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本名、武良茂。1922年(大正11年)生まれ。鳥取県西伯郡境町(現・境港市)で育つ。幼いころから物語をつくる力に優れ、また天才的な画力を発揮。高等小学校在学中に個展を開き、新聞に絶賛される。しかし学業のほうは芳しくなく、一旦は上級学校への進学を断念するが画家になる夢は諦めず、仕事の傍ら塾や独習で画力を磨く。
やがて太平洋戦争で召集。南方の激戦地に送られマラリヤと爆撃で左腕を失うが、九死に一生を得て帰還する。
戦後はさまざまな職業を経て、紙芝居作者、貸本漫画家となり、「別冊少年マガジン」に発表した『テレビくん』で講談社児童漫画賞(現・講談社漫画賞少年部門)を受賞。その後『ゲゲゲの鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』とヒット作を続けて発表、日本を代表する国民的漫画家となる。
近年、夫人との暮らしぶりがNHKの連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で描かれ、爆発的なブームを巻き起こした。
紫綬褒章、旭日小綬章、文化功労者の栄を得て、世界各国の漫画賞も受賞し、漫画史に名を刻む存在となった。
2015年11月30日、多臓器不全のため逝去。享年93。
水木しげる漫画大全集 編集部 編集委員会
水木しげる漫画大全集をお読みいたただいているみなさまへ
平成二十七年十一月三十日、『水木しげる漫画大全集』の著者・水木しげる先生が永眠されました。享年九十三でした。
水木先生は同月十一日の朝、自宅で転倒され、頭部打撲による硬膜下血腫で緊急手術を受けられました。一時は回復の兆しが見られたのですが、三十日未明に容態が急変、帰らぬ人となってしまったのです。
多臓器不全、朝七時十八分のことでした。
おりしも十一日は茂鐵新報のためのインタビューをお願いしていた日でもありました。取材は延期となり、我々編集委員会をはじめ、全集刊行に携わる全員が先生の容体を案じておりましたが、快方に向かっているとの報せを受け、次回インタビューの日取りを決めなければと考えていた矢先の、突然の悲報でした。速報が流れたとき、読者の皆さんはさぞや驚かされたことと思います。全集刊行に携わる我々も、まったく同じ気持ちでした。
最近の水木先生は、さすがに足腰の衰えこそ隠せませんでしたが、それでもインタビューのときにはお土産の大福餅をペロリと平らげられ、愉快な発言で周りを大笑いさせるなど、大いに元気なご様子でした。常にサービス精神を忘れないその姿勢に、我々は笑いながらもますます畏敬の念を強めたものでした。
本当に、本当に残念です。
我々は、水木先生からたくさんのことを学ばせてもらいました。
妖怪やあの世といった、目に見えない世界のこと。仕事のこと。戦争のこと。人の幸せとは何かということ。また、膨大な数にのぼる漫画作品、エッセイ、そして先生の言動そのものからも、多くの楽しみを与えてもらいました。
先生はもう現世にはいらっしゃいませんが、水木作品は未来永劫不変です。その素晴らしい業績を永く後世に伝えるためにも、我々編集委員会は本全集を完結させなくてはなりません。あちら側の先生に喜んでいただくためにも、より一層、身を引き締める思いで編集作業に励むつもりでおります。
日本を代表する偉大な漫画家であり、妖怪文化の大成者でもあった水木しげる先生。我々に様々なことを教え、楽しませてくれたことに深く感謝するとともに、心より冥福をお祈り申し上げます。
水木先生、どうもありがとうございました。
水木しげる漫画大全集 編集部 編集委員会一同
(編集委員会 京極夏彦 村上健司 梅沢一孔 坂野公一 節丸朝子)
ちばてつや氏
水木さんの訃報に接し
歳は一回り以上違うものの、70年前、同じように戦争で死線をさまよい合った水木さん。
その後のマンガ週刊誌の黎明期から今日まで、ともに締め切りと闘ってきた「同志」であり、「戦友」であり、我々マンガ家たちの優しい「お兄さん」だった水木しげるさんの訃報は、今は言葉にできないほど悲しくて、寂しいの一言です。
長い間本当にお疲れ様でした。
もう、爆撃も締め切りもない世界で、大好きなボタモチを食べながら、ゆっくりお休み下さい。
ちばてつや
「神秘家列伝」で多くの神秘家たちを描いてきた水木しげるが、最後に描く神秘家は自分自身! 神秘的な出来事に焦点をあてた、ユニークな切り口で描く自伝漫画を完全収録。
『水木しげる漫画大全集』101(2006〜2007)、第1期第14回配本。
★収録作品
「この世でいちばん妖怪に近い人 水木しげる」「神秘家水木しげる伝」
★解説「妖怪は怖くない。怖いのは人間」高山みなみ(声優)
★初出一覧
★付録「茂鐵新報」通巻第1-29号
・今日の一言「なまけ者になりたいと願っていたけど、水木サンは根が勤勉なんだね」(水木しげる)
・水木しげるインタビュー「“神秘家”の卵時代」
(ほか)
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