日本で育ってよかったなと感じることの一つに、マンガの存在があります。小難しい内容もマンガで説明されると、スッと頭に入ってくる経験は、多くの人が持っているのではないでしょうか。
私にとって「小難しいランキング」の上位は、政治と経済。なんとなくわかった気になっているけど、いざ説明しろと言われると口ごもる……そんな人、多いのでは?
でも本当は、もっと身近で大切なもの。だからこそ、小さい頃から学べる機会があったらよかったなと思います。そんな私が子ども時代に読みたかったのが、この『マンガでわかる行動経済学 お金のコンパス』です。
『お金のコンパス』は、なんと少女漫画誌「なかよし」で連載されている作品です。「学校でもおうちでも教えてくれない“お金のリアル”」をテーマに、2023年12月に発売された単行本1巻では、インフレや円安、お金の使い方といったマネーリテラシーが学べると話題になりました。
そして第2弾となる本作のテーマは、お金と心理学を掛け合わせた「行動経済学」。わかりやすい解説に定評のある池上彰氏が監修しているとあって、期待も高まります。
登場人物は、衝動買いのクセがある佐原真白(さはらましろ)、なるべくお金を使わない主義の黒瀬大和(くろせやまと)という中学生コンビと、総資産2,000億円を誇る若手実業家・朝倉進(あさくらすすむ)の3人。
彼らが日常の中で感じる「なんで?」をきっかけに、朝倉の発明品を活用しながら身近に存在している経済学を学んでいきます。
行動経済学とは、人の感情や判断がどう経済に影響するかを研究する学問。難しそうに感じますが、本書は私たちの身近な経験をもとに楽しく解説してくれます。
例えば、第1話では「サンクコスト効果」を紹介。投資した時間やお金を「もったいない」と感じてしまう心理のことです。
・カプセルトイをコンプリートするまで止められない!
・つまらない本でも「せっかく買ったし…」と無理して読む!
こんな経験、ありませんか? マンガで「あるある!」と共感しながら学べるから、知識が自然と身につきます。
マンガパートで「あるある~!」と興味を引いた後は、すぐに解説パートへ。難しい言葉は使わず、具体例がたくさん紹介されているので、とても分かりやすいです。
さらに、子ども向けの本なので、全ページに振り仮名付き。親子で一緒に読めるのも嬉しいポイント!
本書でも触れられていますが、人は損と得が並んでいると、損を避ける傾向があります(これを「損失回避性」と呼びます)。誰もがお金に関して「損をしたくない!」と思うものです。
だからこそ、行動経済学を学ぶことで、世の中にはさまざまな「罠」が存在していることにも気づけます。しかし、大切なのは、それに怯えるのではなく、適切な知識を持つことです。
行動経済学を学ぶことで自分を知り その知識を未来の自分にも生かせるってことなんだよ!
と朝倉が言うように、本書は行動の良し悪しを押し付けるのではなく、「自分ならどう行動するか?」を考えさせてくれます。経済を知れば、世界の見え方が変わるのです!
そして、お金の話って、家族ではなかなかしにくいもの。でも、この本を読めば「そういえば、あの時のアレってこういうことだったんだ!」と親子で楽しく学べるはず。ぜひ一緒に読んでみませんか?
レビュアー
Micha
ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
X(旧Twitter):@Micha_manga
Instagram:@manga_sommelier