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2026.08.25

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カワボで登録者急増中!ロリ猫VTuberの正体は生意気ショタ!?『おれは美少女VTuber』

人は、秘密が大好きです。秘密がバレそうになるときのハラハラ感。秘密を共有した者同士の連帯感。本作では、この「秘密」が生み出す興奮を、配信者が自らの姿ではなくデジタルアバターでネット配信を行うVTuberという題材を使って、上手に物語へと落とし込んでいます。

主人公は猫間史姫(ねこましき)、中学2年生男子です。声が高いことにコンプレックスを抱き、「ソプラノ」というあだ名にイラつきながらも、逆にそのことを利用し、正体を隠して人気美少女VTuber・猫乃姫(ねこのひめ)にゃるにゃんとして配信活動をしています。

「バレる?バレない?」の緊張感が楽しい! 超人気美少女VTuber=中学生男子

美少女VTuberが実は男子中学生だった、という秘密。史姫本人と彼をマネジメントする従兄しか知らないこの真実に、リスナーや彼のクラスメイトたちは気づくのか、気づかないのか。そんな緊張感が作品をグッと引き締めます。

何も知らずにピュアに盛り上がるリスナーに対し、裏で辛辣な態度の史姫。
舐めてます。舐めてますが、それでも、「ここは唯一、おれを受け入れてくれる場所」だと、コンプレックスである自分の声に沸くこの配信に救われていることも自覚している様子。思春期男子の複雑な心境が垣間見えます。

しかし、彼の日常はネットではなく中学生活にあり。配信予告した時間と、クラスメイトたちと遊ぶ時間が被ってしまい、日常を優先せざるを得ない史姫は苦肉の策として、友人たちと遊びながら「音声だけの配信」を試みます。クラスメイトにVTuberであることがバレてはいけないし、リスナーに中学生男子であることがバレてもいけないという絶妙な設定がより一層のハラハラ感を演出。

友人たちとボウリングやビリヤードをしながら、器用にマイクのスイッチを切り替えて配信をこなす史姫。しかし、好事魔多し。友人のある発言がきっかけで、事態は思わぬ方向に――。
自身の怒鳴り声に加えて友人たちの声も配信に乗ってしまい、コメント欄には彼氏との痴話喧嘩説まで浮上して炎上待ったなし。にゃるにゃん……いや、史姫の居場所が消えかけたそのとき、救いのコメントが投稿されます。
これに便乗し、うまくごまかして釈明するにゃるにゃんの言葉にリスナーたちのざわつきは沈静化。身バレとは違う角度の危機をなんとか回避した史姫でしたが、ひとつの秘密を抱えると、その秘密を守ろうと無理をしてさらなるピンチを招くという悪循環を見事なまでに体現する結果に。この調子で無事に学校生活を送れるのでしょうか!?

身バレを恐れる主人公と実は正体を知る幼なじみ、ふたりの視点で読む面白さ

身バレ危機を回避するなかで、そのきっかけとなった「『ドタバタ☆コーラス』のアルトくんのセリフだ!」というコメント。そのコメ主は……
この男、名を景近(かげちか)と言いまして、なんと史姫の幼なじみ。そう、誰にもバレていないと思っている史姫のすぐ隣に、その正体を知る男がいたのです。

景近は本作冒頭で、史姫の幼なじみかつモテ男子、さらには恋のライバルを思わせる存在として登場。彼がにゃるにゃん好きだと知った史姫が「景近にバレたらおれは死ぬ」と思うほどの濃い関係性。そんな「親友&恋敵」枠のキャラだと見せつつ、第1話の終わりで実は史姫の秘密を全て知って愛でている(しかもそれを本人には黙っている)ことを明かす構成にゾクゾクさせられます。

級友たちとの遊びと音声配信の同時進行時にも友人&リスナーとしてそこに存在し(本レビューに載せたコマにもいます)、機転を利かせて史姫を救う景近。VTuberだと知っていることを隠して、幼なじみの史姫とVTuberのにゃるにゃんの両方を推している、そんな彼のやや歪ともいえる友情(?)が、本作の見どころのひとつ。

にゃるにゃんの新曲を歌いたいという景近の提案で、皆でカラオケをする場面では、にゃるにゃんの歌声とイコールな自分の歌声を聴かれるわけにはいかないと、乗り気ではない史姫に対する景近の態度がこちら。
その理由を知っている、という景近の顔。痛いところを突かれたと焦る史姫の顔。ふたりとも、めちゃくちゃいい表情してます。立場が異なるふたりそれぞれの視点を通じて交差するその感情も楽しめるという、贅沢なシーンです。

この後、史姫は歌詞を棒読みで歌うという荒業でカラオケを乗り切り、クラスメイトたちからは大不評なのですが、景近だけはリアクションが全然違います。
史姫=VTuberだと知る景近の口から、うっかり出てしまった「生歌」という表現。知っていることに気づかれるぞ……!という景近への忠告の気持ちと、奴のうっかり発言に気づけ……!という史姫への援護の思い。本作がふたりの視点を丁寧に提供してくれるおかげで、それぞれに向けて異なるスタンスで物語を楽しんでいる私がいました。史姫と景近の関係性がこの先どう変化していくのかも気になります。

「美少女VTuber」の世界を表現するポップでキュートなビジュアルにも注目

VTuberという世界には、キラキラが詰まっています。本作においても、デジタルアバターならではの装飾やエフェクトなどを、ポップ&キュートに描写。また、その世界観を大事にしていて、目次ページをはじめ、漫画の中でVTuberという世界を再現するための工夫が随所に見られます。
9年間、少女漫画誌で執筆していたという作者・くろだまめたの筆致もまた、美少女VTuberという設定と相性バツグン。配信画面での演出だけでなく、各キャラクターの日常描写にも可愛さが溢れていて、波乱多きストーリーながらワクワクしつつ楽しく読める作品になっています。

にゃるにゃん以外にも登場する様々なVTuberたち。彼らもまた、画面上のアバターと「中の人」が全く同じというわけではありません。暴かれる本当の姿。そして明らかになる衝撃の事実。1巻からフルスロットルで駆け抜ける、物語の予想外な展開から目が離せません!

レビュアー

ほしのん

中央線沿線を愛する漫画・音楽・テレビ好きライター。主にロック系のライブレポートも執筆中。

X(旧twitter):@hoshino2009

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