験の階段がデザインされているので、実際に大人が作っていてもうれしくなってきます。子供であったら喜びもひとしおでしょう。きっと。
そしてモーターエンジンができあがったら付属の型紙を使って、ロボットやライオンや飛行機などのスキンをかぶせてデコレーションしていきますが、ウチの5歳児が選んだものは飛行機。
両面印刷された型紙で、それぞれの面に山折り、谷折りなどの場所がしっかりガイドされていてわかりやすいものなので、切り取るところ以外は5歳児でも楽勝。しかしハサミが苦手なので保険をかけてコピーして挑みましたが、公式でダウンロードもできるので、ダウンロードしてコンビニプリントして臨むことをオススメします。(注:ダウンロードできる型紙は片面なので、折るポイントや両面テープを貼る場所は原本を確認しながら作業するとわかりやすいです)
切り取ったら子供に彩色させて……みるものの雑だな君!
そんな感じでプロペラ飛行機が完成しました。モーターエンジンのおもり部分がプロペラになっていて見た目もユニーク。もう少し堅い紙にプリントすれば良かったかな、なんて思いましたがこれはこれでよしとします。
私と5歳児はこれら2つのロボットを完成させるのにまとまった時間が取れなかったのでちょっと期間が長かったものの、実質のトータル作業時間は3時間弱くらいで完成させられました。ここが、「自由研究にうってつけ」な理由です。
始業式を間近に控えたタイミングで自由研究のやり残しに気づいても、本気を出せばすぐに作りあげることができる。でも、やっつけでは絶対に完成できない。なんでこうなっているのか、どうしてこの部品が必要なのか(装飾以外)を理解しないと完成までたどり着けないこのバランスはすごいなと感心しました。
著者の太田志保さんの策にしっかりとハマっている格好です。
やっぱり、「できた!」という感覚はものすごくモチベーションに寄与します。算数や理科に苦手意識を持つ前に、「むずかしかったけど、できたよ」っていう達成感というプレゼント、それを子供たちに渡してあげるのは、親として大切な仕事だと感じました。
こちらのキット自体は、それこそホームセンターなどで手に入るものですが、著者の太田さんによるオンラインショップにて、追加で購入できるので、振動ロボを2つ作って相撲を取らせたり、ダンスロボ2つで喧嘩させたりっていう使い方もできます。私は娘がもう少し育ったら、こんどは本人メインで作ってもらおうと思います。
「ブルーバックス」と「動く図鑑MOVE」がコラボした電子工作キットで、自分だけのロボットを作ろう!
夏休みの自由工作やSTEM教育の教材にも最適です!
付録のパーツのほか、おうちにある道具と100円ショップにある材料でできる電子工作キットです。電池とモーターを組み合わせて、「くるくる動くダンスロボット」と「ぶるぶる動く振動ロボット」の2体のロボットが作れます。
●ロボット2体分のパーツ付属
●40ページの冊子では作り方をわかりやすく解説
●対象は小学校低学年から
●必要な道具・材料はハサミ、ピンセット、輪ゴム、紙コップ、マスキングテープなど
●自由に飾り付けできるので、女の子でも男の子でも楽しめます
●ロボットの作り方や、遊び方をブルーバックスのホームページからチェックしよう。
【冊子の内容】
自分で「つくる」「動かす」手作りロボット さっそくつくってみよう!
■くるくる回るダンスロボットのつくり方
じっけん1 容器にモーターをつけよう
じっけん2 モーターをしっかり固定しよう
じっけん3 ワイヤーを引きだしてロボットの手にしよう
じっけん4 モーターの動きをたしかめよう
〔コラム モーターの形〕
じっけん5 ロボットの頭に電池をつけよう
じっけん6 クリップでスイッチをつくろう
じっけん7 ロボットのスカートをつくろう
じっけん8 ロボットを飾りつけしよう
■ぶるぶる動く振動ロボットのつくり方
じっけん1 モーターを回そう
じっけん2 洗濯ばさみスイッチをつくろう
じっけん3 おもりをつけてゆれを大きくしよう
じっけん4 モーターエンジンに台をつけよう
じっけん6 ケースにモーターエンジンをいれよう
〔コラム ワイヤーのカバーのひみつ〕
じっけん7 エンジンケースにあしをつけよう
型紙の使い方
ライオン/ヒコウキ/ロボット/クワタガ/ショベルカー
レビュアー
静岡育ち、東京在住のプランナー1980年生まれ。電子書籍関連サービスのプロデュースや、オンラインメディアのプランニングとマネタイズで生計を立てる。マンガ好きが昂じ壁一面の本棚を作るものの、日々増え続けるコミックスによる収納限界の訪れは間近に迫っている。
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