ヒーローは、休日がいちばん苦手だった
敵を力でねじ伏せ、世界の危機に立ち向かってきた男が、休日になると、まったく思い通りに動けなくなる。それもそのはず、彼が挑むことになったのは、「ヒーローの休日」ではなく、「5歳の子どもと過ごす休日」だからです。
2026年1月22日に第1巻が発売された『首領ちゃん』の主人公・峰水ミネタは、秘密結社ブラックデビルの野望を食い止めるため、これまで休みなく戦ってきたトップヒーロー。
そんな彼に、ある日突然訪れる制度改革。
ブラックデビルの国家転覆は「完全週休2日制」で狙う──その一言から、ヒーロー業界にも、まさかの土日休みが導入されてしまいます。
何をしていいかわからない──それだけなら、ひとりでダラけていれば済む話かもしれません。ですがミネタには、それが許されない理由があるのです。
それが、とある事情で1週間前から同居している、5歳の女の子・ニコンの存在。
平日は最強、休日は最弱!?
平日、ヒーローとしての彼はトップクラス。ブラックデビルの幹部相手でも、力でねじ伏せてきた存在です。
それが休日になると、まるで思い通りにいかない。
全力で遊ぼうとして空回りし、正解だと思った行動がズレていて、気づけば、「パパスキル」の高いブラックデビル幹部・パーマネントにさえ、敗北感を覚えてしまう。
この逆転の構造が笑いに変わり、どこか切実で心にも刺さるのは、私だけではないはずです。
全力でやりすぎて疲れる日。
今日はもう手を抜きたい日。
正解がわからず立ち尽くす瞬間。
そういった小さな子を持つ親の本音が、隠さずに差し出されているからこそ、
「わかる……」「これ、うちもそう……」
という共感が、自然と笑いに変わっていくのだと思います。
これは“ヒーローの休日”ではなく、親たちへの応援譚
小山健先生といえば、『生理ちゃん』に代表されるように、日常の中にある「言葉にしづらい違和感」や「うまくいかなさ」を、ユーモアとやさしさで掬い上げてきた作家。本作『首領ちゃん』でも、その眼差しは確かに息づいています。
本作に描かれているのは、子どもの笑顔のために試行錯誤を続ける大人たちの姿。
全力を出す日もあれば、うまくできなくて落ち込む日もある。
それでも、目の前の小さな存在と向き合い続ける。
子どもとの向き合い方に、完璧な答えは出ません。
思い通りにいかない日も、敗北感を味わう瞬間も、ちゃんと描かれています。
それでも、「それでも向き合おうとする姿」があるから、この物語はあたたかい。
子どもと過ごす時間に悩んだことのある人。
これからその時間を迎えるかもしれない人。
そして、誰かのために休日を使ってきた、すべての大人に。
これは、世界を救わない休日のヒーローが、肩の力が抜けない大人たちに、そっと手を差し伸べるマンガです。








