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講談社ラノベ文庫4月刊のラインナップを一挙ご紹介! 『銃皇無尽のファフニール』の書き下ろしから短編集や人気シリーズまで、校了を担当する2人の秘密コメント付きをチェックしよう!!
講談社ラノベ文庫編集長(であるらしい)。月刊少年マガジンに約20年在籍後ラノベ文庫へ異動し現在に到る。頭の中身は自称永遠の17歳だが頭の外側は……!?という、ドラえもんのいないのび太、みたいな感じのおっさん。編集者としてのモットーは「相手の技は必ず受けろ!」、身につけたい能力は「速読」、異世界に行ったら「蕎麦屋」をやりたい。一度言ってみたい台詞は「どうしたんだ、顔が赤いぞ。熱でもあるのか!?」
講談社ラノベ文庫編集部校了担当者。またの名を金剛寺大三郎。軍手とガムテと段ボールが似合うナイス・ガイ。講談社ラノベ文庫の新刊を責任持って校了してますが、やたらフセンをいっぱい貼って返してくるのでうっとおしいみたい。「笑ったとこにいちいち『(笑)』っていうフセン貼ってくんの、どうなんすか」(編集部員・談)
積み重ね、これ一番大事です!
ずーっとやってみたかったというか、やろうと考えて始めたのに全く続かなかったことのひとつに、「日記」があります。夏休みの日記とかも、10日ぶんくらい憶えててあとでむりやり書いてたくらいなのでとにかく継続するのが苦手ですぐ飽きてしまうということなんでしょう。実際昔書こうとした日記みたいなものを見返すと、書き始めの日の次に書いたのが2年後だったりしてまして全然意味ねーじゃんこりゃ……てな感じでありました……あー恥ずかしい。
なにゆえ書き続けられなかったのだろうと思うと、書くなら「わりときちんとしたものを書かなくてはいけない」みたいな思いに縛られてたからかなあとも、今更ですが思うのです。それこそ3行くらいでもいいので「今日はこんなことがあった、ご飯は何を食べた」とか、書いているリアルタイムでの、ホントにちいさな出来事をほんのちょっと書き連ねればよかったんですよねぇ。どうでもいいことの積み重ねが30年くらい積み重なったら、その時初めて意味を持つんだ、ということに思いを馳せることが全くなかった、というより遠い将来のことなんか思い描いている余裕なんかなかったんだろうなあ……。
ラノベという、リアルに中高生を対象読者とした仕事をしている故、遙か昔に何をしててどう感じたかをどこかに書いてあればよかったのになあと思うことしきりの今日この頃なのです──でもリアルで記録つけてたら、超ネガティブな内容になるから絶対読み返せないと思うのですが……orz
さて、本題に入りますが、前巻にて本編は無事大団円を迎えた『ファフニール』でありますが、今回は各書店特典やアニメDVD用書き下ろし分を集め、しかも新たな書き下ろし分も入っているというとてもお得な1冊となっております。書店特典のSS、とても読みやすいうえに各ヒロインたちの裏話的なもので成り立っているのですが、そうかあのキャラにはこんな部分があったんだな……と改めて振り返ることもできます。主人公の悠くん抜きでも、いや抜きだからこそ面白いといえる部分もあるんだと納得してしまいました──この特典SS、短くとも積み上げられた充実の読み応えがあります。各SSに読者のみなさんへキャラを伝えようという、著者ツカサ先生の思いを強く感じますね。
深月ちゃんは最初からしっかりした人なんだと勝手に思っていたのですが、ミッドガルに来た当初はそうでもなかったんだなあ、とか新たな発見もありました。それと、個人的にはずっとフィリルちゃん推しなのですが、いつものように全員を巻き込んで振り回しつつ自分をきっちり主張しているエピソードが極めてフィリルちゃんらしくてとても楽しかったのです……こんだけいろいろみんなを振り回しても嫌われないところがまたいいよねえ!
そんなわけでファン垂涎の短編や書き下ろしの詰まったこの「EX」をぜひご一読いただければと思います。
静まり返った満月の夜、この書き下ろし分を大事に味わってほしいのだ
さすがです。
本シリーズの第2巻を校了してみたときも、ある一節にものすごい衝撃を受けましたが(このコーナーのバックナンバーを各自調査!)、今回も来ましたね来ましたよ。以下にご紹介。
《この言葉を覚えておいた方がいい──『まだいける』。そう思った瞬間引き返そう》
《こんな格言がある、『帰ろう、帰ればまた来られるから』》
2つ目のほうは、ある種類のゲーマーさんたちにはたいへん有名で、大元の歴史的な出典もよく知られてるんですってよ? その種類のゲーマーでない大ちゃん、ちょっとどきどきいたしました。ちなみに大ちゃんの座右の銘は、若いときは『人生泣き寝入り』だったんですけど、じじいになってからは『それはそれ、これはこれ』に変わりました。……この話はこれ以上発展いたしません。…………あんだよ(怒)。
では改めて。我が国を代表する巨大小説投稿サイトで、日・週・月・四半期、すべてで第1位を記録した累計4500万アクセス突破の突出作。その第3巻であります。これ、320ページもあんですけど、ホンットにさらさらっと砂時計が落ちるように、まあ落ちるのは砂だけどな、ストレスなく読めるんですよ。担当のクリ吉くん(仮名)が、あのもこもこした体型なのに大幅にブラッシュ・アップさせたんでしょう。体型、関係ねえけど。特に今回の書き下ろし1本が秀逸!!!! 必読。じゃあ、そこだけ読みゃあいいやと思ったあなた、とっとと泣き寝入れよ。あのね、全体を、できれば既刊のニンジン娘が登場してからを一気にお読みいただくと、この書き下ろしが刺さります。いやあ、ビックリした。夜中に編集部で校了しててジーンと来て、テンション上がっちゃったんだけど……帰ろう、引き返そう。帰ればまた会社に…来たいかってえと、それはそれ、これはこれだが。
咳をしても独り。
《そうじゃなくって、本当に大切なのは、孤独な人間たちが孤独なままで一緒にいるってことなんです。共感とか理解をもとめるんじゃなくて、どことも繋がれないことを知りながらそれでも一緒にいようとする。人間が人間らしく生きるっていうのは、そういうことなんじゃないかなって、思うんです》(本文より)
初めてひとり暮らしをするようになったころからもうだいぶ時が経っているけど、ひとりの部屋に帰るのになれるのには時間がかかったなあ。バイトや学校から(その後は会社から)帰って明かりを点す瞬間、誰も居ない部屋に誰かの声を聞きたくて、スイッチをいれたテレビからはきまって久米宏の声がしていたなあと。予定が何にもなくてどこにも行かない日が続くと、しゃべり方をわすれた感じがして口の筋肉の動きを確かめていることがよくあった。
それからしばらくして、ひとりになれてくると、ひとりで部屋にたたずむ瞬間はなによりもホッとする、解放された時間のように思えてきた。誰かとケンカもしないし、うなずき合ったりもしないけれど、誰にもじゃまされない、ひとりだけで成り立つ時空間……ムダにした時間も多い、けれどホントはとても素晴らしい時間だとしみじみ思います。理解されるより、誤解される方が多い毎日だったら誰とも結びつかなくっていいんだ、とさえ思うのです。
冒頭の『ビューティフル・ソウル』2巻の一節ですが、今巻で最も印象に残ったところであります。集団から離れてひとりでいることは全然寂しいことではなくて、誰かと一緒にいても誰とも理解しあえないことを嘆く方がよっぽど寂しいと。独りでアニメをみて「こんな展開が自分にもおきないかなー」と妄想を巡らすときの方がよっぽど活力に満ちた幸せな時間なんだなーと。誰かと理解しあわなくてはいけないと考えて行動したら生じるのは摩擦と争いばかり。でも「どっちにしろ誰とも理解しあえないし、みんなちがった、みんな自分の都合だけで生きているんだ」と考えた方がむしろ仲良く平和に暮らせるんではと思うことが最近特に多いのです──争いばかりのニュースが流れてくる毎日だからこそ、でしょうか?
そういう自分もたまには、幸福な孤独に浸ってこころ穏やかにすごしたい、ということを願っていたりするのです。久米宏の「ニュースステーション」はもうないけれど。
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