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2021.06.14

ニュース

第45回講談社漫画賞 受賞作発表!!

講談社では、日本の漫画の質的向上をはかり、その発展に寄与するため、昭和52年から「講談社漫画賞」を設けて、毎年最も優れた作品を発表した漫画作家を顕彰しております。
本年度の選考委員会は新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、リモート会議形式で開催し、5月13日に「第45回講談社漫画賞」少年部門・少女部門・総合部門の3部門を決定いたしました。
講談社漫画賞のシンボルとして山形博導氏制作のブロンズ像「MEMORY」が受賞者に贈呈されます。

選評

海野つなみ

少年部門はアクが強くケレンみたっぷりの『ブルーロック』が受賞。絵も物語もどんどん洗練されていく『炎炎ノ消防隊』、完成度の高い『葬送のフリーレン』、安心感の強いコメディ『転生したらスライムだった件』も素晴らしかったです。
少女部門は人間関係の光と闇が丁寧に描かれた『花野井くんと恋の病』が受賞。刺激的な展開の連続の『黒崎くんの言いなりになんてならない』、王道でひたむきな『ハニーレモンソーダ』、ピュアで心洗われる『ゆびさきと恋々』もよかったです。
総合部門は現代を切り取った快作『ゆりあ先生の赤い糸』が受賞。先の見えないホラー『青野くんに触りたいから死にたい』、リアリティのある恋物語『あせとせっけん』、エンタメ性ピカイチの『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』、夢が広がる『ふたりソロキャンプ』も面白かったです。
初めての選考委員でしたが、どの作品もレベルが高く、受賞作も候補作も幅広く読まれてほしいと思いました。

小川悦司

【少年部門】傑作大集合でした。受賞作『ブルーロック』……日本サッカーに挑戦状を叩きつけながら読者を引き摺り込む金城氏の覚悟と鬼才、妖気すら漂うノ村氏の高い作画力に唸らされました。個人的にはアイデアの引き出しが止めどない王道快作『炎炎ノ消防隊』を一位推ししました。
【少女部門】『ゆびさきと恋々』との決戦投票を制した『花野井くんと恋の病』は、メンヘライケメン花野井くんと心の美しいほたるちゃんの圧倒的好感度で一歩リード。その空気感を紡ぎ出す森野氏の確かな技術と滲み出る優しさに心を摑まれ私も一推しでした。
【総合部門】どこから読んでも爆笑必至の『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』推しでしたが、他の先生方ほぼ満場激推しで『ゆりあ先生の赤い糸』が受賞。50歳の主人公が次々抱え込む意外すぎる諸問題…身につまされる悲哀と怒りを、潔く飄々とした描きっぷりで笑いと味わいに転化させた作風が大絶賛されました。
受賞者の皆様おめでとうございます!

久米田康治

原作と作画の分業作品が少年部門では4作中3作。どれも完成度は高く、もう漫画は一人で描く時代では無いのかなと考えさせられました。そんな中強烈な作家性で驚いたのは『ゆりあ先生の赤い糸』『青野くんに触りたいから死にたい』。転生しても絶対に自分には描けない狂気を感じます。
『ゆりあ先生』は「50代女性」「介護」と読者が食いつく要素0からの超展開にグイグイ引き込まれました。ありえない不幸が次々と起こるのにリアルで、悲惨な状況なのに笑っちゃう。「日の目を見てほしい」と推しました。
『青野くん』も笑いと恐怖が表裏一体、ギャグかと思えばどんどん怖くなり、怖すぎて笑ってしまい、脳がバグるようなインパクト。嫉妬に近い感情からこのような作品に魅かれてしまいます。
完成度としては『葬送のフリーレン』『ブルーロック』ら好マッチングな分業作品が高いのも事実、読者はどちらを求めてるのかとも悩みつつ、面白い漫画、好きな漫画の視点でシンプルに「好きな作品」を選ばせていただきました。

東村アキコ

今年の候補作は巻数も多く読み応え満点で充実した漫画漬けのGWを過ごしました。
少年部門の『ブルーロック』のノ村優介氏の天才的画力、大炎上しそうな問題提起の第一話があまりに面白く、原作の金城宗幸氏の勇気と、「漫画で俺が思ってることやっちまうんだ」、という姿勢に熱いものが込み上げました。『葬送のフリーレン』も選考委員の評価が高く議論も白熱しました。
少女部門、どの作品も画力が高く素晴らしかったのですが花野井くんというキャラの魅力が突出していました。
総合部門、これも白熱した議論になるかと予想されましたが、選考委員みんな『ゆりあ先生の赤い糸』と『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』を1位、2位という感じで点数付けしており、すんなり決まりました。『ゆりあ先生』、私がこの賞の選考委員をする上で大事にしている感覚「こんな漫画読んだことない!」、まさにそれ! 本当に面白く、ザ・ノンフィクション&身につまされ、選考委員の「もっとたくさんの人に読んでもらいたい」という思いがこの賞に表れていると思います。

三田紀房

各部門の受賞者の皆さまには心よりお祝い申し上げます。
少年部門には『ブルーロック』を推しました。原作の本質を突いた主張と作画のエッジの効いた表現が見事に合致した傑作で、サッカー漫画の新しいジャンルを切り拓いたことも賞賛します。『炎炎ノ消防隊』も高く評価したい。
少女部門は『ゆびさきと恋々』を真っ先に挙げました。難しい題材に誠実に向き合い、丁寧に描かれている作風に感銘を受けました。『花野井くんと恋の病』は等身大のピュアな恋物語が心を和ませる秀作で受賞に大賛成です。『黒崎くんの言いなりになんてならない』はとても面白く楽しく読みました。
総合部門ははじめ『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』を推しました。連載開始当初から応援していた作品で、個人的に大本命でしたが、『ゆりあ先生の赤い糸』を読んだところ一発逆転が起こりました。『ゆりあ先生』は圧倒的に面白かった。次々と噴出する非情な現実を受け止め、強くしなやかに乗り越えていく主人公に感情移入させられました。『ハコヅメ』は今後の更なる飛躍に期待します。

大和和紀

少年部門は、個人的には『葬送のフリーレン』の世界観、ストーリー構成の素晴らしさに魅かれたが、久々の少年ものらしさ、として『ブルーロック』の受賞に納得。
少女部門は一作、聴覚障害のヒロインがあったが、すべて高、大生のカップルのラブストーリーで、4作ともほぼ並びの秀作であった。『黒崎くんの言いなりになんてならない』は男主人公の性格形成の原因が若干軽く思われ、『ゆびさきと恋々』の絵の魅力、上手さ、ことに手は素晴らしかった。ハンディを扱った名作は過去にも多く、この先の展開に期待したい。結果『花野井くんと恋の病』の感じの良さ、ほっこりとして素直なヒロインとの恋によって徐々に人として開けていく花野井くんの姿に拍手して、受賞となった。
総合部門は本命と思われた『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』を抜いて『ゆりあ先生の赤い糸』が、ほぼ満場一致で決まった。女性ならば誰もが行き当たる不運で普通の現実。そのほぼ全部をぼやきながらも、しっかりと受け止めていくゆりあ先生のカッコよさ。辛口でわびしくて、それでいて笑える。入江さんならではの描き方の受賞でした。
受賞者の方々、本当におめでとうございます。又、候補にのぼられた皆さんの才能と努力に敬意を表します。来年もぜひ読ませてください。

幸村 誠

候補作品はどれも本当に面白く、各部門ひとつだけを選出することは、私にはたいへん困難でした。
少年部門受賞の『ブルーロック』は、日本サッカー界の現実を踏まえ、またそのサッカー界に漫画の形で問いかける、リアルと強くリンクした力強い制作姿勢に学ばせていただきました。
少女部門は『花野井くんと恋の病』『ゆびさきと恋々』の2作品で競る状況でした。ヒロインの純真さ、ひたむきさは両作品共通の魅力で、甲乙つけがたく悩みました。
総合部門は地方警察のブラックさをキレキレの笑いで描く『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』と、50代女性の身に降りかかった艱難辛苦を明るく描く『ゆりあ先生の赤い糸』の2作品が突出していました。選考委員という仕事を忘れ、両作品に引き込まれて拝読しました。 また今回受賞とはなりませんでしたが、総合部門候補『青野くんに触りたいから死にたい』の持つ他者に真似のできない魅力、迫力、底知れないパワーが今後一層大きく評価されてほしいと願っています。

受賞のことば

少年部門

ブルーロック

原作:金城宗幸 漫画:ノ村優介 【週刊少年マガジン/所載】

ブルーロック

金城宗幸(原作)

この度は、講談社漫画賞に選んでいただきありがとうございます。ひとえに、支えてくださった皆さまのおかげです。私は原作者なので、描いていただける漫画家さんあっての存在です。担当編集さん達も含めて、自分ひとりで出来ない事を重ねてこの『ブルーロック』という作品が出来上がっていると感じております。
そして毎回、毎週、文化祭だと思って作っております。その積み重ねが、このような素晴らしい賞をいただけた事が、とても嬉しいです。なのでこれからも変わらず、文化祭気分で漫画を作っていいのだと勝手に解釈して、邁進していきます。
最後にはなりましたが、選考委員の先生方、取材させていただいた関係者の方々、そして何より読者の皆さまに感謝します。この度は本当にありがとうございました。

ノ村優介(漫画)

この度は第45回講談社漫画賞に選出いただきありがとうございます。このような歴史ある賞をいただけるとは思っていなかったので正直驚いていると共に、自分もその歴史の一部になれたことを大変嬉しく光栄に思います。
作画担当として『ブルーロック』の一担い手となってからは「読者に受け入れてもらえるだろうか」「僕らの面白いは届くだろうか……いやこんな面白いモノ届かんわけがない!」と毎週溢れたエゴを叩き込むように原稿を描き続けていました。今、心底描き続けてきて良かったと感じています。
この場を借りて、スタッフの皆様、担当編集、作品を世に出すまでに関わる全ての皆様に感謝申し上げます。そして何より『ブルーロック』を応援し、読み続けてくださった読者の皆様ありがとうございます。
最後になりますが、金城先生。作品を作り上げるもう一人として自分を選んでいただき本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

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少女部門

花野井くんと恋の病

著:森野 萌 【月刊デザート/所載】

花野井くんと恋の病

森野 萌

この度は第45回講談社漫画賞少女部門に選んでいただき有り難うございます。元々恋愛描写が不得意だった自分が、もっと恋、そして少女漫画に逃げずに向き合ってみようと始めたのがこの連載でした。賛否ある内容だと思いますが、真正面から挑んだこの作品を少女漫画として評価していただけて、大変光栄で嬉しかったです。
とはいえ私一人で作る漫画はまだまだ未熟です。編集さんと話し合いを重ね、友人に知恵を借り、アシスタントさんやデザイナーさん、応援してくれる家族・友人・読者の皆様に支えられてようやくちゃんとした漫画ができています。なので今回の受賞がいつも支えてくださる皆様、関わってくださった全ての方々への恩返しになっていたら幸いです。いつも自分は大したことはしてないと笑うあの人やこの人に、貴方のおかげです。貴方の力はすごいんですと伝えたいです。
これからも感謝を忘れず真摯に漫画に向き合っていきたいと思います。改めて、この度は本当に有り難うございました。

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総合部門

ゆりあ先生の赤い糸

著:入江喜和 【BE・LOVE所載】

ゆりあ先生の赤い糸

入江喜和

漫画家と名乗るようになって32年、ずっと本が売れない私です。1巻から「主人公が何をしたくて、どんな話なのか読者にわかりやすく」などのセオリー通りに描きたくなく、デジタル化の波や流行にも乗れず、作風も地味ですので、こんな意固地で要領の悪い人間が「賞」と縁を結べるとは努々思えず、ただ自分が面白いと思うことを楽しくやれればそれで良しとしてきました。
しかしこの度この粋な計らいには素直に喜ばしい気持ちがあふれ、自分のような人間でも夢を持っていいのかね? という希望をいただけたのが最高です。
選んでくださった選考委員の先生方、根気強く寄り添い育んでくださった歴代の担当編集のみなさま、可能性を信じて連載を長く続けさせてくれたBE・LOVE編集部、疫病蔓延の中通いでがんばってくれたアシスタントさん、無骨な絵にムードを出すべく創意工夫をこらしてくださるデザイナーさん、この漫画に関わって盛り上げてくださった方々、感謝にたえません。 そして身内のように心配しながら応援し続けてくださる読者のみなさま方に心からの愛と御礼を。
ありがとうございます!!
これからもよろしくお願いいたします。

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第45回講談社漫画賞各賞ノミネート作品(作品五十音順)

少年部門

『炎炎ノ消防隊』大久保篤/『葬送のフリーレン』原作:山田鐘人 作画:アベツカサ/『転生したらスライムだった件』原作:伏瀬 漫画:川上泰樹 キャラクター原案:みっつばー/『ブルーロック』原作:金城宗幸 漫画:ノ村優介

少女部門

『黒崎くんの言いなりになんてならない』マキノ/『花野井くんと恋の病』森野萌/『ハニーレモンソーダ』村田真優/『ゆびさきと恋々』森下suu

一般部門

『青野くんに触りたいから死にたい』椎名うみ/『あせとせっけん』山田金鉄/『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』泰三子/『ふたりソロキャンプ』出端祐大/『ゆりあ先生の赤い糸』入江喜和

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